二章〔5〕到着、騎士庁舎!
「でっけぇ、あれが騎士庁舎か」
目の前にある建物をみて驚く。現実世界で言うところの市役所くらいの大きさをしている。ただ、装飾が凄まじい。
建物が3つ連なっており、2つは龍が巻き付いた塔のようなものが左右にある。そして、真ん中は城のような外見をしている。
〈ついたとよ、しぬとよ、もぉやすんでいいとよ?〉
〈ありがと、ゆっくり休めよ〉
〈フンス!〉
トヨの助は限界、牛一号はフンス、フンスいってる。まるで、文化部と陸上部のようだ。体力に差がありすぎる。
「とりあえずアタシがいってくるから、ここで待っとけアサヒ」
「分かった」
ラヴィルは門をこじ開け勝手に入っていった。あんなんで大丈夫なのだろうか。少し心配だ。
三匹で待っていると誰かがやってきた。
「あれは、お客人様の牛車かしら。ちょっとわたし、見に行ってきますわ、先にクルクはフユミ様のとこに向かっておいてくださいまし」
「了解です、リア先輩!」
そして、コンコンと窓を叩き
「失礼しますわ、誰かいますかしら? もし、いらっしゃるのなら、牛車を中に入れてほしいわ」
と中をのぞき込んできた。
「ギャァァァ!」
叫び声がし、そして、
〈ビュン〉と風を切る音がし、肩から大量の血が出た。
「ミノダゥロゥズゥァ」
とメイド服の女が叫びながらこちらに魔法を撃ってくる。
〈フンス!〉
と鳴き牛一号が走り出した。
〈朝とよ、? なんとよ! とりあえず、走ればいいとよね!〉
寝起きのトヨの助はすぐに状況を把握し、走り出した。こういうときは頼れる牛だ。
後ろから風の槍が飛んでくる。それを何とか避けながら街を駆ける。
「死んでくださいまし、死んでくださいまし、死んでくださいまし」
呪いのように叫びながらメイド服が走ってくる。さっきからずっと無詠唱で魔法を唱えている。あの人も騎士隊の人間なのだろうか。相当強いメイドだ。
下手したら、冥土に送られてしまうな。
ははっ
肩から流れる血は止まらない。だが痛みを感じない。なんだか、無性に興奮しているからだろう。街中を馬鹿な牛3頭で駆け回る。
めちゃくちゃ楽しい!
街は悲鳴で大パニック。ただ、もう突っ込むしかない。
初めてこの世界で街に来たが、すごいいろんな種族がいる。
猫耳や犬耳はもちろんのこと、小人やエルフなんかもいる。そして、みんな美男美女。凄い世界だ。
〈ぶつかるとよぉ!!〉
前を見ると、見覚えのある人間がそこにいた。
「せこの牛車止まるっしゃ!」
〈フンス!〉
「これ、無理だな」
〈ガッシャーン〉
大きな音を立ててぶつかった。街中だから、いま外に出るととてもまずいことになる。ただ、流石に心配だ。
ちょっと見に行こうかと思ったら、もうすでにメイドが待機してた。
「カイン様、ご無事ですか? そちらの牛車の中にミノタウロスがいますわ。すぐに対処をお願いしますわ」
「死にかけただっしゃよ。とりゃーずみてみるっしゃ」
そして、目が合った。
「ミノタウロスだっしゃ! 怪我してるっしゃ、これは一体どゆけぬか?」
「カインさん! 助けてください。明星朝日です! なんか、急にメイドに襲われて、逃げてて! あの、助けてください! ヘルプミー!」
もう一か八か、かけてみるしかない。カインが信じてどうにかたすけてくれることを祈るしかない。じゃないと多分殺される。
メイドに冥土に送られてしまう。
ははっ、、
「なんだっしゃ! しゃべっつぁ! このミノタウロス、突然変異種だっしゃ、? アケボシアサヒ? どゆことしゃ、?」
まぁ、パニックになるのも仕方ない。
「まぁ、よく分かりゃにゃけど、とりゃーず、フユミさんの方に持って帰るっしゃ。リアさぬは先帰っておぬけ」
「ほんとに、いいのですか? これは、ミノタウロスですわ。危険だと思います」
「アケボシアサヒって言ってるっしゃ。わっしゃその名前知ってるだっしゃよ。だからさぬ、信ずる!」
「分かりました。お先に失礼します」
そう言うと、メイドらしからぬ速さで帰っていった。
なんとか助かった。
「ありがと、カインさん。いろいろ、事情はあるんだけど、とりあえず騎士庁舎に行きたい。適当に走って道分からないから帰り道教えてほしい」
「ホントにアケボシだっしゃね。まぁ、とりゃーず、分かった」
そう言うとカインは牛と同じように紐を体にくくりつけて走り出した。
次回は11/12(水) 16:30に更新いたします。




