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暗黒と茶色い大地 第2話

爽やかでも何でもないクソみたいな埃っぽい目覚め。目前にひろがるのは、只々色の無い世界だった。



昨晩の訳の分からない選別作業の後、町の外へと放り出され、俺はこの城壁の外で朝を迎えた。

「……いゃあ、酷いねこりゃ。日本ってやっぱり良い国だったんだな。」

嘘偽り無くそう口に出ちまったよ。……だってさ、この国マジで酷い訳よ。


石垣と城門、其れなんかはまだ良い。

見えるのは木なんか一本も生えないハゲ山が二つと、埃っぽい荒れた土剥き出しの大地。本気で一面茶色一色な国だ。

畑も田んぼも見えやしねえぞ。一体全体何食ってやがるんだ此処の住民達は?


スラム街であろうか城壁の外にも住居らしき物が点在してはいるが、平屋のあばら家がぽつぽつと建ってる程度。で、それも粗末って言うか、丸太と板っきれ、ぼろぼろの生成りっぽい布らしき物の集合体に過ぎねえ。ま、台風でも来りゃ一発で吹き飛びそうだ。


「行商人とは言っても、何をする?何を売って利益を得るんだよ……?」

ぶつぶつと愚痴が口に出るが、考えてみりゃこの国の名前も、通貨も、相場も……自分自身の立場さえも不明な事に改めて気付き愕然とする。

あ、立場は行商人らしいな……



城壁に寄り掛かったまま今後を考えるてみる。

1、城門が開いてから、街中を物色する。

2、道沿いに進み近隣を物色する。

3、このまま此処で、天命を待つ。

……うん、3はまず無いな。野垂れ死の未来しか見えん。

仕事の日は、朝と昼の飯は殆ど食わない生活だったから、腹は減っては居ないが、流石に水分は摂らんと詰む。

因みに、所持品は私物のスマホに会社支給の携帯。ポケットには開封済みの煙草とオイルライター。

コンビニの袋には煙草が2カートンと、ペットボトルのお茶(500ml)が一本に、ガム1個、ライター2個だ。

財布と小銭入れ?んなモン、役に立つ様には微塵にも思えん。あ、クレジットカード使えたら良いが、そりゃ夢物語だろう。


「う〜ん。ライター辺りを、現地人を騙して売り付けるか……?」

なら、計画1か2だな。






計画1はあっさりと頓挫した。

……まず町に入れん。


日が昇って暫く経過すると、重々しい音を立てて城門が開かれ、見張り兼門番であろう昨日の選別時に居た兵士達と同じ鎧兜の連中が吐き出されて来た。

まあ、これは予定通りだ。

城門近くで見張っていて気づいたのだが、時間の経過と共に荷物を背負った農民や商人達が出入りを始めるが……これまた兵士の士気が酷い。どうやら町から出るのは自由だが、町へ入るのは賄賂が必要ときた。

貨幣経済ですら無いのか、殆どが物納……と言うか背中の背負子から物理的に色々と引き抜かれている。極め付けなのは商人が荷物を護る様な構えを見せたが、殴る蹴るの暴行の上荷物を殆ど奪われ門から蹴り出されていた。

他にも、荷物をばら撒かれたり壊されたりする商人達が続出している。

反対に高価そうな服を着たヤツや、腰から剣ぶら下げてる強そうなヤツらはスルー。


「たく、腐ってるにも程があるだろ……」

はたと気付く、この町のヒエラルキーは異常じゃ無いか?明らかに商人への扱いが雑過ぎる。

流通と経済の要である筈の商人をあんな扱いをしていて経済が正常に回るとは考え難い。



〝チッ、黒か……まったく穢らわしい。貴様は行商人だ。〟

まるで汚物か何かを見る様なベゴイルの視線が蘇る。


そう言う事か……

理由は知らんが、商人や芸人はヒエラルキーの最下層らしい。


確かに観察して居ても、農民達は意外に野菜なり果物なりを門番へ適当に渡したり、門番から引き抜かれたりはしているものの、すんなり町に入れてはいるが……、対して商人達はぼろぼろにされるか、けんもほろろに突っ撥ねられるかである。

