第二十四話:実践訓練【前編】
どうも、更新が遅れて申し訳ありません。
新人小説家になる夢を持っているハルトです。
皆様、Twitterの方の不具合はどうでしょうか。
イーロン・マスクさんが何を考えているか自分にもサッパリです、TLの制限だとかなんとかって見づらいったらありゃしませんよね。
では、第二十四話の方、お楽しみください。
「これより、三戦式の実践訓練を開始する」
丁度、A.M.6:30。
フロントラインの指揮官と思われる人物の言葉によって、瞬時にぶつかり合う太陽の光さえ透き通る程に美しさを放つ蒼き刃。
それに応じるか。
風の隙間を縫うように咲き乱れ落ちる
花弁の如し。
桜色の髪が風に吹かれ靡き刃を振るい、蒼き少女もそれに呼吸を合わせ、応対を返す様に蒼き刃を振るっていく。
其の"実践"と呼ばれるそれは、余りにも何よりも美しき勝負であるからこそ声援等は不要、と皆は判断し。
グラウンドにてぶつかり合う二人を皆は、離れた位置より互いへ静かなる意思を贈る。
第一戦目から第三戦目まで続く実践訓練の開始を告げて、その頃、フロントライン学園寮前。
「誰だ、アンタ」
近くの木の下で睡眠をとっていた寝間着姿の三神 暁は目の前に立った誰かへと目を見開き視線を向ける。
「あれ?起きたのかい、随分と早いお目覚めだね」
「誰だ、と聞いている」
「そうだなぁ、君の夢の中の妖精さんとでも名乗っておこう」
口元しか見えず男か、女か分からぬ其の容姿。
羽織っている黒い外套は何処か、休日中に剣を交えた者が身に付けていたモノと瓜二つである。
「巫山戯るなよ」
「ふざけてなんかないさ」
ひらひらと余裕気に此方の言葉を交わす眼前の存在、腰に装備されている西洋剣にも微かだが見覚えがあるもの。
起きてから数分、まだハッキリとしない意識を目覚めさせ。
「あの時の……」
「おっと、それ以上は行けないよ、少年、君の剣技はそれなりだったね、精々……そうだな、あの蒼い少女よりかは圧倒的に技術という点において劣りに劣っている、クソザコナメクジだね」
「何が言いたい」
一呼吸置いた後に、顔を隠す様に外套を身に付ける存在はゆっくりと隣へと座り。
「君は、己の目覚めた力に振り回されて眼前の敵に夢中になる余り、周りに目を向ける事無く、君と竜のぶつかりで生まれた波は瓦礫となって君の育ての親は、其れに潰されて死んだ」
「違うかい?」
相手の様子に一切の隙は無く、平静を崩さない様に話す。
暖かい春の風が両者の間を保つかの様に吹くのみで。
自分、俺はその問い掛けに答え、冷静な回答を返せる気がせず恐れからか、怒りからか分からずして咄嗟に相手の胸ぐらを掴んで立ち上がり。
「黙……」
「おや、感情の方はてっきり損なわれたと思っていたのに」
「なっ……!?」
胸ぐらを掴んだ瞬間、相手の被っていた外套の中身が露になる。其の顔は、己の見た顔は、まるで己の育ての親である存在と全く持って瓜二つ所の話ではない。
彼女そのものであったから。
「顔を見られる予定はなかったのに」
「久しぶりかな、前の俺、いや私は会っているのだよね」
「お前……お前は何者だ!」
混乱して相手の胸ぐらから手を離せば顕現させた承器を振り抜いていくがそれは容易、とまるで癇癪を起こした赤子を止めるかの様、相手の人差し指一つで受け止められ。
「甘い、その太刀筋じゃ今は木の一本も切れないんじゃないかな」
「じゃあ、また後でね」
指先で受け止めた刃を軽く上段へいなすような形でするり、と自分の前を抜け他の連中がいるフロントラインのグラウンドの方へと歩いて行った。
深呼吸をし、その場でへたり込めば突然と頭痛。
最悪だ、あんな顔をして同じような顔をして、と自分はそんな事を考えズキズキと痛む頭を押さえながら。
場面はグラウンドへ戻る。
「流石、と言うべきですかね」
