第三話:絶望へのカウントダウン
どうも、新人小説家のハルトです。
彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花、第三話までご愛読ありがとうございます。
どうぞ、お楽しみください。
視線が痛い。
モニタールームより、放たれる皆の視線。
苦渋の表情をしながら、適正検査場では、黒い左腕を悔しそうに右手で握る三神 暁と。
モニタールームでは、騒々しい声が響いていた。
「あんな奴に適合なんて無理に決まってる!!」
「そうですよ!!先生、あんな……あんな化け物に受けさせるなんて有り得ません!!」
「あんな奴、さっさと殺すか、追い出すべきだ!!」
生徒たちは皆口を揃えて、罵倒に軽蔑、陰口を始めていく。追い出すべきというもの、殺すべきだというもの。
左腕を隠す不思議な転校生、その評価からすぐさま一転し、怪物の腕を持つ化け物を卑下する評価へと反転していく。
そして、それを遂に耐えかねて堕天止ルシファーは口を開いた。
「静かにしろ!!」
その声と共に、生徒たちは皆口を閉じ。
ルシファーは静かにモニタールームより見える適正検査場を見て、腕を組む。
「私とて、彼奴に左腕を出しては欲しくはなかった。
彼奴が提案を受け入れるとは思ってもなかった」
「だが彼奴も私も、決断して行った行動の結果だ、だから今は見逃してやってくれ、……頼む」
スーツ姿の堕天止は、そのままゆっくりと振り返りその頭を生徒らに、下げた。
生徒らはザワザワと声を立てながらも。
少しの間の後、生徒の中から蒼御が前に歩いてきては、ルシファーを前にして。
「私は、先生の言う通りに従います。
先生は、今まで間違ったことはしてこなかった」
「そうでしょう、皆さん」
生徒ら宥める蒼御を見て、各々がそれぞれの反応を示す。
認めぬもの、認めるもの、何とか容認しようとするもの、それぞれだが一旦場は落ち着き。
適合は行われることとなった。
「先生も、頭をあげてください」
蒼御に声を掛けられ、頭を上げるルシファー。
「すまない、蒼御」
「私は当然のことをしたまでなので、戦力が増えるのなら皆も申し分は無いことでしょう」
「……そうだな」
そんな会話を交えて、皆が落ち着いたところ、場面は適正検査場に移る。
適合
その名の通り、契約族と、この櫃でパスを繋げ契約する儀式に近しいものをそう呼ぶ。
そもそも契約族は何処に存在しているのか、何処から来ているか不明な点が多く、唯一分かっている点は、契約族は人類の手に負えぬほど強力な力を有しているということ、それらとパスを繋げること自体危険なのだが。
人類には協力的であるらしく、初めて契約族との対話が成立した際には人類との協力関係を取りつけることに成功している。
承器は基本的に、契約族の技術で創られた武具であり、契約族の強すぎる力を武具の中に新たにエネルギーとして変換する事で力を更に発揮するというもの。
名門家では代々受け継がれてきたものを用いて、適合をするそうだ。
持ち合わせの武器でも、姿形は変わるが適合が可能で、どちらでもない場合学園からの支給品か、契約族より渡されるのだそう。
契約族から渡されることは滅多になく、この世に数える程しか居ないらしい。
最も己の場合、持ち合わせは無い。
契約族からか、学園からの支給品となる。
「ES、レベル共に同期完了安定しています。 」
「待ってください、北風さん、契約族より反応があり、いえ……無し?」
モニタルームのスピーカーからオペレーターらと北風によるアナウンスが聞こえ、マイクよりザワザワという声が聞こえる。
「反応が、無い?どういうことだ」
ルシファーがオペレーターにそう問いかけた所。
「私たちにもさっぱりです、北風さん何か原因は……推測できますか?」
「いや、分からない、けど反応がないってことは居ないってこ……!?」
その瞬間、学園全体に警報が鳴り響き、モニタールームのモニターに映し出されるのは、異種国都内中心、空を引き裂く様にしてその姿を現すのは巨大な異形の獣。
四足の巨大な脚、2本の巨腕、その邪なる神の如き巨体の大きさは30階の高層ビル、100m程にまで登る。
八卿議会が定めた枠組みから外れた災獄。
国破壊などでは収まらぬ存在、それを見て皆呆然とする。
無論のこと、適正検査場に居た三神暁ですら呆然とする。
大きくても60m程までが限界だった。
だが、ここまで大きい災獄は見たことがない。
そして、そんなことを考えている暇も与えられず出撃命令が下される。
「出撃命令、出撃命令、オペレータールームより適正検査場モニタールームへ!!」
「2年C組、第一部隊から第三部隊、合計十五名は出撃してください!!」
「学園指揮官へ連絡、転校生適合者、並びにオペレーター二人、技術者、北風南さんはオペレータールームへ急いでください」
アナウンスが流れれば、ルシファーが皆の方へと。
「出撃開始ッ!!」
そう声を上げ、第一部隊から第三部隊は忙しそうにデバイスを持ちオペレータールーム横に設置されたカタパルトデッキへ急ぎ駆けていく。
無論のこと、適正検査場から自分も北風南、学園指揮官のルシファー、オペレーター、部隊員と共にオペレータールームに向かっていく。
時刻は11:00。
既に命名テスカトリポカと魔物級の災獄によって捕食行動、人民被害、建物倒壊などの被害が出始めているため。
「第一部隊、カタパルトデッキより準備完了」
「第二部隊もOKだ」
「第三部隊も行っちゃうよぉ〜ん」
「三部隊同時出撃、どうぞ!!」
「ラジャー!!」
カタパルトデッキ。
災獄被害領域へ向けて即座接近、攻撃を可能とするため人間の耐えられる限界まで速度を上げた発射装置。
契約族と契約している契約者の学生らの場合、電磁投射砲程の速さでも問題なく負荷はかかるが耐え切れるためそう設定がされている。
場面は移り変わりオペレータールームから。
異種国都心部。
「異種国内都心部 災獄テスカトリポカは周りの魔物級に護られるように留まっており、移動、捕食行動を行う様子はない。
既に人類族、亜人族、天止族への被害数1万件を越えている、殲滅を急がれたし」
三部隊全てに通達が入り、カタパルトから近くのビル屋上へ三部隊がほぼ同時に、火花を散らして着地をすれば、第一部隊蒼御部隊長より、命令が更に下される。
「三方向に別れ、魔物級の殲滅、人命救助、決して油断はしないこと、OK?」
「了解!」
「リョーかい!!」
簡潔で分かりやすい第二部隊、第三部隊の隊長もそれに納得し受け入れ、音速という速度を以て魔物級によって崩された建物の中を縫うように駆け抜け、転校初日よりオペレータールームにてそれを見ていた三神 暁の心情とは。
「次回予告」
規格外災獄テスカトリポカへの、大規模な戦術作戦の実施。
不動なるテスカトリポカの行動の真意とは、そしてその戦いの後に待ち受ける結末は。
生きての勝利か、死しての敗北か。
次回、彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花
第四話:乱入者
紅は動き出し、蒼は刃を振るう。
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