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彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花  作者: 新人小説家ハルト
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第五十六話:新世界秩序(New World Order)②

皆様、お久しぶりです。

既に初作品連載から4年が経過していたことに気づき、絶望した新人小説家のハルトです。


出来る限り更新はしていこうとは思っておりますが、個人的な都合上この作品が最初で最後の作品になるかもしれない……ということも少し考えているのです。


できる限り、熱を注いで最終回まで描きたいと思っておりますのでどうか最後までお付き合いいただきたく存じます。


では最新の五十六話、どうぞ。

切り裂くような風と共に宙を跳び進む異形の腕を持つ男。

その背後から輝く幾本かの光線、放った地点を跳び去る少女。

男の視線の先には、二人の兄妹。


赤い髪を靡かせ巨大な鋸刃に拳を叩き込む少女。

反撃にと飛んできた呪詛を奇跡にて払う天止。

視線の先には、異形と化したかつての同級。


機神(きしん)は最早、遠く彼方と言えなくなった月面より其れを観測する。


そうして、その体躯を起こし人の言葉を介することで、これを観ている第三者へ向けて呟くのだ。


「────Αχ, τι αξιολύπητο πλάσμα που είναι(ああ、なんて憐れな生物なのだろう).」


それは、一種の誓いか。

滅びを以て、それら全てを消し去ることを宣言したに他ならない。




***




「────……神さん! 三神さん! 」


此方を揺らす少女の声で自分は目を覚ます。

作戦を開始してから約一時間、なんの進展もなく、スカイツリー周辺を囲む下っ端と思しき災獄(さいごく)を監視するに留まっている。


一時間毎交代で見張っている上、彼らは全くと言っていいほど動かない。


視祇(ミカミ)、そんなに慌てずとも敵は来ない。

クルアーンの意相者(ディファレシャス)としての能力で自分らは……」


「違うんですよ、アレ……! 」


砲身……否、大砲にしか見えないほど巨大な伝承器(でんしょうき)、その場で匍匐(ほふく)した状態になって構える先に居る二人組。


神威原(かむいばら)兄妹を見て、飛び出す体。


今までにないほどの膂力と俊敏さで接近してきたのを神威原 嵐乃丞(らんのすけ)は気づき。

ランタンシールドのような異形の伝承器を振るい、盾の面を以て跳んできた暁を払い除けるように回避してみせる。


地面に転がりながら、受身を取り地面に異形の指を立てれば、此方を支援するように追従してきた光線もまた嵐乃丞の手によって弾かれていく。


語らう言葉は既に持たない重たい空気の中で


「久しぶりだね、三神」


神威原の妹……傘守(かさもり)が口を開く。

そして、その後に此方の元へと跳んできた視祇(ミカミ)逢魔竜(バハムート)を呼び出すことでキャッチさせ


「その子が、ね」


何か、また知っているようかのように振る舞う神威原兄。

三神の敵意と殺意はとめどなく、二人へと向けられる。


「鎧、外しちゃったんだ。

かっこよかったのに」


「まぁ、三神は窮屈そうな空気自体昔から……」


兄妹の話に割り込むように開かれる三神の口


「何が目的で、ここにいる」


「"全てのモノは機神によって統べられる"」


バハムートに降ろされ、此方の後ろで伝承器を構えながらその言葉にきょとんとする視祇。


「兄と私は、それが見たくてここにいる」


「ろくでもないこの世界が、こうして滅びへ向かっていく世界が。

どうやって機神によって救われるのか、が見たくてね」


そのため"だけ"にここに来た、という二人に対して三神は怒りで肩を震わせる。

最初はただ煩わしいと思っていた二人は、特に三神にとって心の支えとなっていた。


異形の腕を持つ転校生……それだけでも注目や噂の的にされていた彼にとって、唯一二人といる時間は


「……お前たちは、俺にとってトモダチだったよ」


幸せだった、と過去を振り返り、戦いの幕が開けようとした次の瞬間。


「待って、三神さ! 」


そうして、世界の時が止まった。

ありとあらゆる事象、現象を超え地球上に存在する全てが止められる。


止まった世界で、ただ一つ月光が輝く。

世界を、月の光も何もかもを引き裂く巨大な爪。

其の頭らしきものには十の光の輪、背に鋼のような巨大な人の骨のような白と黒の翼を広げる。

地上に降臨せし、その者の名は


「────Εντελέχεια(エンテレケイア)」


THE END……?

終わりを迎えた世界。


時は既に動くことなく、ただその惑星に残っているのは何かしら生命体の住んでいた痕跡だけ。


そして、その星の中心に立つ機神と呼ばれていたもの。

異形の腕を持つ彼も、その番となりうる蒼き少女も既に息も何も無く。

その終わりを、ただ受け入れる他はないのだから。



「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」

第■■■話:物語の終わり





「『────まだ、終われない』」

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