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君の隣を約束します。  作者: ゆきうさぎ
<第6章>
41/54

静かな夜と聖なる夜と、(6)

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飯を食べて直より先に風呂に入ると告げた今、部屋を移動した俺から1番に出たのはため息だった。風呂の準備をしながら、今日の帰ってきてからの直の行動を思い出す。

最初はなにも思わなかったけれど、キッチンでいつものように忙しなく動く直の動きは、今日に限ってどこかぎこちない。いつもならああしてるのに、とか、あんなふうにしないのに、とか、まるで粗さがしのように、直の行動の違いを見つけてしまう。キッチンを覗きに来たふりをして、直の動きを確認した。どこかぎこちない、まるで何かを庇うような、そんな行動に違和感しか覚えなくて、それを隠している直になにも聞けなかった。


「あ、そういや最近不審者がこのあたりで出るんだってさ」

「不審者?」


ご飯を食べながら、ふと、噂になっていることを口にした。ここら辺に最近になって出るようになったと言われる男の不審者。時間を問わず、この辺を家を見ながら、そして誰かを捜すように練り歩いているらしい。ただの人捜しかなんかじゃないのかと思ったりもするけど、ここ2週間ほど見られるらしく、確かに不審者だ。

「不審者?」と言葉を返した直をちらりと見ると、別に返しはいつもと何も変わらないけれど、一瞬見開かれたその目には明らかな動揺の色を宿していた。


「‥もしかして、なんかあった?」

「え?いや、そういうわけじゃないけど、」


カマをかけたわけじゃないけど、うかがうように聞いてみた。俺の言葉に直はごまかすように、取り繕うように笑ってそう言った。どう見たってなにかあったとしか思えないような、そんな反応。すぐに俺から目をそらして黙り込んでしまった直を見てると、少しだけイラついた。なんで何も言わないんだよ、とか、なんで頼ってくれないんだよ、とか、そんな思いばかりがわき出てきて、気がついたら俺は直の前から姿を消していた。そして今に至るわけだ。


「…なんで、」


風呂場にぽつりと呟いた言葉は誰に返してもらえるわけでもなく、ただ吐き捨てたその場に落ちていく。こぼした言葉によって芽生えるのは、行き場所のない滞ったモヤモヤだけで。それはどこか怒りにも似た感情で。

なんで言ってくれない?

なんで頼ってくれない?

なんで隠すんだよ?

…そんなに俺が信用できないか?

悪く思えば思うほど、やるせないこの気持ちは膨れ上がっていく。


「くそっ、」


俺は壁に自分の拳をぶつけて風呂からあがった。



この時俺が、直にもっとちゃんと嫌でも聞いてやれば、あの日はこなかったかもしれないのに。





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