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第二十四話 男の子 がんばる?前編

第二十四話 男の子 がんばる?前編



 まず、状況整理からだ。


 久はお風呂の湯につかって考えていた。


 優乃ちゃんは安って言う人が好…違うっ、気になっている。そうあくまでも気になっているだ。そしてその人は同じアパートに住んでいる。その人は、優乃ちゃんの話し方からすれば年上と考えていいだろう。うん、安って人と優乃ちゃんの関係はこんな所だろう。そしてぼくと優乃ちゃんの状況は、優乃ちゃん曰く「友達」…。しかし、「ずっと友達よね」とは言われていない。つまり、この劣勢を挽回する事が可能な状況にあるということだ。考えてみれば、ぼくは優乃ちゃんの好みが分かっていなかった。ここはまず偵察が肝要だ。優乃ちゃんは安って人が好みと考えられる。つまり安って人の真似をすれば…、真似してどうなるっ。真似したって安って人になれない。いやいや、まずは真似からじゃないのか。…何考えてるのか分からなくなりそうだ。とにかく真似するもしないも、安って人を偵察して情報を集めなければ。うん、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」だからな。よしっ。それで行こう。


 久は額から流れる汗をぬぐって、湯舟から出た。


 首を洗って待っていろ。


 久は体を洗いながら、ほくそ笑んだ。



 週末の土曜日。久は朝ご飯を食べると、自転車に乗って家を出た。土曜日は学校が休みだ。今日一日で、何とか安のことを調べるつもりでいた。せめて外見だけでも分かれば、次のイメージチェンジの時の参考になる。久は、優乃に会った時の対処方法も考えながら、昨夜覚えた記憶を頼りに、で愛の荘に向かった。


 昨日の夜、久は地図帳を広げ、名簿から優乃の住所を調べて驚いた。優乃の住んでいる所と、久の家が意外にも近かったのだ。自転車なら十五分くらいで行けそうだった。


 これぐらいなら、地図持たなくても行けるな。


 そう思って久は道順を記憶した。


 家を出て三十分。


 「…ここか?」


 久は散々迷った末に、ようやく自転車を止めた。


 住所通りの場所の筈だが、駐車場だ。まだ出来たばかりのようで、アスファルトが油で黒々と光っている。


 優乃ちゃん、この駐車場に住んでる、何て訳ないよな。


 久は人に聞いてみることにした。通りがかりのおばさんを捕まえて聞く。


 すると三、四ヶ月くらい前に、ここに建っていた、で愛の荘が火事で焼けたと言う。


 「えっ。火事ですか」


 「そうなのよ。古い建物だったからね。あっという間だったわよ。ほら私の家が近いでしょ。それでとっても恐かったわ。もらい火ってすることもあるんだから。困るのよね、火事って。あなたはまだ若いから分からないかも知れないけど、火災保険って、何でもお金出してくれる訳じゃないのよ。私の親戚のお友達がね、火事になって…」


 それから三十分ばかり、関係のない話を延々と聞かされて、久は解放された。


 結局おばさんからはここに、で愛の荘があったことしか聞けなかった。住んでいた住人がどこに行ったかなど、分かる筈もなかった。


 ちょっと早いけど、軽く昼ご飯食べるか。


 久は手がかりがなくなった以上、落ち着いてもう一度イチから考え直すことにした。


 とりあえず、と自転車を走らせると品の良さそうなうどん屋を見つけた。


 「何じゃこりゃー」


 店先に出ているお品書きを見て、久は叫びそうになった。久がいつも行くうどん屋とは桁が違う。


 うどんに大金払うくらいなら、パンで充分だ。


 久は仕方なくコンビニに向かった。


 コンビニには客ー若い男が一人いた。


 久が素早く牛乳とスナックパンの袋を手にすると、男も同じ物を手にしてレジに向かっていた。


 ムムッ。この男なかなか出来る。コンビニの昼食コストパフォーマンスを理解している。(あなど)りがたいな。でもレーズンパンだと、栄養バランスがより良くなる事までは、知らないだろう。


