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ニセモノの悪役令嬢の私は悪魔に洗脳され、王子様に溺愛されます。  作者: かたりべダンロー


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他人を思い通りに動かす魔法

 黒い騎士たちは剣を構え、ダヴィ−ドを睨み付ける。


「おいおい、今さっき俺たちを黙らせるとか聴こえたけど」


「俺もそう聴こえた。どこの余所者だ。オガルコフ家の騎士に逆らった事を後悔させてやる」


 騎士たちはそう言いながら、ジリジリとダヴィ−ドに詰め寄って行く。


「アイツ、なかなか体格が良くないか? 大丈夫か?」


「心配するな。こちらは二人だし、剣を持っている。それに見ろよ、アイツは丸腰だ。ビビる事はねぇよ」


「そうだな」


 二人の騎士はコソコソと話をしながら、ニヤリと笑う。一方、ダヴィ−ドは無表情で騎士たちを見ている。


 ちょっと、ホントに大丈夫なの? お願いだから、大怪我とかしないでよ。


 私は安全な所まで距離を取り、彼等を見ている。


 騎士の一人が剣を振り上げ、ダヴィ−ドに襲い掛かる。”洗脳の悪魔”は涼しそうな表情で騎士を見据えている。


 騎士の剣がダヴィ−ドに狙いを定める。その瞬間、ダヴィ−ドの手が高速に動く。速過ぎて私には何が行われたのか全く分からない。


 ダヴィ−ドは半歩横に動く。すると、騎士の剣は空を切り、地面に突き刺さる。騎士はそのまま膝から崩れ落ちる。


「な、貴様、何をしたんだ」


 もう一人の騎士が叫びながら、剣を構える。ダヴィ−ドは軽く笑みを浮かべながら、その騎士に視線を移す。


「アイツを斬れ」


 襲い掛かって来た騎士にダヴィ−ドは呟く。騎士は夢遊病に掛かったみたいにもう一人の騎士に剣の先を向ける。


「おい、何をしてるんだ? どうしたんだよ?」


 もう一人の騎士は相棒の騎士に刃を向けられた為、動揺している。そして、夢遊病に掛かったみたいな騎士は味方だった騎士に斬り掛かって行く。


「うわ、止めろ」


 もう一人の騎士は、斬り掛かって来た騎士の剣を受け止める。するといつの間にか、その背後にダヴィ−ドの姿が現れる。


 また高速に手を動かし、もう一人の騎士の背後から何らかの攻撃を見舞う。またしても私は悪魔が何をしたのかが理解出来ない。


「終わったぞ、お嬢さん。もうコイツら、俺の奴隷だ」


 ダヴィ−ドがそう私に告げると、騎士の二人は私の方に身体を向ける。


「彼女に土下座して謝れ」


 "洗脳の悪魔"が彼等に声を掛けると、騎士の二人はその場にひざまづく。そして、額を地面に付け、土下座を始める。


「スイマセンでした」


 騎士の二人が揃って、私に謝罪の言葉を述べる。求めていない土下座に私はかなり戸惑い、周りの町の人達の視線を気にする。


「よし、では死んで詫びろ。お前たち、自分の首を跳ねろ」


「はい」


 騎士たちは返事をし、立ち上がる。そして、自分の手にした剣を己に向ける。


「え、ちょっと待ってよ。ダヴィ−ド、止めさせて」


 私は目を見開き、ダヴィ−ドの方に叫ぶ。彼は一瞬眉を上げる。


「お前ら、ちょっと待て。死ぬの待て」


 ダヴィ−ドのその声で、騎士たちの手は止まる。剣が首に当たっている。もし私が何も言わなかったら、ホントに彼等は首を斬って死んでいたに違いない。


「何でよ? 何で彼等を殺すのよ。そんなの止めてよ」


 私は目に涙を浮かべ、悪魔に訴える。ダヴィ−ドは鬱陶しそうな目で私を見て、口を開く。


「奴等は俺たちに刃を向けた。つまり、敵だ。俺は敵となった者に容赦などしない。必ず死で報いを受けさせる」


「ダメよ、そんなの。お願い、止めて」


「イヤだ。契約上、アンタの命を脅かす奴等は排除しないといけない。だから、殺す」


「彼等はオガルコフ家に雇われている騎士よ。私たちの味方なのよ。だから、お願い」


 私は騎士たちの前に立ち、ダヴィ−ドの前で両手を広げる。"洗脳の悪魔"に殺戮をさせないように、私は身を挺して彼等の命を護る。


「チッ、分かったよ。殺さないよ。だから、泣くな」


 ダヴィ−ドは頭をかきながら、苦い顔をする。そして、ため息をつきながら騎士たちの方に顔を向ける。


「もうお前たち、帰っていいよ」


 ダヴィ−ドにそう告げられた騎士たちは、足早に向こうへと走り去って行く。私はジッとダヴィ−ドを見つめ、考え始める。


 魔法で思い通りに他人を操る最悪な悪魔。彼は他人の命を奪う事など何とも思っていない。悪魔と呼ぶに相応しい最低な人殺しだ。


 私たちは再び町の人たちに食料を配るのを再開する。終始、私とダヴィ−ドは無言で行っていた。そして、全ての食料を配り終えた後、私とダヴィ−ドは何も話さずに屋敷へと帰って行く。

 

 屋敷への帰路の途中で”洗脳の悪魔”をチラリと見る。


 この男、やっぱり危険だわ。信用は出来ない。でも、彼の力を借りないと、父と母は救えない。私も他の貴族たちに殺されてしまう。恐いけど、仕方がないわ。


 複雑な気持ちの中、私たちはオガルコフ家の屋敷へと辿り着く。屋敷の玄関のドアを開けると、中にはオガルコフ家で雇われている使用人や騎士たちが戻っていた。


 すると、バタバタと急いで階段を降りて来る足音が聴こえる。私は視線を階段の方へと向ける。


「おぉ、ヴァシリーサ、生きておったのか。良かった。これで我がオガルコフ家は王族と血縁関係が結べるぞ」


 声を掛けて来たのは、私を見捨てて逃亡したニセモノの父、当主サーガ様だった。




小説を読む方は頭が良く、人の気持ちの分かる人だと聴きます。

そんな優秀な読者の皆さんの為に、面白い小説を書いていきますので、これからも読んで頂けると大変嬉しいです。

もし良かったら、今後も宜しくお願いします。


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