一章〔28〕衝突
洞窟に行く道中に、アサヒは自分のこれまでのことを話してくれた。
異世界に転生して、洞窟で炎に焼かれ牛に転生した。簡単に言うとこんな感じらしいが、そんなすぐには信じることができない。
(これは何者だ?)
脳に直接重低音が響く。ギガネイラだ。
「アサヒだってよ。よくわかんないだけどよ、元人間らしいってよ」
〈なんだこれ、脳に直接語りかけてる?〉
(これは人間?これは牛だ。これはどういうことだ?)
〈またきた!すげぇ!魔法?これ!ファンタジーだな!〉
(これはログ。これは魔法。これはファンタジーというものなのか?)
〈すごい、ファンタジー!〉
「なんで、お前ら初対面の牛と龍で仲良く話せるってよ」
(これは面白い。これは気に入った。これはもう森の仲間だ)
〈龍って意外と気さくなんだな!ベストフレンズだな!〉
何だこいつら。この森には変なやつしかいない。
まぁ、突然変異種の俺が言えることではないが。
(これはどうするんだミノタ)
「アサヒは一旦俺の洞窟で休ませるてよ。そのあとは何も決まってないってよ。
(これは飲み会。これは飲み会をする)
「ありだってよ! 夜飯食うってよ!」
〈よっしゃ!!あの草もある?〉
「あの草はないってよ。でも森の果実たくさんあるってよ!」
(これは楽しみだ。これは準備してくる。これは一旦さよならだ)
そして夜。
森は静まりかえり月が世界を照らす。
洞窟に射す月の光は壁に反射して綺麗な模様を描いている。
「しっかし、よく寝るなアサヒは。まぁ牛だってよ。仕方ないってよ」
寝ているアサヒを横目に外を眺める。今日もきれいな夜空だ。
夜は基本ラヴィルは何もしてこない。寒いのが苦手らしい。
だから、朝になる前にアサヒをどうにかしないといけない。
「これは寝てるのか?」
「アサヒのことか? ねてるってよ」
ギガネイラは通常ただのでかい木だ。ただたまに人のような姿になっている時がある。今日はなんか頭に花を咲かせている。かなりテンションが高そうだ。若干声も高い気がする。
ギガネイラは本来は龍らしいのだが、龍の状態は見たことがない。
強さも未知数だ。
「変なこと聞くかもだけどよ、強いのかってよ。ギガネイラは?」
「これは変なことを聞くな?これは私は強い。だが、ラヴィルには勝てない」
あのギガネイラが断言するほどの強さ。ラヴィルは異次元だ。
俺はあれをどうにかしないといけない。
〈あれ?これは誰?
そしてアサヒは目覚めた。




