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彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花  作者: 新人小説家ハルト
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第二十九話:意地と維持

皆様、こんにちは。

作家になりたいハルトです。


最近何だか、伸びが悪くて泣きたくなります。

まぁ、休んでたというのも原因でしょうけど多分質の低下が少し目に見えて来てしまってるというか。


まぁ、自覚ですね、要は。

良ければ皆様のアドバイスをいただきたい所存です、どうかよろしくお願いいたします。

意識を断絶された青年は未だに眠る。

世界からの断絶(だんぜつ)、実質的な死である事に変わりは無く、その顔は寝顔の様に少しの安寧を表す様でもあった。


ただ、いつか目覚めるかもしれないという可能性を持っているだけ。


「……三神 暁は仮死状態、恐らく世界を巻き込めるだけの呪詛(じゅそ)を個人的に叩き込まれ」


「北風 南、花火 蓮華の二人は災獄側の生物兵器とも言える罪に吸収」


「そして、此方に残った第二、第三部隊及びFL学園所属の第一部隊は(ほとん)どが負傷、又は重症の怪我を災獄共に負わされた……か」


保健室にて。


状況は最悪だ。

動けるのは、蒼実と蒼実を連れ帰ってきた外套を身に着けた詳細不明の人物。


「貴様は……」


FLの教官は外套者を見て何者か、と問おうとし口から出掛けた言葉は、その場に居たもう一人の言葉に阻まれる。


「……私はWO所属の契約者であり、尚且つ第一部隊を束ねる隊長、故に私に花火 蓮華救出の任を任せて頂きたいのです」


声のする方を見て見える、その瞳。


様々な戦場を此の目で見てきた教官にとっては、飽き飽きするほど見た目。

友を救いたいという無垢(むく)なる思い、未だに青い子供の瞳。


「何故に? 個人的な目掛けや情ならば其の意見は排斥させてもらうが?」


無情と言うならば言うが良し。

例え、そう誰かに言われていたとしても冷酷非情な視線をこの未熟な守護者に向けていた。


「情でも目掛けでもありません、人類が為の戦力が欠ける事を予測し、私の様な未熟者が隊長という束ね任される使命を果たせなかった罰……」


その言葉を聞き、一歩教官は蒼実へ近づき。

保健室に弾けるような音が鳴り響く。

蒼実の頬はじわり、と赤くなっていた。


平手打ち。


教師としてはあるまじき行為だが、教官には唯一許せぬ言葉があった。


己への罰、そんなものはクソ食らえ、罰は他者より与えられ罪は己に(かせ)乗り越えるもの。


其れを己自身の裁量で測り、自分自身の行動を罰だと言う奴に友を助けに往く資格など無い。

……そう言おうと口を開いたが


「二度は言わない、私の気が変わらぬ内に往け、承器の調整や契約族とのコミュニケーションは忘れるな」


「……ありがとうございます!」


保健室を抜け出し、カタパルト方面へと駆け出す彼女を見て、顔を隠す彼女もとい彼は不可思議に思う。


何故、人は己の心と反したことを言語として発するのかが解らない。


「何故、彼女を止めなかったんだい? 君は」


「さてな、お前に話すのはなんだが、私にも分からん……ただ一つだけ言うならば、昔の私に少し似ていたものだから、行かせたと言ったところか」


カタパルト前。

白刃と桜花の二人と遭遇する蒼実。


「行くんですか、凍花さん」


「無駄足だ、罪の力は貴女も知っている筈だ、諦めろ」


研磨された刃の如く鋭い言葉。

彼女(あおみ)にとって一番に痛感できる言葉、そうだ。


あの中に囚われた人間は、死ぬまで己の過去に溺れ呪われる事になってもおかしくは無い。


私はあの時の絶望を、あの時の思い出を未だに引き摺っているのだから。


「秤、そんな事を!」


「言ってはいけない、と? 言わなければ聞かないでしょう、悪いことは言わない、友人なんて諦めなさい」


そんな引き留めようとする二人の言葉。

嬉しいとも思うし、行かなければならないと私自身が言っている。

そんな三人の会話の中、保健室に眠る三神へ場面は変わる。


眠る意識、同期(リンク)する黄昏の竜。

感じ取る厄災の気、二体の名を観測する。


怠黒鯨惰(たいこくけいだ)のスロース、傲狼慢獅(ごうろうまんし)のヒュブリウス。


無意識の中でそれらを観測した三神は、ベッドより飛び起きて保健室を飛び出していく。


