二章〔13〕悪夢の再開
神は世界に別世界から5人の英雄を召喚した。彼らは『均衡崩者』と呼ばれた。
そしてこの世界にもそれと同等の力を持つものが生まれた。彼は騎士王と呼ばれた。彼の名はアーサー・ブレード。
彼ら6人は世界を救う為に魔王へと勝負を挑んだ。
世界は彼らによって平和を取り戻した。
「アサヒ、きいてるか? 歴史を学ぶのも騎士として大事なことなんだ。 ちゃんと話を聞いてくれ」
「知らん場所で、知らん世界の、まったく知らない歴史言われてもピンと来ないだろ! なんだよ、バランスブレイカーとかアーサーとか、覚えられん覚えられん」
「そうは言ってもな、騎士長から頼まれてるんだ」
俺は今騎士寮で毎日勉強と戦闘訓練をしている。過密スケジュールで寝る時間は四時間ほどだろうか。いくら丈夫なミノタウロスの体とはいえなかなか厳しい。
「少しだけ寝ていいか、疲れた」
「少しか、しかし時間がない。あと4日で今の世代まで歴史を教えないといけない」
「頼むよ。ほんの少しだけ」
「仕方ない、分かった」
__
「ここが、チアキの部屋か」
少し冷えた廊下で立ち尽くす。目の前にある茶色の扉は重く閉ざされている。チアキと話すのは何日ぶりだろうか、何度も死んでいたせいでとても長い時間会ってない気がする。
そもそもチアキは話してくれるのだろうか。目の前で焼け死んだ人がミノタウロスの姿で蘇ったなどきっと信じてくれない。しかも、彼女の精神状態は最悪だ。聞いた話だとずっと泣いているらしい。
だからといって、進まないならここで俺たちの関係は終わる。俺は彼女が好きだ。彼女を救いたい。きっと彼の兄の代わりにはなれない。それでも少しでも彼女の気持ちを楽にできる可能性があるのなら、
コンコンッとドアノックする。
再度ノックする、反応はない。
何度ノックしても反応はない。
「チアキ、いるか、少しだけ話をしないか」
話しかけても、何をしても反応はない。
「君に会いに来たんだ、俺はアサヒだ。頼む、少しだけ話してくれ」
そのとき、ガサッと物音がしたと思う。
《ウォタラ》
水の玉がドアをすり抜け飛んできた。身体が宙を舞い壁に叩きつけられる。
「冗談でもアサヒを名乗らないで! アサヒは、しんだの、私のせいで!! 私が、彼を殺した、兄様も殺した。私が、いなければ、私さえいなければ、良かったの。私が! いるから、みんな不幸になる。あなたが誰かは分からないけど、私は誰とも話したくないの。だからもう来ないで」
それは冷たく哀しみを帯びた声だった。その言葉に対し俺は何も返すことができなかった。
__
「アサヒ、アサヒ! そろそろ起きるんだ。また、歴史の勉強の続きをやるぞ。私もそんなに暇じゃないんだ」
「おはようペスタ」
「おはよう。少し顔色が悪い気がする。どうしたんだ? 変な夢でも見たのか?」
「数日前のことが夢に出てきてな、まぁ、あんまり気にしないでいいよ。もう吹っ切れてるからさ」
「そうか、じゃあ続きをやるぞ」
その後のことはあまり覚えてない。聖戦が何とかだとか、戦塊が何とかとか、言っていた気がする。
その夜はあまり寝れなかった。
久しぶりです。また投稿し始めます、日付は未定です