 どうでもいいような事で優越感に浸りながら、久は先にレジに立った。



 安は同じパンと牛乳を持って、得意そうにレジに立った若い男を見て、怪訝(けげん)な顔をした。


 何だあいつは。誰かとスナックパン買う競争でもしてるのか。


 その若い男が、レジでお金を払いながら店員に聞いた。


 「すみません。で愛の荘って、この辺りにありませんか」


 見たところ手ぶらで、服装もカジュアル。業者でも編集でもなさそうだ。これだけ若いと矢守の友達とは考えにくい。


 そうすると優乃ちゃんか山、もしかしたら月森さんトコの空手道場の生徒さんかもしれないな。


 安はそう考えて、声をかけてみた。


 ちょうど男は店員のおばさんから「知らないね。ごめんね」と言われて困っていた所だった。


 「僕知ってるから、良かったら案内するけど」


 「えっ。ありがとうございます。いいんですか」


 若い男は驚いたように振り返った。


 「いいよ。レジ済ませるから、ちょっと待ってて」


 


 外に出て安は歩きで、久は自転車を引いて、で愛の荘に向かった。


 「君は、優乃ちゃんの友達?」


 安は道案内をしながら聞いてみた。


 「あ、はい。専門学校の同じクラスで田辺 (ひさし)って言います。でもみんな、(きゅう)って呼ぶんですけど」


 「(きゅう)君か。僕は足立。演技って結構大変じゃない?」


 「そうなんですよ。先生からいつもカタイって言われてるんです。柔らかい演技しようとしてるんですけど、ダメですね。変わってないって言われてて。もうすぐ課題の発表があるんでみんなで稽古…。あっ、道そっちなんですか?」


 久は立ち止まって説明した。


 「朝、道聞いたらこっちって言われて、行ってみたら駐車場になってて困ってたんです」


 立ち止まると少し暑かった。しかし時々吹く風が涼しさを運んで、草を揺らしていった。


 「そうか、今そうなってるんだ」


 安は思い出したように頷いて、こっちだよと久に言った。


 「あっちはね、新しい方ので愛の荘。もう一つ、で愛の荘一番館ってのがあるんだ。優乃ちゃん、そっちに住んでるんだよ」


 「そうだったんですか。朝聞いた話だと、全焼したって聞いたんですけど、みなさん無事だったんですか」


 安は大きく首を振った。


 「えっ、全焼?まさか、ボヤだったよ」


 納得できないように久が聞き返す。


 「朝聞いた話では、全焼だと」


 「それは間違いだよ。放水で濡れちゃって、管理人さんの意向で建て直す事になったんだよ。それで何人かが今の、で愛の荘一番館に引っ越したんだ。でも駐車場になってるなんて、思ってもみなかったな。話が違っ…」


 「なるほど。そうでしたか」


 久が、安の言葉をさえぎって言った。


 「やっぱりおばさんの話は当てにならないですね。でも助かりました。聞く人みんな、で愛の荘知らないって言うんで、五里霧中だったんです」


 久はいい人に会えて良かったと思った。


 二人はそんな話をしながら、歩いていった。


 坂を登ると、で愛の荘一番館が見える。


 安に「あそこだよ」と言われ、久は木造の外観に、まさかと思った。


 そんな、優乃ちゃんがこんな所に住んでるだなんて。親からの仕送りが少ないのかな。それとも親の反対を押し切って、学校に入ったから、お金がなくてこんな所に住んでるんだろうか。まさか、このアパートで天涯孤独、孤立無援の生活をしてるんじゃないだろうか。


 久は安を見て、お礼を言った。


 「ここまで、ありがとうございました。後はぼく一人で大丈夫です」


 えらくかしこまったお辞儀をする久に、戸惑いながら安は言った。


 「ん、そう?よかったら優乃ちゃん、呼んでこようか」


 「いえ、見ず知らずの方に、そこまでお願い出来ませんから。それに…あ?えっ?もしかしてここに住んでらっしゃるんですか」


 ようやく久にも、安がわざわざ自分をここまで案内してくれた訳が分かった。丁度帰り道なら、案内も苦ではない。さっき専門学校とは言ったが、演技とは一言も言っていない。それにも関わらずその話をしてきた。優乃の事を知っていなければ、言えるはずはなかった。つまりここに住んでいると言うことだ。


