第3刀 水の剣
第3話です
「誰?あなたは?」
「…リライ・ロータスを殺しに来た。どこにいる」
「リライちゃんなら今は居ないわよ。おつかいに行かせてるから。今あなたに会わせないために」
お母さんと青い男の人が話す。すぐ反撃できるように魔法陣の展開を始める。
「…こんな所で高火力の魔法なんて使えば周りの人間を巻き込むことになるぞ、それでもいいなら撃てばいい」
「…ただの脅しで展開しただけなんですけど!」
「ロア大丈夫だよ、この人は私たちを殺せないから。ね?私たちはこのままついて行ってロイとリライちゃんを呼べばいいんでしょ?」
「…あいつの言う通りになってるな。その通りだ、ロイとリライ、この2人に用がある…いや、ロイに用があるのは俺では無いが、まぁいいか、とりあえず着いてこい。場所は愛海港だ。」
「そのロイに用がある人ってもしかしてだけど…」
「3人とも『GONER』と名乗ってた。顔も本名も知らん」
「ふーん、『GONER』って実在したんだね」
そのまま私とお母さんは青い男について行く。
愛海港の倉庫で姉と母の魔力を探知してその倉庫の扉を開ける。
目の前に居るのは姉と母と青い男と…コナー先生?なんで?
「あー!やっと来たー!助けてくれー!ロイくーん!」
「想像より早く着いたわね〜」
「ロイー!リライちゃんはー!」
コナー先生が一番うるさい。耳障りだ黙ってくれ。
「リライ・ロータス、ただいま到着しました!」
そう左隣から聞こえそっちを見る。そこにはさっきまで居なかったリライと星夜がいた。なんで星夜連れてきたんだよ。
「…リライ・ロータス。部外者も連れてきやがって、…のくせによ。」
「ん?誰?君」
「は?俺を忘れたのかお前?あれだけ俺に迷惑かけておいて?はぁ?」
「見覚えはある、でも記憶が無いから」
「記憶が無い…ああ、あの時か、ならいい。俺はハイド・ランジア、13剣の水の剣だ」
「水の剣…?」
「マジか…まぁいい…殺すから」
言い終わる前にやつはリライの心臓に剣を突き刺し、引き抜く。
見えなかった。私はハイドの動きが見えなかった。
たったの一撃で私は心臓を貫かれた。剣を出す判断をした時にはすでに剣が私を貫き始めていた。
「リライ!」
私は倒れながらロイさんの叫び声と周りの悲鳴を聴く。
私はまだ死ねない。まだ使命がある。生まれた時からある使命が。そして今『契約者』を護るという使命が。
目を閉じる。私は思い出した。全てが燃えて灰になっていく街。人々も燃え、家畜も食べ物も何もかもが燃え尽きていく光景を。でも。
「…なにも思い出せないや、あの街の名前も、私が生まれた理由も」
体が動かない。何万年も眠って残って、魔力なんてあと1年持つか持たないかぐらいなんだし。契約者との魔力の受け渡し方法なんかもう忘れちゃったよ。
ロイさんが私を抱き抱えてるのかな?何か言ってるけど聞こえないや。
「リライ、君はその程度なのかい?」
頭の中で声が聞こえる。
「君は炎の剣なんだぞ?燃え尽きてどうする?」
魔力が無いんだからもう無理だよ。
「はぁ…少しだけ手助けしてやろう。多少の魔力と火があればいいだろ?」
直後、爆発音。隣の倉庫からだ。
「お前の出番だ、リライ・ロータス。」
「んーー、私の出番?」
私は飛び起きてそのままハイドの腹に拳で一撃入れる。
壁に叩きつけられるハイドに。
「ハイド、今日は私が勝たせてもらうからね」
私はハイドに向かって走りながら剣を出す。
髪と剣が燃える。熱くはない。戦い方は体が覚えてる。
剣同士がぶつかり合う。お互いに全力でぶつけ合う。
「契約者抜きでも強いねハイドは!」
「なんで急にそんなに強くなったんだお前は!数万年寝てただけだろ!」
「今の契約者が優秀だったからね!」
お互いの剣に魔力が集中し始める。私の剣は赤から段々と白くなっていき、ハイドの剣はさらに青く透き通ったものに変化し、剣同士が全力でぶつかり、爆発が起きる。
リライとハイドの戦いに俺たちはただ見ていることしかできない。そして2人の剣がぶつかった瞬間、爆発が起きる。
咄嗟に俺は星夜を守る。
しばらくして周りが見えるようになると俺はリライ達の方を見る。
2人とも吹き飛ばされ倒れていたが、2人の近くに人影があった。灰色の人影が2つ。
まだ続きます