二章〔10〕いろいろ雑な世界で生きることになりました。
まぁ、とりあえず、赤の角部屋を探すしかない。
いつもそうだ、適当な説明されてなんか放り出されてる。
酷くね? 一応この世界初心者なんだけど、もっとなんか、なんか、優しくしてほしい。
まぁ、可愛い女の子たくさんいるからそこはいいところだな。うん。
罵倒されるのにもなんか慣れてきた。もっと言われたい。
とりあえず赤の角部屋だよな。
そもそも、この世界における赤ってのが俺の知ってる赤なのかどうか怪しい。そんな都合よく赤いのあるのか?
周りを見回すと、真っ赤な屋根があった。
人?
屋根の上に人影のようなものが見えた。
そしてその人影はだんだんとこちらに近づいてきて、
《ブリザード》
針状の氷ががこちらに飛んでくる。
見えるのはいいんだが避けられないんだよな。
半ば諦めかけていたその時目の前で風が起きた。
「アサヒってのは君のことかな? リアから君がここにいると聞いてね。一応、今日から君の見守り係として1週間いさせてもらうよ」
「えっと、はじめまして?」
「そうだね。はじめまして、よろしくだね。とりあえずあれを止めるからね」
「ペスタ、お前はモンスターを信じるのか?」
凛とした声でこちらに呼びかける。彼女の姿はチアキによく似ていた。
「そうだな。僕は騎士長の命令に従うだけだよ。シルヴィア、君はそろそろ大人になるべきだよ」
「黙れ、ソード家の威厳を損なう発言は慎め」
二人の間には壁があった。
「君はメンバーの中でもかなり期待しているんだ。副隊長なんだからさ、あまり変な行動はしてほしくないんだが、どうかな? 少し手合わせでもするかい?」
「望むところだ。私が勝ったらそのミノタウロスは殺す」
ん?
「え、? 1回落ち着こ餅つこ! 俺の話は聞いてくれないの?」
「黙れ」
なんでこんな冷たいんだよ。まぁ、俺モンスターだし、そういう扱いなのも、仕方ないのはわかる。でも、少しくらい話聞いてくれてもいいじゃん。
「アサヒ大丈夫だよ。僕は彼女には負けないから」
そういう話ではないんだよなと思いながら仕方なくついていく。
「うぁ、あれ噂の変態ミノタウロスじゃない?」
「あ、事あるごとに、女に突っかかるって話の?」
「気持ち悪〜い」「それなぁ〜」
なんか変な話広まってないか? 騎士寮の中を好奇な目で見られながら歩く。なんか、すごく心が縮こまる。
元の世界って楽だったんだな。
「ここだよアサヒ。ここが騎士寮の訓練場だ」
目の前の世界は地獄だった。広がる血と汗の匂い。そして、傷だらけになりながら戦う騎士の姿。
見覚えのある顔も何人かいる。
「君は明日からあそこで鍛える。ラヴィルから頼まれてるからね。星の力が無くても戦える戦士にしろってね。まぁ、まずは見といてくれ。僕とシルヴィアの闘いを」
そう言うと中央にあるスタジアムのような場所に二人は向かった。
(ピンポンパンポーン! 七番隊アナ・ログです! お伝えします!
訓練場中央スタジアムにて、三番隊隊長ペスタ・ソードと同じく三番隊副隊長シルヴィア・ソードによる模擬戦を行います。訓練場にいる方は直ちに戦闘を停止して下さい。以上です!)
脳の中に直接響く。ギガネイラと同じ感じだ。
スタジアムの一番前の席だが、周りにあんまり人がいない。みんな後ろの方に固まっている。映画館的な感じなのだろうか確かに手前は嫌だが、後ろは後ろで見づらくないかと思う。個人的にだが。
「三番隊隊長ペスタ・ソード! 私はハルトの意志を継ぐ|剣《つるぎ
》!」
「三番隊副隊長シルヴィア・ソード! 私の剣はチアキを守る為に!」
「「いざ勝負!」」
〈ボンッ〉と空に炎が打ち上がる。
そして、剣劇が始まった。




