16/21
15 押しに弱い
筋肉痛の足を引っさげながら、多田羽鷹は学校にいた。
昨日の夜に出来なかった分を取り戻そうと、朝早くから登校し、教室でノートを開いている。
そこへ現れたのは、筋肉痛を作った人物、石黒真琴であった。
「こんにちは! 多田さん!」
「……こんにちは」
この学校はある程度緩いため、教室間の移動などは特に制限されていない。そのため石黒がいることは問題ないのだが、それでも何人かの注目は集るのだった。
「昨日は急に走らせてごめんね! でもそれで、多田さんがまずすべきトレーニングが分かったよ!」
「え、えぇ……?」
「どうかな? 今日の放課後も空いてるなら、一緒にトレーニングしたいんだけど」
「えぇ……えっとぉ、その……大丈夫、かな……?」
「よかった! それじゃあまたね!」
去っていく石黒の後姿を見て、内心で自身を罵る多田。押しの弱さは、今まで人間関係の経験が少なさからきている。
しかし昨日いろいろあったが、石黒に対して苦手意識を持つことは無かった。
それはきっと、一緒にいて楽しかったからだろう。