断絶した意識すら、世界自体に観測することで取り戻し、蒼実の気配がある場所へ。


「蒼実」


肩で息をする三神を見て、蒼実は言う。


「どうしたんですか、そんなに焦って?」


「いや、これから花火の救出に行くのなら……」


彼を見る其の瞳は、未だに信頼のおけぬといった様相ではある。


「いえ、私に言わせてください」


それでも、彼女の口から出た言、


「その……花火と南さんを助けに、着いてきてくれますか?」


未だ、実のなるものでは無いにせよ。

二人の間柄にはほんの少しの恩義による友情が出来ていた。


三神は其の友人同士の貸しとも取れる問へ、深呼吸を心の内でした後に首を縦に振る。


「桜花さん、心配せずとも私は絶対に帰ってきます」


桜花はその言葉を聞き、一切の水を差す気は無く。

カタパルトへ出撃準備を行う二人をただ羨ましいとも、それを嫉妬の様な目で見るのみであった。


第一カタパルト内。


「死ぬなよ、蒼実 凍花」


オペレーションルームへと移動した教官は、カタパルトにて出撃準備を完了した制服姿の蒼実へと声を掛ける。


「はい、花火を助けて帰って来ます」


「そうか、それならば良し」


第二カタパルト内にて、一切の緊張感の無いパーカー姿の三神 暁へも。


「お前も、死ぬな」


「逆に死んだ所で、クソも塵もない」


生徒と教師。

立場を挟んでの会話はこの場に必要ない、と言う冗談じみた答えに、教官は鼻で笑い。


そして。


「改めて、作戦概要を確認する!」


「作戦対象、罪の核内部に幽閉(ゆうへい)された契約者二名の救出、撤退基準としてはフロントライン正門が災獄に破られた時とする、以上」


作戦概要の確認が終わり、出撃の時が迫る。

P.M.08:59:50秒───出撃まで十秒前。


「蒼実 凍花、三神 暁、出撃体勢OK」


「カタパルトシステム、オールグリーン」


「ハッチオープン、射出予測、災獄群進行方面」


電子機器、群がる災獄の音。

王を気取る獅子は、己が覇と思い込む鯨は二人の敵意を察知する。


其れは人としての確固たる意思か。


「出撃! どうぞ!」


デバイスから響く声と同時に二人の体に掛かる重力。

到底、人の耐えられるようなものでは無い、それでも契約者であるから意思があるから耐えられる。


学園上空より戦場へ飛ぶ二つの影。

先ず殲滅すべきは目視で確認できる災獄、二人の手には鋭く研ぎ澄まされし刃。


「失せろ」


地上へ落ちる寸での所で一足先に放たれたのは三神 暁の、刃が抜かれた瞬間に起こる空気振動を利用した風波。


常人より逸脱せし握力と速度から放たれた其れは、地面に敷かれたコンクリートなど容易く瓦解させ、まるで柔らかいバナナの皮のようにめくれ上がらせていく。


無様無残に散る災獄共も即座に塵の山と化していく。

それでも尚、残るのであれば……。


「バハムート!」


空より降臨する契約族、逢魔竜バハムート。

残る塵芥を殲滅せん、と胸部へと万象総てを隔てなく殺す一撃が、黄昏色の粒子が集束し放たれる。


先ず一つの光。


地を断崖へと変え、伸びていく一条の線。

そして次に爆発が起こる。

幾数万もの夕焼色の光と共に響く竜の咆哮で。


そして、光は消え、其処には何も無い。

粉となり空気中を浮遊するコンクリートだったもの、災獄という一つの種だった血液の匂いと肉片で出来た粉末。


学園フロントライン正門前から、真っ直ぐ伸びる道路に蔓延っていた千は容易いであろう程の災獄は全て、消えた。


「所詮は雑魚に過ぎん、か」


「バハムート、有難う」


「口で幾度も言える軽い言の葉など要らん」


そう言い、空へ粒子となりて消えて行く。

戦闘の際はこうなるらしい、と改めて理解し何もかもが消えたコンクリートだった地面に二人同時に着地する。


「蒼実は日本海方面へ、三神は五十の塔方面に確認された罪の打倒、及び対象の救出へ向かえ」


各々の無事を皆が祈る中で、戦場に立つ二人に待ち受けるものとは。


To Be Continued。

「次回予告」


過去からは逃れえぬ。

逃れえぬ、黒で染めよ、染められよ。


蒼は無く、赤もなく。

蒼は潰れ、赤は呑まれ。

紅は磔に。


罪を背負え、罰を呑み干せ。


それでも蒼が翔けるのなら……。


次回

「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」

第三十話:虚飾・転回


「……久しぶり、凍花」

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