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キジン師匠の裏祓い+α  作者: 朝霧 陽月
導入&蟲霊と呪術編

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第5話 キジンは敢えて泳がせる派 ー主人公の考察&師匠ウザ絡み回(壱)ー

 蛇肉の感想だが、まずくはなかった。

 だが肉自体がやや硬く、水分が多めなのが印象的ではあったが、味は比較的鶏肉に近かった。

 ただどうしても脳内に蛇がチラつくので、個人的にはわざわざ食べたくないと思いました、はい。


「それでは本題に入るか」


 そう言いつつ、師匠は空になった皿を俺に押し付けて来た。自分は満足したのでテキトーに片して置けと言うことだろう。この人はいつも大体こんな感じだ。

 仕方ないので自分の食器も含めて手近な机の上に置いておくと、そんなことは気にする様子もなく言葉を続けてくる。


「宿題の方だが、情報はどの程度集めることが出来た?」

「本人に話を聞けました。どうやら母方の実家の方に行ったらしくて、そこでは昔養蚕業(ようさんぎょう)が盛んだったらしいです」

「ほう、他には」

「殺した(かいこ)を供養するための石碑とかもあるそうですが、最近はイマイチ管理がされてないとか」

「ふむ……それでシキお前はどう感じた? 今回の一件原因はどこにあると思う」


 師匠はニヤニヤと試すような口ぶりで、こちらの顔を覗き込むように問いかけてくる。


「順当に考えれば、供養が不十分な石碑のせいかと……」

「なるほどな……うむ全然ダメだ」

「え?」


 すると師匠は俺の額へ思いっきり、デコピンを食らわせてきた。


「うがっ!?」


 痛い、痛すぎる!!デコピンなのに凄まじい痛みだ……!!

 あまりの痛みにうずくまっていると、頭上から師匠の声が降ってきた。


「シキ、最初に言ったはずだが忘れたな? お前がここに来た時に付けていた蟲は何者かに使役されているもので、しかもそれは人間ではないと」

「…………あ」


 そういえば、そうだったな……後に起こった出来事のインパクト (昨日の神堕ち大蛇に、今日のえぐい霊体虫柱)のせいで忘れていたが、そういえばそんなことを言っていたような……。


「それを前提としたもう一度考えてみろ、今回の一件の原因はなんだ?」

「……少し考える時間をください」

「うむ、よかろう」


 痛みが収まって来たので立ち上がった俺は、深呼吸をして改めて考えを巡らす。

 一度情報を整理しよう。



 さて、最初に俺がうっかり蟲を憑けて言った時の発言は確か——


『しかし、この蟲を使役してる者は人間ではなさそうだな……』

『纏ってる邪気や、術式の系統的に人が扱えるものではない』


 とか言ってたな。そして俺に蟲が憑いてしまった理由がその蟲に気付いてしまったからで、しかもその蟲はアイツに憑いているのと違って認識阻害も掛かっていたんだよな。


『術を見抜いた者への防御機構兼、偵察用といったところか。認識阻害は掛かっていたが十段階評価で下から二番目程度だな』


 あれ、思い出せば思い出すほど、段々関わりたくなくなってきた。絶対に厄介な存在だろ、これ!?

 まぁまず厄介じゃない存在は、人間に大量の蟲や蟲柱を憑けたりしないだろうがな!!

 っていや、待てよ……。


「あの……」

「なんだ」

「昨日来たときは、アレを見たせいで認識阻害の掛かった蟲が憑いてたみたいなんですが……今回は……」

「憑いてるぞ、前回の倍以上な。正直いつ言い出すか待っていた所だ」

「はぁ!?今まで教えてくれないなんて酷いじゃないですか!!」

「酷い?ただ成長を促すため自分で気付くのを待っていたのだが」

「分かりましたよ、だから早く取ってくださいっ!!」

「いや、今回は一旦認識阻害が掛かったままの、蟲を自力で一度見てみろ。そしたら取ってやる」


 その言葉を聞いた瞬間一瞬、俺の思考が停止する。蟲を自力で見ろ?


「認識阻害が掛かっているのにぃ!?」

「だからこそだ、軽度の認識阻害くらい突破できるようになれ」


 またこの人は、いきなりむちゃぶりを……!!でも絶対にその通りにしないと、蟲を取ってくれないんだろうな……クッソ!!


「……どうすれば認識阻害が掛かってるものが見えるですか?」

「霊が見えるように回路を開いている時に、更に感覚を鋭くしてみろ。隠されているものを探し出すような感覚だ」

「何というか、またふわっとしてますね……!」

「概念的なものを扱うと自然とそうなるものだ」

「はいはい、分かりましたよ……!!」


 もう既に霊は見える状態なので、そこから更に感覚を鋭くして、隠されてるものを探す感覚……集中。感覚は鋭くなったのに意識はやや遠くなる、そしていつも普通に感じている、音や空気、温度などの感じ方が曖昧になり、代わりに何かが……俺の近くを飛び回り……。


「っっ!!なんか昨日より更にデカめ羽虫が4匹もいませんか!?」

「おお、気付いたかならば上出来だな」


 そうして師匠がパチンと指を鳴らした瞬間、俺の周囲にいた特大の羽虫は青い炎に包まれて一瞬で燃え尽きた。


「ちょっと近すぎて熱いんですけども!!」

「いいだろう、別に燃え移ってはいないのだから」


 燃え移ったらヤバ過ぎるだろ……!!


「昨日より大きさが大きくなり数も増えたのは、昨日監視につけた羽虫を処理しまったせいだろうな」

「え……それって」

「向こうも異変に気付き警戒しているということだな」


 いや、それって時間が経てば経つほど、俺が危ないってことでは?


 それに気付き、すっと血の気が引いていくのを感じた。


「さて、それではシキよ」

「……はい」

「今回の原因について推理はできたか?」

「一連のやりとりでせいで、多少あった推理が考えが全て吹っ飛びましたが!?」

「ふん、情けない奴め」


 う、うぐぐぐ!!納得できない……!!


「では仕方ない、もう少し時間をやるから。改めて考えをまとめて見るがよい」


 そうして師匠はニヤリと意地の悪い笑顔を浮かべたのだった。


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