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遥かなる彼方からの贈り物  作者: 名も無き人
第2章 デジャの物語
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(1) 宇宙災害

大樹は、その事実から意識を逸らそうとした。

10年後の宇宙災害は運命に思えた。

とてもその運命に逆らうことなどできぬと思った。


そして身体を一気に数十メートルもぽんと飛び上がらせた。


大樹は自分がその機械を操作できる事を知っていた。


大樹の脳は、その「サンダル」と完全にリンクしシンクロし

脳内の思考電流によるコントロールが可能になっていたのである。


つまり、大樹の考えた通りにその機械は動いた。


50メートルの瞬間的な移動は

風を切るさーと云う音以外は

全く無音であったし


例によって目の前の画面が

テレビ画像のように変化しただけで

肉体的には何の負荷(ふか)も掛からなかった。


大樹は50メートル程の高さから街を観ていた。


遠くに新宿の副都心の光が見える。


その光を認識すると、いきなりその方向に飛び始めた。

瞬間的に時速200キロを越える速度が出て

シャーと云う風きり音が聞こえた。


地球を確実に破滅に導く

とてつもない恐怖がやってくる。


生体手術の最終段階で

その事実を大樹は理解し


なぜこの機械が大樹を呼び寄せたのかを悟り

そして呆然(ぼうぜん)としたのである。


大樹が理解した人類を襲う

未曾有(みぞうう)の災害のイメージは

通常の5歳の幼児が理解するものとはかけ離れた

極めて具体的でかつ現実的なものであった。


そもそも5歳の幼児が

宇宙的な規模の災害をイメージする事は難しい。


しかし、大樹の場合は

多くの経験を積んだ老人の理解に似た

現実の理解であった。


数種の他の生物の滅亡の情景さえも観ていた。

生物の滅亡は、科学技術文明に至った後でも

当たり前に起きた。


つまりその生物とは、地球の人類からすれば

「宇宙人」と呼ぶべきものである。

他の天体で進化した生物達だった。

それが永い進化の末に無残に滅亡して行く

こんなことが宇宙では当たり前に起こっていた。


そしてこの宇宙空間の中で

繰り返し、繰り返し起こった、彼らの断末魔の連続を

現実に見たと同じに理解していたのである。


大樹がその機械から得た知識は、一つの物語が中心となっていた。


それは巨大な超新星爆発から始まった。


地球からの距離にして2百光年の彼方で起こった事件である。

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