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ニセモノの悪役令嬢の私は悪魔に洗脳され、王子様に溺愛されます。  作者: かたりべダンロー


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悪魔との契約

「助けて頂いて、ありがとうございます」


 私は丁寧に頭を下げ、顔を上げる。”洗脳の悪魔”はほぼ無反応な表情だ。相手が何を考えているのか全く分からないまま、私は疑問をぶつけて行く。


「”洗脳の悪魔”様で、間違いないんですよね?」


{あぁ、そう呼ばれている」


「初めて悪魔様とお会いしたのは、町でパンを渡したあの時で間違いありませんか? 私も仮面を付けていたので、悪魔様も分からなかったかもしれませんが」


「いや、分かっている。だから、アンタの所へ来た。アンタも俺がフードを被っていたのに、よく分かったな」


「声が特徴的だったので、覚えていたんです」


 やっぱりそうだと、私はウンウンと頷く。


「なぜ、私をお助けになられたのですか? もしかして、あの時のパンのお礼なのですか?」


 私がそう言うと、”洗脳の悪魔”は大声で笑い出す。


「ハハハハ、そんなバカな。こう見えても、俺は大陸でも名の通った魔法使いだ。パン一個で助けに来るほど安い男ではない」


「では、なぜ私を……」


「個人的な理由だ。強いて言えば、俺なりに考慮して導いた仮設を検証する為にここへ来た。そういう事だな」


 意味が分からない。私がバカだからなのか。それとも、彼が意地悪な言い方をしているからなのか。


 首を傾げながら、恥を忍んで聴き返す。


「どういうことなんですか?」


「つまり、アンタにも分かりやすく端的に言えばだな、ただの暇つぶしだ」


 ”洗脳の悪魔”は悪びれることなく、平気で言ってのける。


 ただの暇つぶしで、私は助けられたのか。私って一体、何なの?


 愕然とし、言葉を失う。やっぱり、この男、変わり者で気まぐれな噂通りの悪魔だ。そう思い、もう一度彼をじっと見つめる。


 でも、私は助けてくれて、とても嬉しかった。なぜなら、今の私は孤独で味方がいないから。もし、これからも無力な自分を彼が助けてくれるのなら……。


 私はその場にひざまずき、土下座をする。


「お願いがございます、”洗脳の悪魔”様。私の心でも身体でも何でも差し上げます。ですから、幽閉されている私の父と母をお助け願います。どうか、どうか宜しくお願い致します」

 

 地面に額を擦りつけ、私は涙を流す。私の安い命などで引き受けてはくれないのかもしれない。でも、こうするしか方法が分からないのだ。


 このままの状態で彼の返答を待つ。しかし、待てども待てども”洗脳の悪魔”からの返事がない。


 やはりダメなのか。涙を滝のように流しながら、私は顔を上げる。


 ”洗脳の悪魔”の表情が目に入る。彼は意外にも困惑したような顔をしている。


 どういう事だ? 私の依頼を断りたいが、面と向かって断りにくい。そういう事なのか? まさか、相手は悪魔だ。もしそうならば、私の依頼など微塵の感情も持たずに断るはず。


 また意味が分からず、相手の次の行動を待つ。


「いや、そういうのいいから。とりあえず、立てよ」


 ”洗脳の悪魔”は私から目を反らし、立つように促す。逆らってはいけないと思い、私は言われるがまま立ち上がる。

 

 ”洗脳の悪魔”はゴホンと咳払いをし、少し照れながら話を続ける。


「俺たちのような強力な魔法使い、つまり悪魔と呼ばれている連中の力を借りたいと思うならば、契約を結ばなければならない」


「やっぱり命を差し出せって事でございますか?」


「違うよ、バーカ。どれだけ俺たちが悪い人間だと思ってるんだよ。確かに大勢の人間を殺してきたけど」


 と言って、悪魔は言葉を濁す。ポリポリと頬を人差し指でかきながら、彼は話を進める。


「契約と言うのは、力を貸す上での条件並びに達成した後の報酬の提示の事だ」


 またよく分からない事を言って来たわ。どうすればいいのよ?


 一瞬、そう思ったが、機嫌を損ねると彼が居なくなるかもしれないので、私はすぐさま応える。


「承知しました。悪魔様との契約を交わします。それで、一体私は何をすればよろしいのですか?」


 ”洗脳の悪魔”がドン引きしている。また私は問題発言をしてしまったのか。意味が分からず、彼の指示を待つ。


「いや、アンタさ、俺たち一応悪魔と呼ばれている存在だぜ。契約内容を聴いてからじゃないと、アンタ損しちゃうよ。俺は騙すつもりとかないけど。気を付けろよ」


 ”洗脳の悪魔”はそう言うと、右手の人差し指を立てる。


「契約の条件は、アンタが死なずに生きている事。俺への報酬は、アンタが常に俺を楽しませて、ガッカリさせない事。以上だ。契約を交わすか?」


 彼が私をじっと見つめて来る。まるで私を試しているかのようだ。


 彼の求めている物がますます分からなくなる。そんな条件と報酬で良いんですかと戸惑ってしまう。


 私はまた恐る恐る質問をする。


「ホントにそんな条件で宜しいんですか? でも、私、悪魔様を楽しませるほどの芸やジョークを持ち合わせてはおりません。ガッカリさせてしまうと思いますけど」


「いやいや、そんな事求めちゃいねぇよ。ただ普通にしてろ」


 だから、その普通が難しく、意味が分からないんですけど。


 頭の中が混乱し過ぎて、思考が追い付かない。


「あ、それと敬語は禁止な。俺はアンタと対等な立場で契約を結びたい」


「分かりました。もう、それで構いません。いや、構わないわ」


 言う通りにしよう。考えても、訳が分からない。頭が痛くなる。


 私は思考を切り替える。すると、”洗脳の悪魔”はフッと笑い、私を見つめる。


「アンタ、名前は?」


「ヴァシリーサ……。いや、違うわ。アルダ、アルダよ。あなたの名前は?」


「ダヴィ−ドだ。よろしく、アルダ」


「それじゃ、契約成立ね、悪魔さん」


「あぁ、契約成立だ。お嬢さん」


 こうして、私は人の心を操る悪魔と契約を交わした。







 

読んで頂いてありがとうございます。

これからも宜しくお願いします。

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