理屈は未だに全く分からないが、もしもこの額の異物で判定されて行商人ってバレたらどんな目に遭わされるか知れたものでは無い……

下手をすると身包み剥がされて終わりだよな。

「ライターぐらいしか換金性の高いのが無え、ライター引渡して賄賂に成功しても意味が無いぞ。こりゃ……」


仕方無い、計画変更で計画2だ。

ある程度の物資を持って居ない事には、とてもこの町に入れる気がしねえ。

「あの感じなら、野菜か魚だな。」





第一次産業より、第二次産業。第二次産業より、第三次産業と文化レベルに比例して産業ってヤツは成長する筈だ。然し此処では違う様だ。

第一次産業ってヤツは、農業・水産業・林業の基礎産業だ。で、其れを加工する工場・工房の加工業が第二次産業。最後に其れを流通・提供・販売するのが第三次産業。ま、これには金融や医療、教育も含まれる。

現代日本みたく文化レベルが高けりゃ高い程、三次産業が発達するし、発展途上国みたいに低けりゃ低い程に一次産業が盛んだ。

文化レベルは経済レベルに直結する。

て、事は……この町。いや、この国自体の経済が脆弱と予想される。やっぱり俺、終わってね?


などと考えつつも俺は、先人達が踏み固めた道らしき所を歩いている。

わだちが無え。まさかの……荷馬車や大八車も無いって事かよ。」

自分自身の呟きに思わず震える。

足元の道はぼこぼこで真っ直ぐでも無きゃ、アップダウンが無い訳でも無い、正に酷道だ。例えば獣道に毛が生えた様なもんだ。


城門前で違和感を感じたが、コレか……

ーー 車輪が無い。

幾ら何でも馬や牛が居ないって事は無いだろ?普通に考えたら馬力がある家畜(もしくは、奴隷)に荷馬車を引かせるのが楽だ。と言うか積載量が段違いだ。

其れすらないって事は、技術が無い(もしくはは遺失した)か、必要性が無いか……〝制限されているか〟……だな。

たく、地球じゃ紀元前から車輪は存在していたからな。異常なのは確かだよなぁ。






えっちらおっちらと酷道を進むが、ホントに緑が無い土地だ。道端に雑草がちらほらあるが、渇いた大地は悉く茶色一色で気分的に嫌になる。遠くに見える丘や山も、剥き出しの岩と土……そんだけだ。

かれこれ一時間以上歩いているが、すれ違うのは殆ど農民と商人ぐらいだが、一応に表情が暗く無反応……ってスーツ姿に革靴の俺も見ても驚いた表情を見せないってのもかなり異常じゃ無いか?大丈夫なのこの国……


時折道端に寒村が点在するが、コレまたあばら家だらけ。てか此れがマジで標準的な民家なの?

細々と渇いた地面で農作物を作っているが、コレまた気の毒過ぎてとても食べる気にすらもならない程、ひょろひょろとした野菜が申し訳程度に育てられている。

品種改良されたF 1種に慣れた身からすると、野生種に近い野菜はとても食指が動かない程貧弱で、すかすかの畑はむしろ清々しく感じる程であった。









「おっ!おぉお。み、緑だ……。」

半日程歩き続けた結果、漸く視界に広がる緑色の比率がかなり上がってようだ。

時速5㎞弱程度で約5時間、大体20㎞近くは歩いたか?流石に脚が痛いが、森や林も目立って来たし此処でなら何とか生き残れそうな気がするな。


町も一つあった。ま、村に毛が生えた程度の規模だったがな。

商店らしき建物は無く露天商ばかりで、其処で売ってるのは(ムシロに並べてる)野菜か果物、魚の干物とかで物々交換ばかり。

支払いに貨幣を使ってる奴は、殆ど見当たらなかった。

……然し、最初の町(便宜上そう呼ぶ事にした)よりはかなりマシだ。

なんてったって特筆すべきは、町の治安だ。民兵らしき自警団が居るが、コイツらは賄賂の要求も無く、すんなりと町中に入れてくれたし、商人や行商人が原始的だが普通に商売をしている所は正直ポイントが高いぞ。



