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君の隣を約束します。  作者: ゆきうさぎ
<第1章>
1/54

どうやら右折と左折を間違えたようで。(1)

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月日が経つのは早いもので。

高校を卒業した私たちはそれぞれの道に歩みだし、毎日頑張っている。みんなとは、いまだにこまめに連絡を取り合っていて、暇さえあれば、全員とは言わなくても何人かでご飯にいったり、ボーリングに行ったりと、なんだかんだで今を謳歌している。

大学生になって、時村の家に転がり込んではや、1か月ちょい。お互いに免許も取り終えて、車とバイクもあるから、不自由のない生活をしている。だけど、相変わらず毎日があの頃と同じようにドタバタしていることには違いなく、


「時村!起きて!もう電車行っちゃったから!」


時村の部屋に入って、布団をめくりあげて無理やりたたき起こす。それでも時村は目をこすりながら「あと5分」と小さく言ってシーツの上にくるまった。


「だから電車もう行っちゃったって言ってんでしょ!とっとと起きないと遅刻するから!」


うらぁ、と、シーツごとはがして、時村をベッドにしたに落とす。ドンッという鈍い音が聞こえて、腰をさする時村がベッドの下から顔をのぞかせた。


「いてぇ。ひでぇ。あんまりだ」

「うっさい。時計見ろばか。いつまで寝てんのよ」


私はそう言って、近くにあった目覚まし時計を時村の方に投げる。つーか、目覚まし時計なんて代物があるのになんでこいつ起きられないの。仕事しろよ、目覚まし時計。


「ぇえ!?8時じゃん!この時計壊れてんの!?」

「壊れてんのはあんたの頭の中だっつの」


なんで時計見て壊れてるなんていう発想ができるんだよ。電波時計が狂うかっての。


「ってことはぇえ!?電車もう行ったじゃん!」

「だからそれさっき言ったじゃん」

「なんで起こしてくれなかったんだよ!」

「起こしたっての。これ5回目なんですけど。だいたい大学生にもなって自力で起きれないっていい加減にしろよ」


一緒に住んでた高坂の気が知れるわ。


「5分で玄関まで来て。でないと置いてくから」

「5分!?せめて10分、」

「つべこべ言わずに用意しろ」


扉を勢いよくしめて、腕時計で時間を確認する。とっくにいった電車を思うとため息がこぼれた。本当に、定期やめさせてよかったと思う。最初は定期だったんだけど、半月くらいで電車に間に合う時間に起きれなくなりだして、今じゃ完全に電車のが早い。結局、5月からは車かバイクでの登校になった。


「あと3ぷーん」


玄関で鞄を持ちながら大きな声で時村に知らせる。部屋から大慌てで出てきた時村は、ボサボサの髪を直しに洗面所へダッシュし、必死にはねた髪を何とかしている。

‥あいつ寝相も悪かったのな。


「雪瀬、俺の朝飯は?」

「は?なんでそんな時間に起きてあると思うの?今日はなし。大学で時間あるときに購買で買って」

「お前最近、鬼度増してない?」

「誰のせいだろうね。ほらあと90秒」


実際にははかってないけど。テキトーに時間言っておけば、その時間に間に合わせるだろ。


「お、やればできるじゃん。さ、行くよ」

「ちょ、早い、」


だから、あんたが悪いんだってば。

扉を開けて鍵を閉めると、マンションの階段を降りて車庫に入ってあるバイクに近づく。


「え、今日バイクなの?」

「誰のせいだと思ってんの?」

「…俺のせい?」

「聞かなくてもそうに決まってるでしょ。この時間、通勤ラッシュで大きな道が混むの知ってるよね?なのに車で行こうとか思ってたわけ?」

「でも俺鍵持ってきてないよ?」

「ここにあるから問題ない」


私はポケットの中からバイクの鍵を取り出すと、時村に投げ渡した。それを受け取った時村はため息をついて、ハンドルにかけてあったヘルメットを手に取って、もうひとつを私に渡した。


「要は、細い道を通らないと学校に間に合わないと、そういうことだな」

「そういうこと。物わかりがはやくて助かるわ」


本当は朝起きた時点で気が付いてほしかったんだけどね。

私はマンションの前まで移動して、バイクにまたがって出てくる時村を待った。すっかり準備の出来た時村が車庫から出てきて、その後ろに乗ると、やっと、私たちは家から出発した。なるべく大きな道はこむから避けて、細い道というか抜け道を通る。ここを通ると10分はつく時間が縮まる。


「やっば、あと5分」


大学について、時計に目をやれば、もうすぐ授業は始まる時間だった。私はいまだに教室の場所を覚えていない時村の腕を引いて学内の階段をのぼる。開いている扉をくぐって中に入ると、まだ先生は来ていなくて、教室の中には見知った顔がたくさんあった。


「ぎりぎりだな、お前ら」

「間に合わないかと思ったー」


などと声をかけてくれるみんなに挨拶をしていると、後ろから何とも言えない黒いオーラを感じて振り向いた。


「げ、芝ちゃん」

「げ、じゃねぇ。でもってなんでここにいるのみたいな顔してんじゃねぇ。チャイム鳴ってんの聞こえるだろうが。お前らはチャイムが鳴る前に学校に来て席についてる、そうだろうが。とっとと席につかねぇと遅刻にすんぞ」


芝ちゃん、もとい芝 翔太朗(しばしょうたろう)先生は暴言を吐きながら教壇の前に立った。結局、大学に来ても、こういう口と態度の悪い先生の元で勉強するはめになるのだと思うと、少しだけ笑みがこぼれた。


「出席いらねぇのか」

「いる!座るから!」


ただ、高坂よりも辛口で、厳しい。やっぱり、大学の先生って感じ。






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