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君の隣を約束します。  作者: ゆきうさぎ
<第3章>
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ひと夏の恋ってよく言うじゃん?(2)

「さーてと、出発しますか」


みんなが揃って、凛久が運転席に座って、抗議はしたけど通らなかった私は、助手席に座らされて、高速を走り続けている。後ろは相変わらず音楽にノリノリで旅行気分を味わっているようだ。凛久は凛久で、どうやら完全に目が覚めたらしく、今は機嫌よく運転をしていた。ただ、普段の運転の時から思っていたけれど、こいつの運転は決して荒くはないんだけど、速い。スピード狂って言ってもいいと思う。実際に今、ちらりと見えたメーターはゆうに100kmを超していた。

‥ほんっと将来が怖いわ。


「お、プールが見えたよー!」


ただ、その甲斐あって、目的地にめちゃくちゃ早く着いたのも、また、事実。

指定の駐車場に車を停めて更衣室へ移動する。なんだか、去年のことを思い出して、クスッと思いだし笑いをしてしまった。そういえば、去年は美弥、元気ハツラツな女の子で攻めるって言ってたなー。今年はどんな水着買ってきたんだろう?もしかして去年と一緒だったりするのかな?


「あれ、美弥にしては珍しいの買ってるね」


かばんから出した美弥の水着を見ると、水着は花柄で普段と何も変わらないが、一緒にあったのは紺色のパンツと白のTシャツだった。パンツはともかく、上を着るなんて珍しい。


「え?あー‥まぁ、ちょっといろいろあって」

「酒の飲みすぎで太ったか?」

「そりゃあんたでしょ、梨央」


水着の上からボーダーのタンクトップを着た梨央は見せても綺麗なはずの身体をあえて隠していた。


「は?何言ってんの。運動してる私が太るわけないでしょ。これは、逞しすぎる腹筋を隠すためよ」


梨央はぴらりと上着をめくって、なんとも均等についた腹筋を見せてくれた。


「…女子でもお腹って割れるんだ」

「いや、男も女も身体のつくりは一緒だからね」


いかにも天然な発言をした奈津子の水着を見ると、奈津子も去年とは違った水着を着ていた。エスニック柄の赤色のワンピースを着ていて、去年の青色の綺麗めとは少し違った感じだった。


「直その水着、凛久と一緒に選んだの?」

「は?なんで?美弥と一緒に買いに行ったけど、」


その時美弥は買わなかったけどね。

今日の私の水着は、淡いオレンジの幾何学模様の水着だ。羽織はバルーンになっていて首元で結べるようになっているワンピースだ。一目ぼれして買っちゃった。


「ほんとに?なんかすっごいあいつの趣味っぽいんだけど」

「そう?まぁ凛久と服の趣味は似てるから仕方ないんじゃない?」


そう言って、全員が着替えられたかを確認すると、日焼け止めを塗って外へと出た。プールサイドにまで行くと、顔が良い集団なだけにめちゃくちゃ注目されていてすぐに見つけられた。


「はー‥ほんっとつくづく思うけど、あんたたちってよっぽど気が合うんだね」

「‥‥みたいだね」


時村の水着を見て、なんだか深いため息が出た。だって、凛久が履いている水着はエメラルドグリーンの水着で、柄は幾何学模様だったんだから。

なんでこんなとこまできて、同じ柄の水着着なくちゃなんないのよ。


「ま、いいんじゃないの?仲良しこよしってことで。そんなことよりプール楽しもうよ!あのウォータースライダーすっごく面白そう」


奈津子はいくつかあるウォータースライダーのうち、一番高くて一番怖そうなものを指さした。大人しそうな顔して、意外と絶叫系とかが好きみたいだ。わくわくしながらみんなでウォータースライダーへ向かって女子と男子に分かれてボートに乗って滑る。


「やっばい、めちゃくちゃ楽しい」

「次あれ乗ろー!」


奈津子は小さな子供みたいにはしゃいでいた。いつも大人しいし冷静だから、すっごく新鮮。

プールの中でどれに乗ろうかみんなで考えていると、私たちの後ろに並んでいた男子が滑ってきた。ものすごい水しぶきが飛んできて、笑い声が聞こえてくる。どうやらすごく楽しんでいるようだ。


「あ、ボート返しに行かなきゃ」


男子の乗ってきたボートが浮いているのを見て思いだした奈津子はそそくさとボートを2つとも返しに行ってくれた。‥別に男子に行かせればいいのに。


「次はやっぱりあれかな?」

「もう1回これ乗っても面白そう」

「あー‥捨てがたい!」


と、女子が話を進んている一方で、男子から聞こえてきた会話。


「美弥って意外と胸デカイな」

「思った!つーか直、スタイルよすぎるだろ!お前うらやましいな、オイ」

「人の彼女変な目で見てんなよ。あれ見ていいの俺だけ」


とまぁ、なんとも無利益な話をしていて、しかもそれは私だけでなく女子全員に筒抜けだったわけで。3人のこめかみがピシってなったのが見て分かった。


「こんの変態ども!一生沈んでろ!」


そう言って梨央は男子ひざの裏を器用に蹴ると、体勢を崩した男子を力づくで下に沈ませた。…いや、さすがに死ぬから。


「この馬鹿力!死ぬだろうが!」

「はっ、その方が世のためだし」

「んだと!?」

「なによ!?」

「あー‥はいはい、2人ともここプールだからねー。しかも今旅行中だからねー。喧嘩は帰ってからしてくれるかなー?」


いがみあう2人をぐいとこれまた力任せに引き離したのは、キラッキラのスマイルをした美弥だった。

‥あー、ほんといつ見ても怖いわー。夏なのに鳥肌とか立っちゃうし。地震、雷、火事と美弥ってな。





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