良し……!わらしべ長者方式で食い扶持を稼ぐか、もしくは安定した商売を始めん事には生きて行けん。

ぶっちゃけな所、日本に帰る手段を探す事が最優先かも知れんが、おそらく〝最初の町〟に入らないと探れもしないと思う。

現状としたら、生活基盤を構築する事が優先度が高いんじゃね?と思う。


はあ、漫画みたいに都合良く、金持ちの馬車が襲われている所に居合わせて救出に成功だ。家と大金ゲットだせぇ!……なんて都合の良い話は転がっているとは、とても思わない、っか思えない。

其れなら、とっくの昔に魔法が使えたり、馬鹿力が湧いて出たりと御都合主義が炸裂している筈だからな。


そう言えば……魔法か。

思い出したくは無えが、大僧正グワルギャと少律師ベゴイルの姿を思い浮かべる。

あれも魔法?いや、あれはもう〝呪い〟とかの類いじや無いか。

けど、あれは実戦向きじゃ無い能力だよな。

……もし、戦場に居ても弓矢とかで瞬殺だろ?


強いて言うなら〝為政者〟の為の「技術」って感じだよなぁ。



町中でしばらくぶらぶらして体力の回復を図る。

んで、周囲を観察した結果、車輪が普及して居ない理由に思い至る。

一つ目は、地面が石畳じゃ無く土が剥き出しって事、雨降ったらぬかるんで馬車とか重量物は無理だろう。

二つ目は建屋や住居が密集し過ぎだ。人がすれ違う程度しか間隔が無いから、車両なんかが通れる筈も無いな。

都市計画が悪いとしか言えないが、恐らくは為政者が本当に無能なのか、其奴らの想像力の欠如が理由なんだろうな。


まったく……、酷ぇ話だ。そう思わね?







今度は町近くの森まで足を延ばしてまたが、始まりの町の近くがハゲ山ばかりの理由が少しばかり分かった気がした。どうにもここの住民達は「植林」ってもんの概念が皆無らしい。

町近くの森が切り株だらけになってたり、焼畑農業の跡か、焦げ跡が目に着いた。

適当に間伐したり、焼畑したりと無計画に木を切り倒してそれっきり。

そりゃ田舎なら、何とかなるだろうが、人口が多いとホントに其れっきりで、あっという間にハゲ山の出来上がり。

山がハゲ山ばかりで保水性ゼロ、雨が降れば表土は流れて土は痩せる。動植物が居ねえから食い物が大して収穫出来ない、仕方無いから焼畑で開墾して、また動植物が減る。負のスパイラル真っしぐらってヤツた。


ホントに……馬鹿じゃね?



日本でそれなりに、まともに教育を受けた人間からすりゃ、意味不未明な行き当たりばったりの世界だ。

都市部では商人の迫害、農村部は貧困ときたら……最後は、為政者は戦争好きか?

其れなら、ドラが3つは乗って役満だな。


「んな、気力がある国にゃ見えやしねえな。……お、栗が落ちてる。」

日本でもお馴染みの殻斗かくとと呼ばれる棘に包まれた堅い果実の姿が目に入る。


「焼いて食うか……?然し、調理道具も何も無え。いや、行商人らしく商品は豊富な方が何かと役に立つのか。」

裂開している殻斗を両足の靴底で押し広げて果実を取り出す。

「チッ……ちっちぇな。ま、野生種ならこんなもんか。」

品種改良をされて居ない野生種の小さな果実を手に取るが、思わず愚痴が口をついちまうよ。



然しなぁ、手取り早い商売ねぇ。

現代人の知識ってヤツは、実際には殆ど役に立たない事に改めて気付かされちまうな。

便利な道具や、品種改良された植物、家畜化された動物。そんなんは、しみじみ先人達の経験値や積み重ねられた文化が基礎ベースになっている事が「前提」の知識でしか無いのだと思い知らされるわ。