 「そうだよ。ちょっと待ってて」


 安は軽く頷くと、庭にいた矢守に近付いて声をかけた。


 「矢守、優乃ちゃんは?」


 「あの子なら、山川と出て行ったわよ。何かお芝居の発表会用のもの買ってくるって。で、あのちょっとカッコイイ子は誰?」


 そう言いながら、矢守は金髪の久に小さく手を振った。


 恥ずかしそうに下を向く久が可愛い。


 「矢守、お前ちょっと外見がいいと、すぐにツバつけるな。だけどあの子は優乃ちゃんの友達だ。手、出すなよ」


 「分かってるわよ」


 ただの挨拶よと、矢守は言って続けた。


 「優乃ちゃん、山川と一緒に帰ってくると思うから、まだ一時間ぐらいは帰って来ないんじゃない。ただ待たせるのも何だし、今日のたこ焼き会の準備させたら?」


 「そうか。そうするか。で、お前も準備手伝ってくれるんだろ」


 「私は安さんのためにお肌のお手入れしなくちゃ。日に焼けた肌はイヤでしょ。女は色白でなくっちゃ」


 コビを売るような視線で安を見る。


 安はもちろん黙殺だ。


 「お前がさぼりたいだけじゃないのか」


 テーブルを一つしか持ってきていない状況を見て、安は言った。


 「あら、そんな事ないわ」


 チラッと久を見る。


 「あの子に手を出されても困るからな」


 安が二人でやるよと言うと、矢守は残念そうに言った。


 「あの子ウブみたいだから、落ちるかなって思ってたのに」


 ちゃんと久の反応を見ている。


 「お前が言うと冗談に聞こえないな。ま、いいや。それじゃ、久君と準備するから。モノは廊下に出してあるんだよな」


 「そうよ。じゃ後お願いね」


 矢守はそう言って、もう一度久に手を振った後、キッスを投げた。


 久が激しく動揺する。


 「あの子、カワイイわね」


 ウインクまでして矢守は、で愛の荘に入っていった。


 やれやれと矢守を見送って、安は久の所に戻った。


 「あんな事されてもぼく困っちゃいます」


 と、耳まで赤くして照れたり怒ったりしている久に、安は言った。


 「久君。あいつの事、あまり真に受けなくていいから。あぁいう冗談が好きなんだよ」


 「そ、そうですか。それならいいんですけど」


 そう言いながら、まんざらでもなさそうだ。


 「で、優乃ちゃんだけど、一時間くらい帰ってこないって。それで相談なんだけど、今日ここで、たこ焼きを作ってみんなで食べようって事になってるんだ。久君が良ければ一緒に食べていかない?優乃ちゃんも参加するけど」


 「あっ、はいっ。優乃ちゃんが参加するなら、是非」


 久は勢い込んで言った。


 「よーし、それなら悪いんだけど、準備手伝ってくれるかな。あ、その前にお昼ご飯食べようか」


 安は手にしていたコンビニの袋を持ち上げて笑った。



 それから一時間半後。山川と優乃が一緒に帰ってきた。それまでに安と久とで、たこ焼き器、(うつわ)、箸などの準備は、し終わっていた。


 「優乃ちゃん、お帰り。お客さんだよ」


 山川と優乃が帰ってきたのを見て、安が言った。


 あの男が、安に違いない。


 優乃の隣にいる山川を見て、久は何の根拠もなく確信した。


 あの切れ上がった目、引き締まった筋肉質な体つき。スポーツマンタイプの短い髪型。ジーパンにTシャツとラフな服装でいて、センスを感じさせる着こなし。なる程、優乃ちゃんの好みは、こんな頼れるお兄さん系だな。と言うことは、僕のする事は、まず筋トレだ。


