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ニセモノの悪役令嬢の私は悪魔に洗脳され、王子様に溺愛されます。  作者: かたりべダンロー


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洗脳出来ない!

「チッ、ムカつくな、あの野郎。もう勝った気でいやがる」

 

 ダヴィ−ドはそう言うと、後ろに居る私をチラリと見る。


「アルダ、下がっていろ。激しい戦いになる」


「ダヴィ−ド、ダメよ。あの"炎の悪魔"の魔法は遠距離攻撃。対してあなたの洗脳魔法は近距離攻撃。近付く前にあの炎でやられてしまうわ」


 私がそう言うや否や、炎の玉がアラレのようにこちらに飛んで来る。ダヴィ−ドは再び私を抱え、後方へと飛び退く。さっきまで私達が居た所がまるで爆発したかのように吹き飛ぶ。広場に敷き詰められていた石畳が粉々に砕け、宙に舞い上がる。その欠片の一つがクルクルと回りながら、私の左肩に当たる。


「痛いっ」


 電撃が走ったかの如く、激しい痛みが襲う。私は右手で肩を抑え、うずくまる。


「アルダ、大丈夫なのか。もう少し下がれば奴の魔法の射程圏外だ」


 ダヴィ−ドはそう告げると、私を降ろして、”炎の悪魔”へと突っ込んで行く。


 ”炎の悪魔”は笑みを浮かべ、標的を私からダヴィ−ドに変更する。”炎の悪魔は自分に近付かせないように炎の魔法を無数に繰り出す。ダヴィ−ドは避けるのに精一杯で、敵に近づくことが出来ない。”洗脳の悪魔”は悔しそうな顔をしながら、”炎の悪魔”の魔法の射程圏外へと逃れる。


 そうだ、そうなのだ。彼と敵の悪魔とは相性が悪いのだ。ダヴィ−ドの洗脳魔法は相手に触れなければ発動しない。だが、敵の炎の魔法は遠距離からでも狙い撃ち出来る。まさに素手で魔法使いと戦っているようなものなのだ。


 私は涙を浮かべ、遠く離れた味方の悪魔に叫ぶ。


「ダヴィ−ド、もう止めて。この戦い、私たちの負けよ。彼等の狙いは私の命。私が死ねば、あなたは助かるわ。だから……」


「だから、命乞いして俺だけ助かれって。そんな格好悪い事出来るか。あんたは黙って見ていろ」


 ダヴィ−ドが私に叫び返す。かなり怒っている感じだ。


 そんな意地を張っても仕方ないでしょ。死んだら終わりよ。


 私はそう思いながら、無言で彼を見つめる。


 ”炎の悪魔”は笑みを浮かべ、腕組みしている。そして嘲笑うようにダヴィ−ドに話し掛ける。


「おい、ダヴィ−ド。命乞いしてもいいんだぜ。お前のそういう姿、一度でいいから拝ませてくれよ。まぁ、命乞いしても燃やしちゃうんだけど」


「いいよ、助けなくても。俺がお前を殺すんだから、ファイス」


 ダヴィ−ドは敵の名を呼び、応える。


 やはり、この二人知り合いだ。どういう関係なんだ?


 私は交互に敵と味方の悪魔を見比べる。そんな私の視線を感じたのか、ダヴィ−ドがゆっくりと口を開く。


「コイツとは魔法学園以来の腐れ縁でね。コイツだけじゃない。”死の悪魔”も”毒の悪魔”もみんな同じ学園の同窓生だ」


 彼の言葉に反応し、ファイスと呼ばれた”炎の悪魔”が微笑む。私は驚き、目を見開く。


 四人の悪魔たちは同じ魔法学園の仲間だったの? 貴族の争いに巻き込まれて四人は戦う事になっちゃったの? そういう運命なの?

 

 もう一度、敵の悪魔に視線を向ける。”炎の悪魔”はダヴィ−ドを嘲笑うように語り始める。


「フッ、そうだな。魔法学園以来の付き合いになるかな。まぁ、学園時代の魔法技術の成績は常に俺の方が上だった。お前よりもな」


「そうだったかな? 別に俺はあんな成績どうでも良かったんだけど。お前があんなものにこだわっていたなんて、知らなかった」


 ダヴィ−ドは首を傾げながら、言葉を淡々と返す。ファイスは鼻息を荒くして、ダヴィ−ドに言葉を浴びせる。


「お前はこの天才ファイス様の才能の影に隠れていたのを忘れたのか。お前も天才など言われて、もてはやされているみたいだが、俺の方が実力も才能も上。 お前は俺に勝てないんだ。ここで死ぬのは、お前とその哀れな影武者の女だ」


 ファイスは顔を真赤にして、唾を飛ばす。一方、言葉を受けた側のダヴィ−ドは涼しい顔をして、敵を観察している。そんな余裕の顔を見たファイスは右手を伸ばし、炎の魔法を放つ。放たれた無数の炎の魔法は生き物のようにダヴィ−ドに襲いかかって行く。


「お前の洗脳魔法は相手に触れないと発動しないんだろ? バレてるよ。このまま距離を取って、焼き殺してやる」


 ファイスは笑みを浮かべながら、魔法の攻撃の手を緩めない。ダヴィ−ドは必死で炎の魔法を交わしている。しかし、炎の魔法の一つがダヴィ−ドの肩をとらえる。爆発音と共にダヴィ−ドが後方へと吹き飛ばされる。


「ダヴィ−ド!」


 私は思わず叫ぶ。そして、倒れている彼に駆け寄ろうとする。


「来るな、邪魔だ、馬鹿野郎。これは俺とアイツの戦いだ」


 ダヴィ−ドが少し身体を浮かし、手を上げる。私に近付くなと訴える。


 "洗脳の悪魔"はゆっくりと立ち上がる。左肩は焼けただれ、出血をしている。彼は痛みを堪えながら、敵の悪魔をじっと見つめる。


 すると、ファイスの後ろに居たピンクのドレスの貴族のお嬢様が口を開く。


「ちょっと、ファイス。”洗脳の悪魔”なんて雑魚だから簡単にやっつけれるんじゃなかったの? アイツ、まだ生きているわよ。早く殺して、あのニセモノの女も燃やしちゃってよ」


 ”炎の悪魔”はジロリとお嬢様を見て、ムッとした表情を浮かべた。


 

 


 


 













 

小説を読む方は頭が良く、人の気持ちの分かる人だと聴きます。

そんな優秀な読者の皆さんの為に、面白い小説を書いていきますので、これからも読んで頂けると大変嬉しいです。

もし良かったら、今後も宜しくお願いします。


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