そうだな……例えりゃ、畑だな。

「耕す」って行為は土を耕して撹拌して、空気を入れることで土中微生物の活動が活発にする事だ。そうすると土に含まれている有機物の分解が進んで、作物の栄養となる成分が放出される訳よ。

ただし……化学肥料を使えば微生物が肥料を分解しなくても植物の根はそれを吸うことができる。流行りの有機肥料ってヤツを使えば、微生物がそれを分解して有機態から無機態に変えることでようやく植物の根が吸える状態になる。

理屈じゃそうだよな。

じゃあ、どうやって耕す?鍬か鋤を使うよな。何処で手に入れる?ホームセンターか。んなもん無えよな。

作る?鉄でか?どうやってだよ。今度は鍛治か?其の前段階に製鉄か?溶鉱炉は?

次に肥料は?どうやって作る?水は?治水は?

理屈と知識があっても、実際には「先人の経験値」っう大前提があって、個人でやろうと思うと、知らねえ・分からねえと問題点が大噴出だ。

たく、其れが色々とすっぽ抜けてんだよなぁ…







がさっ ーー


物思いに耽っていた俺は、明らかに自分が立てたのでは無い物音が静寂に包まれた森の中に小さく鳴った事に気付き身を固くする。

「はっ……?」

ぎゅっと心臓を掴まれた様な猛烈な恐怖感が降り掛かってくる。

拙い……拙いって、考えてみたら如何して俺はこんな不用意に土地勘の無い場所を彷徨いてんだよ。

うわぁ……っ、何処かで、どくんどくんってすんげぇ音がしてやがる……って俺の鼓動だよ!

ぎりぎりと痛い程の恐怖が全身を走り抜け、ひりひりと緊張で喉が乾きやがる。



ばさっ ーー

草むらを掻き分け人影がらしきものが、飛び出してきた。

「うわぁ!」

恥も外聞も無く悲鳴を上げちまった。正直言ってびびったよ。悪いか?だって怖いもんは怖い。だって人間だもん。


「オマエ、オレが見えるのか?」

でな、ソイツは、いきなりそんな事を言いやがった。





子供……?

小学生の高学年程度って所か。着物っぽい形の木綿で出来た服に、小さな麦わら帽子みたいなの被ってる。で、右手に持ってる不似合いに巨大な棒みたいなのは、杖か?


……あれ?そう言えばコイツ〝オマエ、オレが見えるのか?〟って言ったな?

「ん……そりゃ見えるだろ?てかお前さ、町の子か?」

たく、マジでびびって損したわ。

そりゃ町の近くの森だ。子供が遊んだり木ノ実探しにぐらいは来るよなぁ。


「なあなあ、オマエ。ホントにオレ見えるのか?」

何故か嬉しそうな表情で、また聞いてきやがる。……コイツ、一体何なんだよ?

