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星喰者  作者: K瀬
一章 目覚める明星

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31/45

一章〔30〕今はまだ知らない。



「てめぇ。アケボシって、いったか?」


 ラヴィルは名前を叫んでから動揺をしている。


「お前はアサヒ・アケボシではなくアケボシ・アサヒなのか?」


「どういうこと、、、?」


「あ? 普通家名名乗って名前だろうが! お前の家名はアケボシなのか? アサヒなのか?」


 そういえばみんな、アケボシって呼んでいた。トヨの助はアサヒって呼んでいたが、人間はみんなアケボシって呼んでいた。

 初対面だから名字で呼ばれていたと思っていた。


「えと、アケボシが家名です。なんか、すいません」


 その時ラヴィルは少し笑った。


「なら、戦う意味はないな。アタシはお前を殺さない」


 意味がわからない。俺が明星であることがどうして戦わないことに繋がるのだろう。


「なで、なんで! それなら、俺が転生する必要はなかった。ミノタが死ぬこともなかったのに。なんで、家名が明星だから殺さないってなるんだよ!」


 自分の感情が今わからない。怒りなのか悲しみなのか。

 ミノタを最後に殺したのは俺だ。その怒りを向けるべきではないのは分かってる。


 でも、俺はこの感情をどこに向けたらいいかが分からなかった。無力だから叫ぶことしかできない。無力だから誰かを死なせる。


「お前がアケボシで、よく分からねえ力を使うからだよ。それに途中から中身変わっただろ? 呼吸の音、筋肉の収縮の動きが全く違うんだよ」


「俺が明星だからっていう理由はよくわからない。だけど、ラヴィルの言う通り中身は変わったよ」


「やっぱりな、アタシはミノタウロスは嫌いだけどよ、ミノタは頭が良かったからな、割と自由にさせてたんだよ」


 意外と話が通じる相手なのかもしれない。ずっと、ただ殺してくるだけの野蛮人だと思っていた。 


「だからよ、そもそもそんな殺すつもりはなかったんだよ」


 そして、ラヴィルは一呼吸おいて、こう言った。


「ミノタはお前の中にいるんだろ? だったら助ける手段はあるかもしれないだろ。アタシは家畜としてしか見てないがよ、お前はあいつの友達だろ?」


 先ほどまで違って優しい。殺気のようなものももう消えた。


「アタシはお前の星の力が欲しい。だからそれを渡せ。そしたらお前の望みを叶えてやる」


「星の力を、渡す?」


「無理ならそれでいい、ならアタシが無理やりお前を連れてくだけだ」


「分からない、それってどうやるの?」


「なら、アタシがお前を連れてく」


「どこに?」


「決まってんだろ、魔王討伐だよ。アタシだけじゃ確実に勝てない。だから手伝え。お前は星の力あるんだし多少戦力になる」


 手伝う? 俺にそんな事が出来るのだろうか。


「おらよ」とラヴィルは俺に牛乳のような物を渡してきた。


「これを飲めばいいのか?」


「さっさと飲め!死ぬぞてめぇが」


 元勇者パーティーの戦士 ラヴィル・ホルスタイン

 そして、星喰者(スターイーター) 


 二人の出会いが世界を動かす。


 彼らはそのことを今はまだ知らない。



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