一章〔14〕夢?現実?
何があったのか分からない。黒肌爆乳美女に会って、その後の記憶がない。
「死んだ? 」そう自分に問いかける。答えは出ない。さっきのは夢? 辺りを見回す。ここは牛舎の中のようだ。まぁ疲れてるんだろうと自分を無理やり納得させる。
〈急に倒れてどうしたとよ? 〉
覚えのある声が聞こえる。前助けてくれた牛だ。
〈いや、大丈夫! 〉
やっぱり優しい。
〈そういえばさっき一匹屠殺されてたとよよね〉
屠殺? バカな俺には分からない単語だ。まぁ、なんか、殺されたんだろう。正直自分も殺される可能性が全然ある。家畜である以上、人間に食われるのが目的に育てられているからだ。
しかし、ここは乳牛のような見た目の牛しかいない。食用にしては少し変な気もする。だが異世界である以上分からない。
〈その牛はなんで、殺されたんだ?〉
〈さっき魔法使おうとしてからとよ……〉
なんかすごい思い当たる節がある。 俺がまた、死んだのか?
最初の焼死から、さっきまた死んだのだとしたら。俺には何度も転生する能力、もしくは魂を乗っ取る力? まだよく分からない。
〈その牛の名前わかるか?〉
〈名前、とかはないとよよ? しいて言うなら2015番とよ〉
2015番。よく見るとそれぞれの柵の上の方に番号が振ってある。自分の上を見ると2362と書いてある。周りをよく見ると2364番が空席だ。ここにいた牛も「屠殺?」 されたのだろうか。
〈2364番はどこにいるの?〉
〈どうしたとよ? 2364番はもう牧場にいないとよよ? 今日おかしいとよよ? 〉
〈ちょっと寝不足でね!ごめんごめん!〉
今は2362番として過ごすことにしよう。しかしながら疑問が生まれた。もし、アースや2362番の体を乗っ取っているのだとしたら、本当のアース達はどこに行ってしまったのだろう。
もし、俺が魂を殺しているのだとしたら? 俺は今後死ぬたびに沢山の命を奪うことになる。
そんなことはしたくない。出来ない。
〈そろそろ牧場に戻るとよよ〉
よだれを口の端から零しながらこちらを見てくる。本当に牛でしかない。でも皆生きている。2362番は彼の友達だったのだろうか。
〈あぁ、行くか!〉
死なないという決意を胸にこの牧場での物語が始まるのだった。




