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03 ノンケとレズ
「……!」
「……!」
伊野丸春と八栖坂雅美のやりとりを、教室の片隅で遠巻きに見ている女子生徒がいた。
初島信子というショートカットの生徒だ。
彼女は机を椅子代わりに座ってぼうっと眺めていたが、やがて机の持ち主に話しかけた。
「あの二人、仲いいね」
「ん~?」
間延びした声で返事をしたのは、くせっ毛を伸び放題にしている無気力そうな、あるいは眠たそうな女子生徒だった。
名前を、高良幾代という。
「ほら、伊野丸さんと八栖坂さん」
「あ~、いつもなんか騒いでるねー」
「……そうだね」
初島が薄く笑った後は会話も無く、二人の間に静かな時間が過ぎていったのであった。




