第2刀 危機感が
第2話です。
「ねえ!今日コナー先生が言ってた話についてなんだけど!!」
俺は昼休みにクラスメイトの星夜繋に今日コナー先生のよく分からない話について話される。
星夜は俺と同じオカルト研究部の部長でよく周りを巻き込むから何かあったら最初に疑われる女子だ。
「あの話がどうした?星夜が考えてることは絶対に無いからな」
「やっぱり君超能力者?」
「どう考えたらあれが本当にあった話だと思うのか、あれは全部嘘だ」
「君が嘘って言うなら嘘なんだろうなぁ…ロマンがぁ…」
俺はそれを聞きながら弁当を食べる。
「そうだ、放課後少し君に用事があるんだけどいいかな?いいよね!」
「別にいいが、用事ってなんだ?」
言い終わる頃には星夜は友達と一緒に教室から出て行っていた、なんなんだ。
放課後、俺は星夜に校舎裏に連れてかれた。
「ロイ君聞きたいことあるんだけどさ」
星夜は俺の右手を指差し。
「右手の火傷は大丈夫だったんだね」
鼓動が早くなる。
「見てたんだよね、ロイ君が吸血鬼みたいなのに石を投げたのも女の子に首を斬られかけてるのも」
「でも安心して、他の誰にも話してないから、ロイ君とロアさんが異種族だとしても安全な異種族だって分かってるから」
最悪だ、あの爆弾に俺が異種族だという情報があるだけでオカルト研究部が危ない、危険な心霊スポット行きはじめるぞ。
俺は異種族だということはバレてもいいがそのバレた相手が悪かった、あいつは怪異とか超常現象が大好物の異常者だ、特に異種族への興味がやばい、トラブル起きたら真っ先に疑われるぐらいにはやばい。
「そういえばロイ君この後時間ある?」
「ハイ、アリマス」
「ちょっと付いて来てほしいところがあるんだけど」
「ハイ、イキマス」
どこ行くんだこいつ。
「やっほーマスター」
「あら、いらっしゃい」
夕方の人気のないカフェに俺は星夜に連れていかれる。俺になんの関係があるのか。
「あら、珍しくお友達連れてきたのね。イケメンで私好みじゃない」
そうオカマ口調で言う大男。嘘、つまりジョークなのは分かるがそれでも鳥肌が止まらない。
「やめてくれ嘘だとわかっていても鳥肌が止まらない」
「あら、どうして嘘ってわかるのかしら、私みたいなオカマ本気で言ってるかもしれないのに?」
「いや…勘だ。」
どうにかして誤魔化す。
「そんなことよりマスター、この前言ってた都市伝説について教えてよ!この人頑丈で強いから!」
「おい待て俺を巻き込む気か!?」
「ふーん、この坊やが強いねぇ」
そう言い俺を見る大男。
「じゃあ、坊やが私と腕相撲で勝ったら教えてあげる」
「へー、腕相撲でいいのか?」
「この筋肉は飾りじゃないのよ坊や」
そう言い腕相撲の準備をする。手の大きさ、腕の太さ、全てにおいて相手の方が上だ、だが俺は魔人族だ、人間に腕力で負ける気は無い。
「準備はいい?はっけよーい、のこった!」
俺はすぐに終わらせようと50%の力を出す。だが動かない。
「それが全力かしら?」
涼しい顔で煽ってくるマスターに俺は全力を出す。だが動かない。何故だ?なぜ動かない?
衝撃。俺の右手が机に叩きつけられる。人間が出せる威力ではない。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーッ''ア''」
痛すぎる。俺が異種族じゃなかったら骨が砕けるぞこれ。
「ロイ君負けちゃったけど例の都市伝説について教えてくれる?」
「どんだけ知りたいのよあなた…」
「…イタイ」
俺が人間に負けた。痛みでその事実を忘れていた。
魔人族がただの人間に素の力比べで負けたのだ。
「まぁ、私も力加減間違えちゃって可哀想だから教えてあげるわ」
そう言いながらマスターは俺に氷が入った袋を渡す。星夜は目をキラキラさせてる。
深夜、愛海港に剣を持った青年が徘徊している。その青年に見つかると追いかけられ斬り殺されるらしい。
その青年は水のように透明で美しい剣を持っていたそうだ。
そして殺された人は水になり服だけ残るのだとか。
「…その都市伝説俺知ってるぞ」
「え!?ロイ君知ってたの!?」
そりゃ知ってるだろ。数ヶ月前から異種族だけを斬り殺して回っているやつがいればすぐ俺たちに話が回ってくる。異種族なら全員知っている話だ。
「ふーん、この話知ってるのね坊や、私が知る限りこの話は普通の人達の間では全然流れてない話なんだけどね、ネットでも全然流れてこないわよ」
「あ…」
そう、俺たち異種族の間では有名な話であって人間の間では一切話されてない話題なのだ。つまりこれに反応する者は皆異種族であるということだ。
「ロイ君だったかしら、君異種族なのね」
笑顔でマスターにそう言われる。
「…はぁ…なんで一日で2人に俺の正体バレるんだよ…」
「ロイ君どんまい!」
なんだこいつ煽ってるのか?
(…にしても水…剣…なんか引っかかる…似たのが居た気がする…)
「ロイさん、ノアさんとロアさんってどこに行ったか聞いてます?」
そう後ろから聞こえ振り返る。
小柄で赤い髪の少女、リライ・ロータスが居た。どうやって俺の居場所分かったんだ。
「姉ちゃんと母さん?家に居ないのか?」
「うん、居ない。おつかいから帰ったら居なかった」
「なんでだ?リライはスマホ持ってないから手紙とか書いて置いてくと思うし俺に連絡入れるとかすると思うんだが…」
俺のスマホから着信音が鳴る。母さんからだ。
「もしもし、母さん?今どこ?」
「ロイ〜ごめんねーなんか知らない人に捕まっちゃったー、えーとねー場所はー、ここどこだっけ?あーそうそう愛海港!はやくたすけてー!」
そう母さんは言うと電話は切られた。
「…緊張感ねぇのかよお前さぁ!!!意味わかんねぇよ!!!リライ助けに行ってくる!!」
そう言い俺は走って愛海港に向かう。
「…あなたは行かなくていいの?赤髪の美少女ちゃん」
「ロイさんに着いてくより私ひとりで行った方が早いし、それにこの人の方が気になって」
「え?私?」
「うん、星夜さんであってる?見たいならロイさんのところ一緒に行く?」
まだまだ続きます。