「いえ、貴女こそ」
桜髪の少女と蒼実の拮抗していた実践訓練第一戦目も、終わりを迎えかけていたところで。
「そういえば、自己紹介というのを忘れていました」
決着を着ける前に、と思い出したように桜髪の少女は名を名乗る。
「私の名前は逆壬 桜花、街中にある逆壬人承器開発会社の逆壬 王手の一人娘です」
逆壬と蒼実。
何処かやはりと言うべきか、似ている二人、承器の形も抜刀術に適した形の刀型となっている、そして肝心の契約族はと言えば……。
「では、決着を着けましょう凍花さん」
「……はい」
桜花さんと私は一歩ほど離れ、私が言葉を返すことは無い。
距離を取った後にタイミングはほぼ同じである納刀の後、呼び出すのは各々の契約族。
「フェリドゥーンッ!」
「フツヌシ!」
先手を取ったのは私。
一歩前へ相手よりも速く、踏み込みながら、腰を低く落とし、私の背に登る太陽から落ちて来るように顕現するは何故か私に似ている姿形をした、悪竜殺しのフェリドゥーン。
フェリドゥーンの加護を借り、己自身の抜刀速度を常人から逸脱する限界点まで強化を行い、相手の柄を握る手を払い除け薙ぎ払う様に抜刀して行くが……。
「甘い……!」
まさかの返し。
否、死角からの攻撃だった。
相手は私と一歩離れた直後、握っていた鞘の向きを上下真逆に持つ事で瞬時に刃を抜刀する方を基本の上段……ではなく、下段からの居合を行う事で私の喉元を切り裂かんとしていたのだ。
一つ、唾混じりの息を飲む。
恐ろしい、もう少し振り抜かれていたらと考えると私の喉元は真っ直ぐ下から上へと切断され血液を噴射して死んでいたが……。
一方で、桜花の視点は。
非常に不味く、危ない状況だった、もしも相手の速度が私のを越えていたら私は手の甲か、手首を切断され容易に武器を握る事無く。
相手にトドメを刺されていた、とゆっくりと刃を握る手の首元を見れば、私の下段を後々視認したとはいえそのまま相手が振り抜いてくると言うのを思考に置いて。
横薙ぎから相手に致命傷を与えてから死んでやる、とでも言うかのように刃を既に手首元へと狙いを変えたのだ。
つまり、二人の視点から周りの目から見ても、この勝負は引き分けだった。
「ふぅ……」
「はぁ……」
余りの切羽詰まった極限下での実践訓練であった、と二人の力は承器を握る手から落ちるまでの疲弊からか、足腰が抜けへなりと両者、倒れかけ。
「お嬢!」
「アオ!」
其れを親友とも、従者とも見てとれる二人が支えている、という結果に落ち着いた。
第一戦の結果は引き分け、ここから続く第二戦、第三戦。
其れをまたも人に気づかれぬ事はないであろう付近の木の上より眺める誰かの姿。
「さて、私が介入する必要があるのかないのか……え?あるかもしれないって?やだなぁ、接続すると疲れるんだよね」
ぶつくさと独り言を呟く三神 暁と接触した外套の女と思わしき人物。
果たして何者か。
そして
「──────────」
深海、反響するソナー音。
その巨イナル影、四つ光る眼が視認するは日本大陸に残る人類種。
其の影は静かに蠢き、目覚めの時を待つ。
「ゆっくりとだ、我が子よ」
其の影の横に立つ異質なる存在が一体。
厄災はゆっくりと深海に。
to be continued。
「次回予告」
第二戦目の開始が告げられる。
花火と白刃の戦い。
燃ゆる拳が、白銀の薙刀とぶつかり合う。
其の様はまるで武と武そのもので。
嗚呼、平穏よ続いてくれ、と何度願うか。
始まるは災いへの序曲。
災いの始まり迄後……
"一時間"。
次回
「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」
第二十五話:実践訓練【後編】/災いが為の序曲
「今こそ始めよう……焔は揺らぎ風は掻き消え、恐怖のみが世界に残る!」




