一章〔3〕早すぎる告白
「おみゃあら、勝手にはなっしゃってるけど、とりゃーずわっしゃとケインは外に出るってことけぬな!」
「そうですよ。お兄様。私たちは早く洞窟から出ましょう。崩れてしまったらお兄様の命が危ないです」
「アケボシ! チアキさぬは正直弱いっしゃ! だけれ、助けてやってりゃ、とりゃーずわっしゃケインの言う通りにしか動けぬ」
「分かった、なんとか守ってみる」
「それで貴様、お前はどうやって戦うんだ。勇者のような服を着ているのに貴様は剣すら持っていない。貴様の武器は何だ?」
何も考えてなかった。でも多分、魔法やらスキルやらなんか使えるのだろう。流石に転生させた奴もそんな裸でここに送り出すことはないだろう。それは理不尽すぎる。
まぁ、一応なんかもらっとこう。
「ちょっと武器なくて、なんか貸していただきたいです!」
「ケイン、なんか渡せるやつ持ってるっしゃか?」
「貴様に扱いきれるかは知らないが、これを使うといい」
そう言いながらこちらに紫がかった短刀を渡してきた。軽く振ってみると手に馴染む。少しの重みが心地よい。
「これは?」
「佐々木49番刀の24番 答魂だ。この短刀には魂がある。この剣は生きている。貴様が本当にこいつを必要とした時に応えてくれる」
「なるほど。分かった。ありがとうケイン」
「礼等いらない。死んでもチアキを守れ。貴様はそれだけでいい」
めちゃくちゃ上から目線だが、ケインもいい人だ。
「では、私達は外に向かう。ご武運を」
「まぁ、頑張らっしゃぞ! アケボシ! 生きて外に出てこいけぬな!」
「ありがとう! 絶対チアキを連れて戻ってきます!」
「せや! これ持って行くっしゃ! 腹空いたら食えっしゃよ! じゃあな!」
カインは去り際にこちらに黒い塊を投げてきた。多分おにぎりだ。ポケットの中におにぎりをしまい片手に先ほどの短刀を持つ。
「急がないとな」
結構チアキが行ってから時間が経ってしまった。自分にできる全力で走る。前世の時に比べたらかなり速く走れている。
おそらく、10キロぐらい走ったのだろうか、奥に人影を見つけた。
「つっかれたぁー! いったん休憩! 私頑張った! てか、遠いよぉ!! どこにいるのお兄ちゃん!」
どデカい声でチアキが独り言を話していた。ちょっと気まずい。
「あの、チアキ? よ、よ!!」
話しかけると、彼女は顔を赤らめ、あわあわし始めた。
「い、今の独り言聞いてた? いつからいたの?」
「全部聞こえたよ。 チアキって一人でもあんな感じなんだね」
「わ、私はいつも、元気なの! 変な子じゃないの! それより!! なんで私についてきたの! 危ないでしょ! アケボシ君さっきまでケガ人だったじゃない!」
可愛いけど、この子はほんとに大丈夫なのだろうか。すぐ、悪い人に騙されそうだ。
「チアキに助けてもらったからさ、チアキを俺も助けたい」
「ありがとね。でもね、ほんとに危ないよ。だからね、今すぐ出たほうがいいよ」
「アケボシ君。本当に着いてくるの? さっきまで死にかけだったでしょ? 大丈夫なの? 死ぬと思うよ?」
「それでも、俺はついてくよ。それに、カインとケインさんに頼まれてるから。死んでもチアキを守れって」
「うーん、仕方ないなぁ、でも、無理はしないでね。私さBランクなの。だから、弱いからさ、アケボシ君を守りきれないから、危なくなったらすぐ逃げてね! これ約束だよ!」
ランク? 強さ的なやつだろうか。
「分かった! 約束するよ。俺も弱いと思う、だから、チアキもすぐ逃げてな。二人でちゃんと帰ろう」
「二人じゃないよ、四人で帰るんだよ。お兄ちゃんとラヴィルと私とアケボシクン! みんなでここから出ないと」
「そうだな! みんなで帰ろう」
「うん!」と言いながら透明な笑顔で彼女はこちらを見つめた。やっぱり、チアキは可愛い。自分の好みどストレートだ。顔も心も身体も、全部が好きだ。
「俺、チアキのこと好きだ」
気がついたら、俺は声を出して愛を伝えてしまっていた。会ってから一日も経っていないのに。俺は彼女に好きと言ってしまった。
「ふぇ、? 好き、、? え? どうしたの、急に? アケボシ君、大丈夫、? 私頭のケガは治せないよ、?」
チアキは首を何度も動かしながらこちらを見ては目を逸らしている。
「ご、ごめん。 忘れて、うん! 今のは、聞かなかったことに!」
自分でもよくわからない。何でこんなすぐに「好き」と言ってしまったのだろう。
今、彼女は赤らめた顔を隠すように隣でしゃがんでいる。
「今日はじめましてだよ! 頭おかしいんじゃないの! 女の子をからかうのはダメなんだよ! バカ! 後でお兄ちゃんに言いつけてやるからね! でも、ちょっと嬉しかった」
「ありがと、アケボシくん」
彼女は可愛い。きっと俺はこの笑顔を忘れることはない。
「あ、そういえばアケボシくんは何ランクなの?」
「ランク?」
「強さ的なやつ! わかる?」
「俺はえっと」
なんだろう、、
ちょっとカッコつけたい。
なんか強い雰囲気を出してみたい。
あわよくば、チアキに褒められたい。
「俺は、Sランクだよ!」
だから、適当に答えたのだった。




