第二十三話:フロントライン
おはようございます、皆様。
新人小説家になりたいハルトです、第二十三話の更新となります。
最近は6日間空けての更新がペースとなってきており、それなりの安定を見せています。
皆様も自分自身の趣味や、やりたい事はしっかり定期的に間隔を空けたりなどして慌てず騒がず落ち着いてって事で行いましょう。
ではでは本編の方、お楽しみください。
それは、城であった。
学園などと不躾な呼び名を付けるのには値せぬ様に思えてくるほどにまで、荘厳に溢れた和の城。
外観の様式美という点においては、この学園は一番と言っても過言では無いと一目見れば思う程には城である。
「城、ですね」
「城、だな」
私達はつい、校門前で唖然とする。
何せここまで城な学園は見たことが無いから、大抵は学校と言った感じの場ではあるはずなのだから……なのに。
「……城って」
「お城かぁ〜」
驚きは止まらない。
冷静、平静さを基本崩さない黒も、高いテンションを常に止める事は無い白でさえ表情が少し引き攣っている。
「よく来たな!我が同士達よ!」
「わざわざ来たな!我が友達よ!」
校門を開き布マントを翻しながら現れたのは、二人の姉妹に見えなくもない、小さな二人の少女……と思わしき二人。
少なからず私よりも背が低い事は確かで、学帽を深く被っている。
後、テンションが高い。
「我らが名は!」
「我らが名は!」
名乗りでもあげるという所で、後ろから現れた同じ部隊と思わしき少年と一見は美少年に見えないことも無い、同じ歳ほどの女の子が無言の圧で止める。
「やかましい、お客様に迷惑をかけるな」
その少年の声と同時に、姉妹と思わしい少女らは驚いたか背後の学園の方へと走って。
「……すみません、驚かせてしまって」
「いえ、そんな事は」
正面に立つ形で握手を交わし一つ謝罪をする桜色の髪の少女、そこはかとなく似ている二人。
「お嬢、恐らくこの方達が」
「えぇ、分かっています」
少し背後に立つ白髪青眼が目立った青年はお嬢、と呼び慕う姿勢が見られる……。
従者か何かなのだろうと、自分は考えるのだが一瞬、青年の目が此方に向いた気がして。
「では、早速ですが皆様との自己紹介などの前にお部屋に案内させていただきます」
「……お嬢、案内の方は俺が」
「いえ、大丈夫ですよ」
何処か心配そうな雰囲気を醸し出しつつ、桜髪の少女をお嬢と呼ぶ青年は、そう言われれば大人しく引き下がる形で自分以外の契約者らを学園内に通せば。
「お前を通す訳には行かないんだ」
前方の皆が其の様子に気付くことはない。
対峙する形で先程の丁寧な口調とは打って変わり、荒々(あらあら)しく敵意がむき出しの狼のような口調へと変わる。
「左腕の男か……はっ、化け物め」
「お嬢の前……いや、人類の前から消えろ」
瞬きする時間すらなかったか、自分の返事になど興味が無いと言うように承器であると思わしき薙刀を顕現。
下段からの振り上げで一撃で終わらせんとする其の速さと言えば。
ここで殺人は厭わないと言う気迫すら感じられるものだが。
「遅い」
「ちぃ、化け物がァ!」
逆手抜刀、相手が振り上げてくるよりも速く、此方も、一歩前へ振り抜く形で右腰付近に錆びた太刀を納刀した状態にて顕現。
瞬時に逆手持ちの状態での居合という形で受け止めた。
次の瞬間。
「やめなさい」
「自分の価値を落とさないで」
薙刀と刀の刃に割り込む様に、彼処側がお嬢と呼んでいた存在と蒼実が、ほぼ同時に承器で止めに掛かる。
「……お嬢、此奴が何なのか、何者なのか解って言ってるんですか?」
薙刀を構える事を止めぬ白髪青眼の青年は、完璧な敵意と怒りを顕にしている。
「解りません、解らなくても構いません、ですが其の刃は納めなさい」
言葉を交える前方の二人、それとは違い此方と少女の間に言葉は無い。
