春夏冬秋の悩み事
「いやー、参ってるんだよね。彼女成績優秀で、部活でも優勝とかしまくってたからさ」
先生は彼女の過去の栄光を我が物顔で語る。
私の心境などお構い無しだ。
あの事は結構な噂になってるし、その当事者だし、勘弁して欲しい。
クラスで浮き気味なの見てないのか。
「私に関係ありますか、それ」
責めるような口調なるのも仕方の無い事だ。
あの子の事を考えるだけで憂鬱になると言うのに。
「仲良かったじゃん」
気軽に言ってくれる。昔は昔。しかも、あの子とは喧嘩という訳でもないのに。
「昔の話です」
「待って!訳ありなのは何となく分かってる」
にべもなく部屋を出ていこうとしたら、肩をがっしりと掴まれる。少し痛い。
痛みに顔が歪む。
先生はハッとなって手を離し、数歩下がった。
「なら、ほっといて」
「話だけでも聞いとけって。私も親御さんに話あるし、2人だけにもなるから」
「…………」
「よーしっ、じゃあ行くぞ!そら行くぞ!」
「…………嫌だなあ」
「ごめんください、担任の毎熊和音です」
「どうも、御足労いただいて……。あら、秋ちゃん……」
「……ども」
「……よく来てくれたわ。上がって。白雪の部屋は分かるわよね」
「……はい」
ノックをする。過去に何度も来たこの部屋では1度もした事の無い事だった。
勝手に入って、勝手に座って、遊んで。
そんな事ももうはるか昔の事に思える。
「なに、ノックなんてしなくても入ればいい」
「そう、お邪魔するわ」
有栖川白雪はあの時のまま、おとぎ話のお姫様みたいに……なってない。
「え、別人?」
「わぁ…………!!秋〜!!」
お高くまとまってるあの頃の美少女はアニメのTシャツにジャージ。
手入れをしていないだろう伸びっぱなしの髪。
なのになんでこんなサラサラなのか。
そんな事よりもあのころ絶対にしなかったハグなんてしてくるし、こっちの感情と白雪の感情が噛み合わない!ってか、
「アンタ臭い!!」