一章〔13〕黒肌爆乳美女戦士
〈起きたとよ?〉
〈起きた。ありがと。〉
この牛はとことん優しい。ずっと横で見ていてくれたのだろう。そんなことよりもやっぱり魔法がうまく使えない。魔法が使えない。人の言葉が話せない。今の自分には何もできない。
〈ゴォーン〉
鐘の音が響き渡る。〈なんだ?〉と思っていると__
「おい牛ども!餌の時間だぞ!」
牛になってから初めての人の声だ。天国ではないことがほぼ確定し安堵するとともに先行きが不安だ。
〈いくとよよ!ご飯とよ!〉
隣でよだれをダラダラ垂らしながらこちらを見てくる牛がいる。
〈行くか!ご飯か!〉
多分人の言葉を理解してるのは自分だけだろう。この牛達は鐘の音で理解しているのだろう。一つ驚いたのは牛たちが割と普通に会話していることだ。動物は鳴き声である程度しか理解していないと思っていた。すべての動物がこのように会話していたとしたら、人間はどれだけ身勝手なのだろう。
「おい、お前止まれ」
牛舎の入り口で声をかけられた。先程まで目の前には誰もいなかったのにだ。この声は先程ご飯の合図を送った声と似ている。とりあえず何も聞声てないふりをして前に進む。
「アタシの言葉聞こえてんのか? まぁ牛だしな。理解できてないのか」
前かがみでこちらの目を見てくる。目の前に大きなメロンが2つ見える。目を前の方に寄せてメロンを眺める。Hカップはあるだろう。素晴らしい。
「こっち来い」と言いながら片手で後ろ足をつかみこちらを持ち上げる。
〈え、?〉
物凄いスピードで牛舎の奥の方に連れて行かれる。足が千切れそうだ。そしてベキベキッと音を立てながら壁に叩きつけられる。衝撃で壁に少しめり込む。意外と痛くない。むしろ爆乳の女の子に 投げられて少し興奮してしまった。新しい扉が開けそうだ。
「おまぇ、魔獣か?」
そう問いかける彼女は肌の色が少し紫がかった黒色、そして小さな角、露出の多い下着のような服を着けている。そして手には女性の顔の装飾が入った大きなハンマー。牛1頭を片手で持ち上げながら爆速で走っていたとは思えない。鬼のような、悪魔のようなそんな姿だ。しかし恐怖よりも美しいと思ってしまった。
「さっきよ、牧場の方からマナの気配がしたんだよ。お前にもマナの跡が残ってるんだよ。アタシにはよく分からないけどよ、お前が魔法を撃とうとしたんだろ?」
空気が凍るような威圧感。
「ちょっと、最近アタシ機嫌悪いんだ……」
そう彼女が言ったとき、風が起きた。
何も分からず俺は死んだ。




