一章〔5〕魔法
「とりあえず。うーん、そこそこ広いとこ行こうか。今魔法打つと洞窟崩れちゃうかもだし」
ちあきはこちらに手を差し伸べてくる。
「ほら、早く行くよ。手掴んで。私結構早いからしっかり握っててね」
なぜか恋人繋ぎ。心がドキドキする所存です。やばい。前世だと女の子関係はボロボロだったから凄く心臓が跳ねる。
「さっきはアケボシ君が来るかもしれなかったから使っていなかったんだけど、この世界には魔法以外にスキルってのがあるの。行くよ」
【加速】
瞬間音を置き去りにするほどの速さでちあきが走り出した。
「待って、死ぬ。死ぬぅ。手ちぎれる。待っでぇ!」
「しっかり握っててね! 死ぬよ!」
死ぬ。速すぎる。この世界の人間ってみんなこのレベルなのか。物理法則とかどうなってるんだろう。なんかクラクラしてきた。吐き気もする。
「あ、ここらへんよさそう。アケボシ君? あれ、アケボシ君。 死んでる?! 起きて起きて!」
「はっ! 生きてる……? 生きてる!」
「良かった。今のはスキルっていうの。また今度スキルについては教えるからとりあえずここで魔法を教えてあげます!」
「まず心を落ち着かせます。そして文字が浮かんでくるでしょ。それを気合入れて読む! んにゃー! って!」
と可愛い仕草で教えてくる。小動物みたいだ。
「お手本見せるね! んっ!」
ちあきは目を閉じて集中している。周りには何か青色の気配?が見える気がする。
《ウォタラ》
そう声を発した瞬間ちあきの手のひらから水の球が発射された。その後壁に当たり消失した。
「はぇ!? す、すげぇ、これが魔法。お、俺もやってみる」
正直魔法使えるかは分からない。説明聞いても全くよく分からない。まずは心を落ち着かせて、なんか見えてきた気がする。しかしもやがかかっていよく見えない。ちあきの方をみるとよくわからない踊りでめちゃくちゃ応援してくれてる。そのおかげか緊張がほぐれたのだろう。
見えた。
《ガイアード》
瞬間巨大な土の塊が前方に飛び出てきた。
「で、きた……? できた!! 俺すごくね! え! やばくね!!」
興奮で語彙力が下がる。
「え……? えぇえ? 上級魔法じゃん! 本当に初めて魔法使ったの? え……? Sランククラスじゃん! 凄いよ!」
ちあきは驚きつつもめちゃくちゃ褒めてくれる。この世界だと俺はわりと強い方なのか。転生最高と思いつつも、体の違和感に気づく。魔法を撃ったあとすぐにめまいがした。それに吐き気もする。気持ち悪い。
「あ、そうだ! 言うの忘れてたんだけど、魔法とか使うと精神とか身体に負担かかるからでかい魔法は連発できないから気をつけてね!」
にこやかにちあきは魔法について補足したのだ。




