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08 バレー(多田)


 体育は別のクラスと合同で行われる。

 伊野丸春いのまる はる達とはクラスが違う生徒の一人に、多田羽鷹ただ はねたかという女子生徒がいた。

 彼女は伊野丸の姿を見て、野暮ったい眼鏡の奥で、ただでさえ悪い目つきを更に鋭くしていた。


(くっ、伊野丸さんめ……ワタシに見せ付けるかのように……!)


 多田はテストの総合点学年一位を毎回取っている。

 そんな彼女が伊野丸を敵視しているのは、伊野丸が毎回僅差で二位だからだ。

 自分の地位を脅かす存在であることが、運動ができることや、テストの点に拘っていないことを憎く思わせていた。


「ぐへッ!」


 伊野丸に気を取られていた多田は、試合中であるにもかかわらずそのことを忘れ、ボールが迫っていることに気づかず顔面を直撃した。


「だ、大丈夫多田さん?」

「ちょっと朱美狙いよすぎぃ」

「べ、別に狙った訳じゃないって」


 盛大に倒れた多田は起き上がることができず、そのまま眠ってしまった。

 昨日も夜遅くまで勉強していたためである。



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