 山川を安と勘違いして、冷静そして慌てて分析する久。


 そんな頭の回る自分にニヤリとしている久に、優乃が走って近付いた。


 「キャー、久ちゃん、おはよう。どうして、ここにいるの?」


 優乃たちの目指す声優業界の挨拶は、一日の最初に会ったら夜でも「おはようございます」だ。


 久も優乃と同じように、おはようと返す。


 「下のコンビニで、偶然会ってね」


 安が久の代わりに答えた。


 「優乃ちゃんに会いに来たんじゃなかった?」


 「あっ、いえっ、そうなんですけど、そうじゃなくて」


 しどろもどろに答える久。


 「あら、そう言う関係なの?」


 突然矢守が現れ、優乃の肩に身を寄せて言った。


 「違いますよっ」


 優乃は真っ赤になって、否定した。


 だって私には、安さんって許嫁が…。


 優乃は恥ずかしそうにうつむいた。頭の中は白無垢とウェディングドレスを着た、二人の自分でいっぱいだ。笙の厳粛な和音に、教会の鐘の音を重ねながら、優乃は部屋に走っていった。


 一方山川は、買ってきたこだわりの食材を部屋で切ってくると、外に戻ってきて焼き始めていた。


 ハッ! この安って人、出来る。


 いつの間にかたこ焼きを焼き始めている山川に気付いて、久は驚いた。


 ぼくが優乃ちゃんと話をしているうちに、気付かれないように戻ってくるとは、ただ者ではない。僕の目線が優乃ちゃんに行った時に素早く準備したんだ。まさに正には奇、奇には正を以て応ずべし、兵法の通りだ。これだけの兵法を実践として使いこなしているなら、優乃ちゃんの関心がこの安って人に行ってしまうのも分かる。


 久は山川を鋭く見つめて、この人を甘く見るのはやめようと誓った。


 優乃は妄想を部屋で満喫した後、庭に出てきて、久に買ってきた小道具を見せた。


 「ねぇ、久ちゃん。これ今買ってきたんだけど、課題発表の時に使おうと思って、どう」


 使う場面をニコニコと説明する。


 「そうだね。物があるとないじゃ、感じが全然違うね。優乃ちゃん、ありがとう」


 学校の外で、優乃と心おきなく話せて幸せ顔な久。


 やっぱりぼくの事、頼りにしてくれてるんだ。これで、この周りの人たちさえいなければ…。


 二人が課題の打ち合わせをしている間に、矢守は雪を呼びに行き、安はみんなにお茶やビールを注いで回った。


 安が久にビールを注ぎに来たとき、久はひらめいた。


 この人を味方につければ、あの安って人と優乃ちゃんの情報を、常時収集することが可能だぞ。うまく使えば二人の仲を裂けるかも。これぞ獅子身中の虫作戦だ。


 久は恐縮した様子を見せながらも、親睦を深めようと握手をした。


 「どうぞこれからもよろしくお願いします」


 何がよろしくなのか分からなかったが、安はにこやかに言った。


 「あぁ、こちらこそよろしくね」


 この程度で親睦が深まる訳はないのだが、味方を一人つけたと、久は安心して優乃との打ち合わせに戻った。


 「第一弾、出来ましたー」


 山川の声に、待ってましたと、全員がわっと集まった。


 「優乃ちゃん、久君をみんなに紹介してよ」


 乾杯前に、安が優乃に言った。


 「あっ、いいです。ぼく自己紹介します。田辺 (ひさし)。通称 (きゅう)です。優乃ちゃんと同じ学校の同じクラスです。今日は課題発表の打ち合わせのために来たんですが、このような会に参加させてもらって、とても恐縮しています。皆さんにお会いするのは初めてで、まだまだ若輩者でありますが、これからもよろしくお願いします」


