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ニセモノの悪役令嬢の私は悪魔に洗脳され、王子様に溺愛されます。  作者: かたりべダンロー


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19/22

発動条件

 当主サーガ様の横には、執事長も付いている。相変わらず金魚のフンみたいな人間だ。私を置いて逃げた二人組はニコニコと笑みを浮かべながら、こちらに近付いて来る。


「心配していたんですよ、お嬢様。ご無事で何よりです」


「そうだぞ。ヴァシリーサ。父も気になって昨夜は眠れなかったのだぞ。まぁ、ホントに良かった。フハハハハ」


 執事長と当主様はまるで何事もなかったかのように私に接して来る。


 何を言っているんだ、この人たちは? 私を置いて自分たちだけが助かる道を選んだくせに。


 私は呆然とし、身体を固めてしまう。そんな私を気にする事なく、当主様は私の横に居るダヴィ−ドをジッと見つめる。そして、眉を上げ、声も上げる。


「その大男は一体何者なんだ?」


「この方が噂の”洗脳の悪魔”さんです。彼が”死の悪魔”から私を助けてくれたんです」


 私のその一言で、当主様と執事長は一斉に悪魔に顔を向ける。そして、驚いた顔でダヴィ−ドを品定めしている。彼等は目をパチパチとさせ、再び私に話を戻して来る。


「この男が”洗脳の悪魔”か。お前が味方に付けたのか?」


 当主様の質問に私はハイと応える。


「やった、やったぞ。これで他の家の奴等と同等、いやそれ以上の戦力がこちら側に付いた。この戦い、我がオガルコフ家の勝利だ」


 満面の笑みのサーガ様は執事長と共に喜びを爆発させている。そんな彼等を私はただ冷たく見ている。この人たちと到底喜ぶ気持ちにはなれなかったからだ。


 当主様は”洗脳の悪魔”に顔を向ける。


「では、”洗脳の悪魔”よ。オガルコフ家当主サーガの言葉に従え。他の貴族の娘並びに悪魔たちを葬って来るのだ。フハハハハ」

 

 当主様は天を見上げ、高らかに言葉を放つ。まるで全てを支配した神のような振る舞いだ。


「は? 誰に言ってんだ? このボケ。何でお前に俺が従うんだ?」


 ダヴィ−ドは蔑むような目で当主様を見て、言葉を吐き捨てる。今までそんな態度を取られた経験がないのか当主様は絶句している。


「俺はこの家の奴と契約しているんじゃない。アルダと契約しているんだ。バカどもは引っ込んでいろ」


 ダヴィ−ドのその言葉で、当主様は私の方に顔を向け、鬼の形相に変わる。


「貴様、この男に自分の正体を話したのか。決して誰にも話すなと釘を刺していたのに、裏切りおって。覚悟は出来ているな。貴様の親の首をここまで持って来てくれるわ」


 当主様は執事長に目で合図をする。執事長は驚いた表情になる。そして、ハッとして、外へと向かおうとする。


「いや、止めて下さい。お父様、いや旦那様。許して下さい」


 私は泣きながら、頭を下げる。しかし、当主様の怒りは収まっていない様子だ。顔が真っ赤なままで、私を睨み付けている。


「おいおい、俺が居る場で勝手に話を進めてんじゃねぇぞ。ボケ貴族が」


 ダヴィ−ドはそう言いながら、外に向かおうとした執事長の額を掴んでいる。そして、投げ捨てるように執事長を床に叩き付ける。それを見た当主様は目を見開き、ダヴィ−ドに叫び始める。


「お、おい、貴様。オガルコフ家を相手に喧嘩を売るつもりなのか。分かっているのか。どうなっても知らぬぞ」


「お前の方こそ分かってるんだろうな。"洗脳の悪魔"と呼ばれたこの俺様に喧嘩を売るって事を」


 ダヴィ−ドは威圧のある声で当主様に言葉を返す。当主様は怯えた顔で小さくなる。その様子を見ていた黒の鎧の騎士たちが広間に集まって来る。そして、ダヴィ−ドを包囲するように彼等は当主様を護り始める。


「旦那様、どうかされましたか?」


 五人ほど集まった騎士たちは剣を抜き、ダヴィ−ドに剣先を向ける。ダヴィ−ドは意にも介さぬ表情で騎士たちに冷静に告げる。


「お前たち、"死の悪魔"相手に逃げ出したくせに、"洗脳の悪魔"の俺には向かって来るんだな。勇気があるぜ」


 騎士たちの顔に動揺が走る。騎士たちは顔を見合わせ、どうするか互いに様子をうかがっているみたいだ。


「奴の言う事は嘘だ。そいつはニセモノの悪魔だ。殺ってしまえ」


 当主様は冷や汗をかきながら、大声を上げる。騎士たちは眉根を寄せながら、仕方なくダヴィ−ドに向かって行く。


「ダヴィ−ド、お願いだから彼等を殺さないで」


 私はすぐさま悪魔に声を掛ける。ダヴィ−ドはニヤリとこちらに返すと、俊敏な動きで騎士たちを交わして行く。騎士たちは悪魔の動きが速過ぎてとらえる事が出来ない。


 騎士たちを交わし切ったダヴィ−ドは当主様の前に現れる。そして、当主様の額を左手で掴み、声を放つ。


「アルダ、そう言えば話してなかったな。俺の洗脳の魔法の発動条件は、魔法を掛けたい相手に触れる事。触れた相手に俺の魔力を流し込み、ソイツの脳を支配する。まぁ要するに、俺は自分が触れた相手を思い通りに動かす事が出来るって訳だ」


 ダヴィ−ドは当主様を掴んだ手を離す。そして、彼に命令のような指示を言い付ける。


「おい、バカ貴族。この騎士たちを止めろ」


「はい、分かりました。おい、貴様たち、止めるんだ」


 当主様は騎士たちを睨み付け、大声を上げる。騎士たちは驚いた表情で、動きを停止する。そして、どうしたらいいんだと言う顔で、周りをキョロキョロと見回している。


 私もそんな彼等を呆然と見ている。あり得ない光景の連続で頭が少し混乱している。


 これが、洗脳の魔法なの? あんなに簡単に他人を洗脳出来るなんて、信じられない。 この悪魔、危険過ぎるわ。でも……。


 私はここぞとばかりに足を前に出し、声を上げる。


「旦那様、私のお父さんとお母さんを返して下さい。お願いします」


 ダヴィ−ドは私をチラリと見て、静かに笑っていた。




 



 


読んで頂きありがとうございます。

これからも宜しくお願いします。

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