アケルナルと、星のせせらぎ
白いわた雲が
空の青を静かに
流れていく
やがてその青は
群青の河となり
明けの三日月が
風を渡る舟のように
春の渚へと
ゆっくり漕ぎ出して
月影の丘には
ラナンキュラスの花
幾重にも重なる
花びらが
朝を待ち開き出す
流れゆくものは、時
遥かなる源氏星
九百光年の彼方
オリオンの足下に光る
青白銀のリゲル
狩人の踏み出す
爪先から流れ出す河は
エリダヌス座
雪解けのしずくのような
星の光がささらめく
流れゆくものは、星
遥かなる光のせせらぎ
流れを見つめる
クレオパトラの瞳
幾重にも重なる
エメラルドグリーンの
星雲の輝き
星河の行く先には
遥かなるアケルナル
全天二十一の一等星で
最も新しく
見つかった星
踏み出す一歩から
始まる未来を
オリオンが踏み出す足
リゲルから流れ出す
星の河のように
どんな大河も
はじまりはひとしずく
何度も曲がりながら
様々な景色を
水面に映しながら
たとえ空が昏いときも
それは決して
そこに星がないという
ことではないから
果てしない宙には
まだ見ぬ星の輝きが
きっとあるように
果てしない道のりには
まだ見ぬ希望の光が
きっとあると信じて
踏み出す一歩を
何度でも
雪は解けて
そのしずくは河となり
風はさわやぎ
樹々は葉と花をつけて
雲は空を流れゆき
星々は春をささやいて
夢は想いは
きっとたどり着く
光り輝く、
アケルナルの待つ未来へ
オリオン座の足の部分にあるリゲルは、色が源氏の旗に似ていることから「源氏星」と呼ばれます。そのリゲルから連なる星々が、河に由来するエリダヌス座で、南半球まで続き、終着点にはひときわ明るい一等星のアケルナル(「河の果て」の意味)が輝きます。
また、この星座には「クレオパトラの瞳」と呼ばれるエメラルドグリーンの星雲があり、「晴れやかな魅力」が花言葉のラナンキュラスと姿が似ています。
踏み出す一歩から始まる、その先の希望の光を、星座や少しずつ春めき出す季節に重ねて描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。