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君の隣を約束します。  作者: ゆきうさぎ
<第2章>
9/54

愛と勇気とほんのちょっとの希望を詰め込んで、(1)

大学生になったからと言って、今までの環境というか、自分自身の動きというか、学校の流れっていうものは、そんなに大して変わるものでもなく。現在、夏休みに向けて、超がつくほど必死に勉学に励んでいる。特に、とき……凛久が。こいつ、授業中ばかみたいにばかほど寝たから、板書がまぁない。ほとんどない。ほんと、高校の時以上に大学の勉強をなめてると思う。


「直ー、ここわかんねぇ」

「教科書読め。いちいち聞くな。あんたレポートもあるの忘れないでよ」


ノートパソコンを広げながら、私はぐうたれる凛久を睨みつける。その様子を、同じようにテスト勉強をしている奈津子たちが笑ってみていた。


「凛久相変わらずだな。そんなんじゃ単位落とすんじゃねぇの?」

「いや、俺は要領だけはいいからな!それだけはないはずだ!」


なんつー根拠も証拠もないこと言ってんだよ。という思いをこめて凛久を睨みつければ、その視線を感じ取った凛久はとりあえず手を動かす。どうせ家に帰ったって泣きつかれるのは目に見えているから、やれる時間は凛久にめいっぱいやらせる。


「でもほんと、頭だけはいいからねー」

「だけって言うなよ」


美弥の言葉にはむかっているが、確かに凛久は頭だけはいい。ただ、勉強しか能にないだけ。いや、人間の脳的には、勉強さえできればそれでいいのかもしれない。ただ、こいつの場合は、


「理系の頭のくせして文系の学部になんか入るからこんなに苦労するんでしょーが。ここ、違う。ここも違う。あんたさっきからなに写してんの。模写もできないの?これテスト出るんだからね?」


なんで私がこいつのために、こんなに尽力をつくさにゃならんのだ。自分の課題だってあるのに。そりゃあ筆記試験の方は倍覚えられていいかもしれないけど、こんなに時間を割かれると効率が悪いとしかいいようがない。


「凛久の先生はスパルタだな」

「おかげ様で、ここ3日ほどで法律に関する知識が膨大に増えたよ」

「どうせ抜けるんだから増えたにはいらないわよ。ここ、字間違えてるし」


ほんっと、なんで模写してるだけなのに間違えるのよ。いい加減にしてほしいわ。


「直って高校のあの時から思ってたけどさ、勉強に関してはすっごいスパルタっていうか手抜かないよね」

「あー、確かに。てーことは、直ってもしかして根っこは真面目ちゃん?」

「いやそれはないね。直、小学校の時、男子としょーもないいたずらばっかしては先生から怒られてたし」

「それは梨央も一緒だからね。なんなら梨央の方が先生に見つかる回数多かったし」

「お前らいつもするその不毛な争いやめろよ。がきっぽい」

「「うっさい」」


なんてはもったりするのもがっきぽいんだろう。奈津子たちは笑っていた。仕方ないじゃん、小さいころから一緒にいるんだし。一緒にバスケしてきたんだし。近所や先生たちから悪がきとしていつも一緒に怒られてたんだから。


「つーかさ、そろそろお腹すかね?」


ペンをくるくる回しながら凛久が言った。確かに時間はもうすぐ1時になる頃で、言われればお腹が空いたような気がした。


「なんか頼む?それかなんか食べにいく?」

「‥なんで梨央には作るっていう選択肢がないんだよ?」

「うるさいなぁ。作るったって、どうせ動くの私らじゃん」


どうやら女子が動いて、その時間男子が動かないのが梨央はどうも気に入らないらしい。うん、梨央らしい考えだと思う。しかも仕事を分け与えたとしても、使えないっていうところまで計算にいれてる。


「つか、私に家で作るにしても限りあるんだけど。こんな人数分の食材置いてないし」

「確かに一人暮らしの家の食材使うのはちょっと気が引けるなー‥じゃあドライブスルーでも行くか」

「ピザでも頼めばいいじゃん、めんどくさい」


旬の提案をいつものことだけど梨央はばっさり切る。しかも毎回のごとくめんどくさいという理由で。こいつが買いに行くわけでもないのに。


「今の宅配は充実してるんだよ」

「んなもん知ってる」

「なら宅配にしたらいいじゃん。その時間私たちはここでゆっくりしてられるんだから」


いつもご飯のことになると、この2人がもめる。ていうか、梨央って私と言い合いして旬とも言い合いしてって、言い合いしかしてないじゃん。だからこいつは性格に難ありとか言われるんだよ。


「じゃんけんで決めろよ」


陽斗が2人には全く目もくれずそう言った。これもいつものことなのだ。盛大なじゃんけん大会を繰り広げる中、陽斗は真剣に勉強していて、教科書を睨みつけていた。


「珍しく勉強してるんだ」

「まぁな。陸上しに学校行ってるけど、理学療法学科だからな。テストはほかの生徒同様ある」

「ふーん。あ、だからこんな教科書開いてんだ?」


陽斗がにらめっこする教科書のは、病気のこととか生命学みたいなことが書かれていた。


「なんかこんなの勉強してたらこっちが病気かかりそうになるわ」


うーんと腕を伸ばした陽斗は冗談交じりでそう言って、教科書をぱたりと閉じた。そしてちらりとじゃんけん大会が終わった2人を見ると、梨央がガッツポーズしていて、今日のお昼は宅配サービスになったことを伝えた。


「くっそ、次は!」

「いや、次とかねぇし」


だからもう。なんでそんなばっさり切っちゃうのよ。

梨央は旬にとどめの一言をさして、受話器の前に立った。






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