「普通に見えるだろ。見えねえ方がおかしいんだっ……」

「よし、オマエ。オレと相撲をスルぞ!」


俺の返事に被せて気味に、なんかほざきやがった。

すもう?コイツ相撲って言ったのか。

「……相撲を?俺とお前でか?」

正直戸惑いを隠せなかった。だってさぁ俺って175㎝で65㎏だぞ。コイツは贔屓目に見ても140㎝ちょいの30㎏も無さげって感じ。とても勝負にならねぇだろう。


「お前さぁ。其れは流石に無理じゃ無えのか……」

「ヨシ!ヤルぞぉ、せーの。」

って人の話聞けよ!このガキなんなんだよ。

たく、しょうがねぇなぁ……






びっくりするわ。

このガキって……びっくりするぐらい〝弱い〟のよ。

「よぉし、イッカイ勝負だ!」とか言ってたが「三本勝負ダ!」になり「マダマダ、五回勝負ナノダ!」になって……

今は、体育座りして泣いてるよ。ま、大人げ無いと言ってくれ。

だってさぁ、しょうがないだろ。コイツ勝負事に破滅的に向いていない。

動く前にそっち見るし、投げを打つ前に「投げるノダ!」とか言っちゃうし、俺を持ち上げようとして「うーん!オモイのだ。」とか無理な事ばっかしちゃうのよね。


「ひっく……オレはマダ負けてナイ。」

何か本当の泣き言を言ってるガキを放って置いて、近くの枝に引っ掛けていた上着とコンビニ袋を手に取る。何だかなぁ。

「まぁ何か済まん。けどなぁお前さ、町の子供達と遊べよ。」

流石に良心が少し痛むので、フォローだけは入れておく事にしたが……

「町のコドモ…?」

ピクリと肩を震わせて俺を見上げて来る。


「アイツら……オレの事が見えなイ!」

そう叫ぶ様に言い放つと、脱兎の如くどっかへ走り去っちまった。


「何なんなんだょ……アイツは?」

そう言えば、変な事言ってたな。

〝オマエ、オレが見えるのか?〟とか〝アイツら……オレの事が見えなイ!〟とか?

「町の子供には見えない?俺には見える?」

うん!分かんねぇ。妄想癖があるか、イジメられっ子なのか……。

イジメは駄目だよな。絶対に駄目!破滅的に非生産過ぎるからな。


「あ……アイツ、杖忘れてやがる」

さっき相撲を取った場所近くに、アイツが右手に持ってた杖が転がっていた。

手に取ると結構重い。杖って言うより棍棒だなこりゃ。

上の方がハンマーみたいな感じでおっきくて、棒の所も少し捻れてるが太さが均一な感じ。素材は樫か?人を殴ったぐらいじゃ折れ無さそうで、例えるならばこれは鈍器に近いかも知れんな。

「……おい!杖忘れてる……ぞ。」

ってもう居ない。町で会えたら返すか。もし会えなかったら明日ココに来りゃいいかな。




がさっ! ーー

など考えていると、再び茂みががさがさと揺れる音が耳に飛び込んできた。

「おっ?お前、杖忘れてん……ぞ?」

てっきりあのガキが帰ってきたかと思って、大して警戒もしないまま茂みへと不用意に近づいちまった。

『…うぅゔ……』

「はぃ?」

あれ?お前ってこんな毛が生えてたか?まるで犬みてぇになっちまって、どうした?


『ゔぉおぉ……わぁおん!』

「うぉお?」

ヤバい!そりゃヤバいってぇ!野犬かぁ?

拙いって!身体がかなりデカい。がっしりとした筋肉質の体格をしてて、脚が長い。立ち耳に巻き尾で被毛は短めときた。体重はガチでさっきのガキより重いんじゃ無いか?



あ、もう必死よ、必死。必死で逃げてるわ。

けど、相手は四本も脚が有りやがる。ちくしょう、そりゃ速いよ、全く不公平だと思わねえか。

あん?犬なんて怖く無いだろって?一度追われてみろよ。マジで凄え怖えぞ。


とか、くだらねぇ事考えてたら、もう直ぐにでも追いつかれそうだ。

そうだ。武器。武器は無いか!

よし、ペットボトルを投げつけるか?それともライター?駄目だ。火で驚かせる前に、間違い無く齧られる。

ほら、木刀とかバットとか、棒状のさぁ。

「こんな感じの硬い棒が一番って……手に持ってんじゃ無えか!」


うん。済まん!名前も知らない少年よ、折れたら御免なさい。金も無いから弁償も出来んが……思う存相撲を取ってあげるよ。


振り返った俺は、杖……棍棒を握り直し、全力でフルスイングした。











本日の成果

柴栗の実(ハンカチ一包み分)

犬の肉&毛皮(一頭分)

凄く殴りやすい棍棒(借り物)


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