一章〔23〕嘔吐系主人公
柵から出るのは意外にも簡単だった。しかし、道が分からない。確か柵を出てから、右に曲がって、14番目くらいの木を曲がるはずだった気がする。とりあえず牛舎付近から離れるためにも自分の勘を信じて進もう。
1時間ほど経った頃だろうか。森のかなり奥の方に来たと思う。しかしここまで歩いて生き物の気配がほぼない。たまに虫がいるくらいだ。おそらくラヴィルの影響だろう。あんな化け物に近寄りたい奴は変態だろう。
まぁ、確かに爆乳で可愛いし、罵倒されるの少し、ほんの少しだけ興奮したが。あいにく人妻は受け付けていない。
それにしても洞窟がない。やっぱり道間違えてる気がする。緋色マスドー…?なんか、そんな感じだった気がする。
左か。
逆だな、左の16本目、マスドーはよく分からないがとりあえず戻るか、ゆっくりと歩いて戻る。
〈グオォォォ!〉
森に雄たけびが響く
〈え…?〉そして、気づいた時には目の前にライオンとゴリラのハーフのような化け物が立っていた。吐息は荒く、今にもこちらを食べようとしているのが伝わる。
これはどう見てもやばい。しかし、今の俺はかなりテンションが高い。多分さっき食べた草の影響だが、なんかやれる気がする!
〈かかってこいやぁ!〉
こちらが鳴いた瞬間相手は飛び込んでくる。とりあえず、
【反芻】
さっき食べた草が口から出てくる。
〈ゴボォ、オロロロ……〉
はねた吐瀉物が相手の顔に思い切りかかる。周辺にに異臭が漂い、相手が少し怯む。しかし、
〈グルゥオオォ!〉
再び雄叫びをあげたかと思うと、ゴリラのような腕がこちらに伸びてくる。避けるすべはない。
避ける気もない。
《ガイアード》
目の前に巨大な土の塊が浮かび上がり相手の攻撃を防ぐ。めちゃ疲れる。でも、打てた。たぶんあの草の影響だろう。あの草はやばい。
相手は拳を押さえて悶絶してる。まぁ、硬い岩に思いきり拳ぶつけたら相当痛いだろう。なんか、かわいく見えてくる。そんなことを思っていると再び獣は立ち上がりこちらに襲いかかってきた。
〈グラァォオォォ!〉
今度はタックルか、もう魔法は使えない。ただ切り札を今切るのは早い気もする。だから、
〈ガイアード〉
魔法として詠唱せずに叫ぶ。実際の威力は何もない。しかし、相手を驚かせるのには十分だった。相手の拳が体の横をすり抜ける。そして、相手の脇腹に思い切り突進をした。
〈グォッ〉
相手のうめき声が漏れる。やっと相手にまともなダメージが入った。異世界来て初めて相手にダメージを与えた気がする。
〈グルォォ!!〉
どんだけ元気なんだ。この魔物は。こっちは魔法と嘔吐でフラフラだ。もう、切り札を使わざるを得ないかもしれない。でも、スキルには使用制限があるとか何とか、チアキが言ってた気がする。
でもとりあえず、やるしかないか。
〈ガルグォォ!!〉
再び相手の拳がこちらを襲う。
見えた、これが俺のもう一つの星の力。
【大地喰者】
瞬間、地面が消え去った。そして、2頭の獣は穴に落ち、気を失ったのだった。