 ピシッと、背筋を伸ばして挨拶する。通常ならば立派じゃないかと言われそうな態度である。


 「口上としては立派だけど、自己紹介としてはどうかな」


と、安が言うと


 「そうね。立派だけど、長いわね」


と、雪。


 「長いけど、オチがないわね」


と、矢守。


 初めて会ったのに、みんな容赦がない。


 「ま、固いことはいいわ。今日は食べていって」


 雪がカンパーイと言うと、みんなのダメ出しに呆然としている久を置いて、みんなたこ焼きに箸を伸ばす。


 「どう?全部形が丸いでしょ。たこ焼きの極意はその形から…」


と、山川が言うと


 「形なんてどうでもいいから、早く次焼いて。美味しく食べられれば形なんて関係ないんだから。所詮たこ焼きはお菓子よ。ねぇ、久君」


 矢守はウインクを久に送った。


 「は、はっ、はいっ。そうですね」


 どぎまぎしながら久は答えた。安に気にしなくていいよとは言われたが、やはり免疫のない事にはドキドキしてしまう。


 「はふっ、さすがに熱いな」


 安が口で、たこ焼きを冷ましながら言うと、優乃が


 「こっち、さめてますよ」


と、だし汁の入った器に、たこ焼きを入れて持ってきた。


 「そのだし汁はですね、俺がたこ焼き屋を巡って、明石焼きを食べ尽くし、その長所を組み合わせた、今回用のスペシャルブレンドー」


 「いいから早く焼きなさいよっ」


 山川が手を止めて説明を始めたので、雪が冷たい目でその口を止めた。


 何か言い返そうとした山川だったが、雪の()えた狼のような迫力に黙って焼きに戻った。


 「はい、あーん」


 安が熱いたこ焼きを飲み込むのを待って、優乃は自分のたこ焼きを安に食べさせた。


 「んん、いいねぇ。ありがと優乃ちゃん」


 安の笑顔に、優乃の心が弾む。


 ウフ、新婚さんみたい。


 さっきの妄想がチラリと頭に浮かぶ。


 「はい、久ちゃんもどうぞ」


 優乃は幸せのお裾分けに、久にもたこ焼きを食べさせた。


 久の心も一気に跳ね上がった。飛び上がって踊り出したいくらいだ。


 「あら、優乃ちゃんばっかりズルイ。じゃ私も」


 矢守も久に近付いて、皿の上に載ったたこ焼きを食べさせた。


 「ぶわっちっ、うふぉあっ」


 だし汁に入ったやつとは違い、矢守の皿に載っていたのは、まだ冷めていなかったようだ。


 ごめんなさいねと、色っぽく謝られる矢守に怒るわけにもいかず、久は急いで口をビールで冷やした。


 そのすきに優乃は安に食べさせてもらって、さらに幸せ気分だ。


 一方ここ四人全員分のペースよりも早く、雪が一人すさまじい早さでたこ焼きを食べ尽くし、次のたこ焼きを待っていた。


 「ねぇ、次まだ」


の声に、山川は


 「少し待ってて下さいよ」


と一生懸命、手を動かす。


 「そうだ。久ちゃん。今の内にみんなに課題見てもらおうよ」


 優乃は弾んだ声で提案した。


 「えっ、ちょっと恥ずかしいよ」


 久はヒリヒリする口で息をしながら、後ずさった。


 優乃は強気だ。


 「何言ってるの。結局学校のみんなの前でやるんだから、ここで出来なくっちゃダメじゃない。私が出る所と久ちゃんが出る所だけでいいから、やろっ。えーっと、『ここの先に泉があるって話だけど』の所からね。あそこ短いけど掛け合いになってるから。他の人の台詞は私が言うわ」


 結局、優乃に押し切られる形で、久は頷いた。



★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★



次回予告



 突然、で愛の荘の面々の前でやることになった演技


 それなりの自信を持ってやったものの


 その奥深さに立ち向かうことなる二人


 思っても出来ない歯がゆさ


 思っていることの浅さを思い知らされ


 頭を抱える


 でも、優乃と久、頑張ってます



 「大丈夫。今度二人っきりの時に、聞き出しておくから」



 「(ひさし)くん。乗せてもらってもいい?」



 「やるのは難しいんだよね」



 次回第二十五話 男の子 がんばる?後編



 安、恐るべし

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