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君の隣を約束します。  作者: ゆきうさぎ
<第5章>
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黄金のリンゴ争奪戦(3)

嫌なことが目先にあるほど、時間というものは嫌というほど早く進んでいくもので。今日は全く待ちに待っていない学園祭だった。天気も手助けして、今日は絶好の学園祭日和なのである。ほんとう、神様も意地悪だ。ため息を何度もついて、辿り着いた学校はすでに学園祭一色でテントの中では部活やサークルが出店するための準備をしていた。


「あーもーやだー」


出来ることなら、あの先輩に会った少し前に戻ってミスコン出場を否が応でも抹消するのに。どらえもーん‥!


「そうごねんなって」

「いや、もとはといえばあんたが勝手に話進めちゃうからこうなったんだからね?わかってると思うけど。私はあんなに出たくないって言ってたじゃん」

「仕方ないじゃん、うけちゃったものは。もう取り消せないし」

「吹っ切れてんじゃないわよ。ちっとは反省しろ、この馬鹿!」


さっきからあんたのせいだって何度も言ってんでしょうが!学習しろ!


「いや、でもさ、マジな話な、俺だって気に食わないけどさ、勝てば向こうから身を引いてくれるんだよ?これ以上ラッキーなことないじゃん」

「そうだけどさ‥」

「なに。まさか勝てないなんて思ってんの?」


思ってますけど、なにか。だって先輩すっごい可愛いし、見方によっては美人だし、見るからに女子力高そうだし。勝てる要素って言ったら男前なとこくらいだもん。


「お前さ、もう少し自分に自信持てよ」

「…、無理」

「無理じゃねぇ。なら持て」

「なんで命令形!?」

「あのなー。お前は俺が惚れた女なの。もっというなら、陽斗が惚れた女でもあるし、あの兄貴が惚れた女でもあるの。あーもー、なんか言っててむかつくな、これ」


凛久言いながら不機嫌丸出しで私を見た。励ましたいのかイライラをぶつけたいのかどっちだよ。


「とにかく!直はそれだけ魅力あるの。少しは自分に自信持てよ。でないと、お前を好きになったやつの気持ちはどうなんだよって話だろ。俺が選んだ女だ。誰よりも可愛いし綺麗」


聞いててこっちが恥ずかしくなるようなセリフを言ってのけた凛久は、な?と優しく笑いかけてくれた。


「それでも負けたら?」

「俺の彼女が負けるか、ばか」

「彼氏の欲目がかなり混ざってるんじゃないの、それ」

「それは否定しねぇ」


いや、そこを一番否定してほしかったんだけど。結局励ましたのかよくわかんない感じになっちゃったじゃんか。まぁ、少しは元気出たけど。


「あ、今日あいつら来るらしいぜ?貴臣も来るってさ」

「貴臣君も来るんだ?彼、勉強の方大丈夫なの?けっこう美弥の家に入り浸ってるみたいだけど。美弥、頭良くないよ?」

「あいつも家庭教師は頼んでないって。俺のが頭いいって言ってたし」

「あー‥だろうね」

「とりあえず行って来いよ。俺も頑張るし」

「ん、りょーかい」


私だって凛久こんなことで取られたくないし、頑張らないと。

凛久と別れて準備会場へと行くと、すでにミスコンの参加者はきていて、その中には先輩もいて、去年の優勝者っていうのもあってか、すごく余裕な感じだった。先輩は私に気が付いたのか、私の元までゆっくり歩いてきた。


「怖気ついてこないのかと思ってた」

「…さすがに凛久はとられたくないんで、」

「あら、参加しても一緒だと思うけど」

「頑張れって言われたんで、負けられないです」


先輩にそれだけ言って、私は奥にある化粧ルームへと向かった。ちらちらと周りの女の子を見ると、さすがミスコンというだけあって、めちゃくちゃかわいい子とかきれいな子がたくさんいた。こんなにエントリーしてるってどんだけ自分に自信があんの。そりゃあ顔はいいけどさ…って周りから見たら私もその一人か。しかも1回生だし。


「みなさん集まりましたかー?説明するんで、声が聞こえるところまで来てくださーい!」


運営委員の人が招集をかけてくれて、その周りに集まった。


「えーっと1回の参加者も今回何人かいるんで、説明しますね。みなさんには登録番号の番号札を付けてもらいます。で、最初はみなさんステージに出てもらって、司会者の質問に答えていってもらいます。それが終わったらいったんこちらへ戻ってきてもらって、その間に集計。ウェディングドレスを着てもらいます。おっけ?で、集計の結果から今そこででやられてる男子と合流してスーツを着た男子と並んで歩いてもらいます」


先輩はそれだけ言って、質問は受け付けません!とだけ言い残して去っていった。うっわ、ウェディングドレスって・‥マジかよ。


「絶対に凛久君はあんたには渡さない」


いつの間にか隣に来ていた先輩が小声でそう言った。まるで勝ち誇ったような笑顔を私に向けてから、先輩はステージの袖のところへ行ってしまった。やっぱり勝てない、とか負けだ、とか思ってしまう。


「よっ」

「……ぇえ!?恵、ここ女子の控室!」

「知ってるってばー。だからそんな大きな声出さないでよ~」


恵は二ヘラと笑ってブイサインを出した。まったくブイなところがないけど、私は周りを気にしながら恵に何をしに来たのか聞いた。恵はへらへらしていたけれど、言葉だけはすごく真剣な声色で言った。


「あの先輩なかなか狡いよ。賄賂っていうかいろいろ手使って自分に票が入るように裏で動いていたらしい。気を付けた方がいいよ、ゆっきー」

「なにそれ、」


そこまで言ったところで、恵は運営委員に見つかってしまった。


「俺も応援してるからさ。頑張れよ。ゆっきーがいちばん可愛いよ。マジで。ゆっきーフリーだったら俺絶対ほっとかなかったもん」


恵はそう言って、私の目の前から逃げるようにして去っていった。恵の言葉に、クスッという笑い声が漏れた。なんか、元気出た気がする。凛久の前でこんなこと言ったら「俺の時は!?」とか言われそうだ。


「よし、頑張るかっ!」


私は息を大きく吐くと、ミスコンの舞台へと入っていった。






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