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16 下着
体育前の放課は、大様にして着替えと移動の時間に費やされる。
そして伊野丸春達のクラスは、それぞれ急いだりゆっくりだったりと、思い思いに着替えていた。
「んへへぇ~」
「変な笑い声をだして、突然なんだ」
それは入学して間もない頃の出来事。
着替えている最中に突然聞こえた笑い声に、伊野丸は訝しげに尋ねた。
騒々しい中でもすぐに分かる。こんな笑い方をするのは、八栖坂雅美しか知らないからだ。
「いやぁ、春ちゃんは脱ぐと凄いなぁって思って」
「はぁ?」
「上下おそろの黒下着なんて、見た目からじゃ想像つかないもん」
「べ、別にいいだろ……それぐらい……」
「だってほら、あの娘とか――――」
そう言って目線で示したのは、浅く日に焼けた娘だった。伊野丸はいつもアメを舐めている娘だと記憶している。
「上下で別々でしょ? 結構いるんだよ、気を使ってない娘」
「私がオシャレできるのはこれぐらいなんだ……あまり聞かないでくれ……」
「もー、かわいいなぁ春ちゃんは~」
「そういう八栖坂は、思ったより派手じゃないんだな。もっとけばけばしいのを想像していたよ」
「いやぁ妹がいるからさー、さすがにそこまで変なのは買えないっしょ」
「そういうところだけ、妙に常識的なんだな」
ため息交じりに答え、妹がいることを知ったのであった。