目の前で刃を止めた少女の眼は、力強く、言葉を交えずとも言いたい事は何となく分かってしまったから。
相手方の青年が薙刀を納めるのを視認すれば、此方も溜息を着きつつも手に握っていた承器を納め、相手とは睨み合う。
「……貴様を認めた訳では無い、あくまでもお嬢の言葉があってこその停戦に過ぎない、何か余計な事をすれば殺す」
「……其方こそ殺すタイミングと言うやつを逃して逆に殺されないように、な?」
先行する二人の背後で、小声で喧嘩と言うやつをする自分たちへ全く同じ言葉で飛んでくる怒号。
「喧嘩しない!」
「解った」
「はい、分かりました、お嬢」
きっちりと返事を返しながら、自分が今回泊まる部屋に案内された後に校内の機能についても同じ"学園"である為、似たり寄ったりだと言うのに案内され。
寮へと戻る寸前だったか。
「覗きとかしたら殴る」
花火からそんな言葉を、まるでボールを顔面に投げてきた様に言われた。
逆に覗きをすると思われている事に少し不思議な感じを抱いた。
此方の寮のリビングには丁度四人、白髪青眼の青年、神威原、裏腹、そして自分。
「さて、自己紹介がまだだったな」
「俺は白刃 秤、数週間程ではあるがよろしく頼む」
軽い挨拶の後、裏腹、神威原と続いて握手をするものの此方と握手する際のみ、物の凄く嫌そうな顔をしながら握手を交わす。
「……さて、今日はもう遅い、しっかり休養を取ると良い、明日は実践訓練という形をとっての実力把握という事もあるからな」
そんな言葉を自分達に言いながら、そそくさと寮を出ていく男、白刃 秤。
「なんか、不思議な人ッスね」
「そーだなぁ、三神、どうする?休むか?」
外は暗く、雲浮かぶ夜空に月が呑気に出ていて既にP.M.10:30という時間。
「……少し外に出てくる」
「そーッスか、んじゃお先に眠るッスね」
「三神、遅くなるなよ〜」
言われずとも解っている二人の言葉に、返事は返さず寝間着のまま承器を持って外へと向かう。
夜風が涼しく、過ごしやすく眠りやすい天気だ。
「あの男、流石と言うべきか」
月の光に照らされて、伸びる影の様に現れる、彼の相棒である人形姿のバハムート。
「何がだ」
「彼奴は、貴様の情報をあのお嬢とかいう存在よりも速く把握っていた、それが示すべき答えは」
「……いつか必ず殺られる、と?」
そんな契約者との会話の中で、上半身に身に付けた寝間着を颯爽と脱ぎ捨てては、月光に当たる其の体、筋肉質であり痩せ細っていて。
常人では先ず"生きていること自体"がおかしい傷。
弾痕から切断痕、果てには背肉の一部が抉れ、背骨が血管の如く今にも掴めそうな程に肌ヘ浮き出ているという事。
呑気に浮かぶ月を背にし、承器の刃を抜けば、ひたすらながら、出鱈目に在らず、何処か定まっている様子で其処には、居らぬ相手向かって振り続けていく。
それを遠く遠く月下の元で眺め、見つめる存在が一人。
「……中々これまたどうしてか、笑って見過ごす訳には行かないけれども、だからと言って消してしまうというのは余りにも勿体のない」
その姿は、何処か彼の育ての親に似て非なる誰か。
それ自体が災いを呼ぶのかは、"今は"まだ解らない。
to be continued……。
「次回予告」
拮抗する武と技術。
己が力を確かめるため行われる
契約者同士の実践訓練。
部隊は各々、己を研磨し強くなる為に
強く在り続ける為に。
部隊より離れ対峙するは
八卿の一柱と三神 暁。
災いが来る迄、後七日。
次回
「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」
第二十四話:実践訓練【前編】
「久しぶり、では無いのかな、前の俺……いや、私は会っているんだよね」




