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キジン師匠の裏祓い+α  作者: 朝霧 陽月
導入&蟲霊と呪術編

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第6話 キジンはそこそこ偉いらしい ーキジンさんの霊的説明回(壱)ー

 はい、それでは今までの話をまとめよう。


 クラスメイトに大量の蟲の霊が憑いていた。

 それに気付いたせいで、俺も監視用の羽虫に憑かれていた。

 師匠が処理した結果、それに勘付かれて、監視用の羽虫は強化され数も増えてた。


 この蟲を使役しているのは人間ではない。そもそも術式の系統的が人の扱えるものではないという師匠の談。


 養蚕業と管理されてない石碑はたぶん多少何かに関係している……と思う。


 そしてここから導き出される答えは……!!


「いや、マジで分からない……なんで人間じゃない存在が、わざわざ蟲を操ったり、特殊な術を使ったりして、手間をかけて人間に絡んでくるんだよ!!」


 俺は訳が分からな過ぎて頭を抱えた。


「おー、どうした、もう降参するか?自分で答えを出すのは諦めるか?」

「…………ちなみにここで降参した場合はどうなりますかね」

「ポイントが一つ増える」

「いや、何の!?」

「罰ゲームポイントみたいなものだな、これがもし十ポイントたまると……」

「た、貯まると?」

「ふふふ、それはたまってからのお楽しみだな」


 それ絶対、俺は楽しくないやつだよね!?マズい、絶対にためたくない……でも答えも分からない!!

 ……いやでも、今回の一ポイントだけなら、まだ全然大丈夫では?

 あとの九ポイントたまらないようにさえ気を付ければ、問題ないはず……。


「ちなみにお前のポイントは現時点で二ポイントほどたまっているぞ」

「いつの間に!!全然聞いてないですけども!?」

「それでどうする、もう少し粘るか?」

「……い、や今回は諦めます」


 今粘ると言っても、答えが出るか分からない。そうやって時間が掛かって師匠を待たせた場合、暇を持て余した師匠が変なことを思いつくリスクもある……ここは戦略的撤退を選択すべきだろう、たぶん。


「そうか、ならば仕方ない。ではこれで三ポイントだな」


 そもそも、把握しないうちに勝手に発生している最初の二ポイントは何なんだよ……!!というツッコミを飲み込みつつ師匠の次の言葉を待つ。


「今回の一件を人間のすることで例えるのであれば、養蜂が近いかも知れぬな」

「養蜂って蜂蜜を作るアレですよね……」

「そう、アレだ。もっとも奴らが搾り取っているのは、花の蜜ではなく人間の持つ諸々のエネルギーのわけだが」

「人間の持つエネルギー……」


 エネルギーというと、何というか曖昧でふわふわしている話だな。霊が見えている俺が言うことでもないが。


「イマイチ腑に落ちないという顔だな」


 師匠は俺の内心を見透かしたようにふっと笑う。


「なにも難しい話ではない。現実で吸血する虫がいるのだがら、霊界にはエネルギーを吸い上る蟲が存在するという話だ」

「え、つまりアレですか。何か霊的な存在が、これまた霊的な蟲の存在を利用して、人間から生命エネルギー的なものを奪い取ってるって話になるんですか?」


 さっきの養蜂の話を加味すると、俺たちの生命エネルギーは花の蜜ということになるが……。


「おお、分かったではないか。まぁ奪い取るのは生命エネルギーだけではなくて、幸運に才能、名声、金運なんかの概念エネルギー全般が含まれるがな」

「いやいや、そんな色んなものが取り放題なんですか!?」


 最悪だよ!?生命エネルギーだけじゃなく、幸運や才能、名声、金運まで横取りされるのかよ……!!怖すぎるだろ……いや、生命エネルギーを取られるのも普通に嫌だけども。


「しかし取れるとは言ったが、実際はそう簡単なものではないぞ。だからこそ、このような蟲や特殊な術を駆使して、手間をかけてわざわざ奪い取っているわけだ……まぁ一種の特殊技能だな」

「……存在しないで欲しい特殊技能ですね」

「ちなみに最近のトレンドは、才能がある人間に早めに目をつけて、敢えて育ててから才能も名声も、その時持ってる幸運も丸ごと収穫するという手口らしい」

「嫌すぎる……!!」


 敢えて育ててから収穫って、完全に人間を作物か何かだと思ってるじゃねぇか……あまりにも倫理観がなさすぎる。いや、人間なんて所詮ただの食料って認識なのか。嫌いだわ。


「ちなみに気付いたお前へ監視を付けた理由の一つは、横取り防止のためだな」

「横取りって……俺も同業者だと思われたんですか?」

「それもある。アイツらは似たようなことをしている同士で、獲物の奪い合いをしているからな。弱そうで旨みがあれば容赦なく奪う」


 そもそも人間を獲物扱いするのをやめろって話だが……言っても無駄なんだろうなぁ。


「あとは管理者側に見つかって、しょっ引かれるのも嫌だから警戒しているのだろう」

「その管理者というのは……?」

「目の前にいるだろうが」


 そう言って師匠は胸を張って自分を指す。相変わらず目は黒い帯で隠してあるのに、ドヤ顔していることが伝わってくる。いつもそうだが、この人は無駄に表情が豊かだ。


「でも、そういうことをやってるのを一度も見たことはありませんが?」


 俺の記憶ではこの建物でグダグダしたり、俺と会話している以外は、謎の空間でバケモノ退治をしてるシーンくらいしか記憶にない。もしかしてアレと、今回のアレが似たようなものなのか……。


「そんなチマチマ人間を守るような下働きはせん。これでも私はそこそこ偉い存在だからな」


 自分で偉いって言うなよ……!!しかしこれで今回のこれと前回相手にした大蛇みたいなのが、そもそも格が違うものだと分かったのはよかったかもしれない……いや、やっぱり良くもないわ。


「本来この手合いを処理するのは、普段から現世にいて仕事をしているような連中だ。まぁアイツらは基本、目が節穴だから見落としまくって各地で被害が出まくってるわけだが」

「それは許していいんですか?」

「正直なところ、人間が極端に死にまくらなければ別に良いみたいな風潮がある。なんだったら仕事するのが面倒で、分かっててわざと無視してる場合もあるしな」


 管理者ひでぇな、おい!?

 余計な手間を増やしたくなくて、出来ることも敢えてやらない公務員みたいだ。どこの世界でも公務員的な役割を担っている存在が、手を抜いたり雑な仕事をしがちになるのは、共通項なのだろうか……。


「それはそれとして、シキの勉強のために今回の術の種明かしもしておいてやろう」

「種明かし……ですか?」


 俺が聞き返すと、師匠は楽し気にニヤリと笑った。


「蟲を用いた呪術の組み立ての話だ。基礎から教えてやるから、よーく聞くようにな」


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