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彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花  作者: 新人小説家ハルト
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第二十.五話:それぞれの休暇【第一部隊編】

どうも皆様、第1章完結して以来の更新となります、新人小説家のハルトです。

はい、皆様待ち侘びているであろう、第二章目前の外話と言ったところですね、今回は二章の始まりはこの日常を映すものが終わった後、となります。


各々の休暇、戦いの後の様子を映す、ちょっとしたオマケのようなものです。

では、どうぞ。

凍花救出作戦(ターゲスアンブルフ)から、約二週間が過ぎた。

五月の中旬、街は未だに傷跡(きずあと)が残り直っていない場所もあれば、完全に復旧作業が終わった場所もあるらしい。



街の全てをオレらは把握してる訳じゃない、から何も言えない。

……ただ、あの戦いで死んだ人もいっぱい居た、それは分かる。


そんな悲壮感(ひそうかん)(ただよ)わせ街中、新東京都(しんとうきょうと)の中心であり大きな駅のあるバチ公銅像前公園(どうぞうまえこうえん)のベンチに一人座る花火の姿。


それは数日前の話、学園専用の連絡アプリであるW.D(ワールド)の中にある、第一部隊専用サーバーでの事。


「ねぇねぇ、皆寝てる?」


P.M.10:00 北風 南の発言から始まった、ちょっとした平穏を現す約束。


W.D内では、個人同士又は複数人の信頼出来るメンバーサーバーであれば文字を打たずとも、ボイスチャットが使えるという画期的?か、よく分からない機能がある。


「んあ、寝てねーよ」


「何かしら、こんな時間に」


第一部隊専用サーバーには三日月の姉妹、蒼実、花火、北風が集まっていた。


「じゃあ、唐突だけど皆で今度街に出かけない?個人の用事がない時にバチ公前集まってさ」


「北風にしちゃメズラシーな」


前までほんの少しだけ、人見知りであった北風から誘うという行動は花火の目からすれば珍しいものだった。

基本的に第一部隊の面々は花火という繋ぎ線があっての交流、と言った所だったからか。


「私は賛成」


真っ先にそれに声を上げたのは蒼実であった、事件の再重要参考人としての八卿議会(はちきょうぎかい)からの査問が終わり、傷、精神(メンタル)のケアも終了、久々の休暇ということで暇を持て余したからだと言う。


「アオが行くならオレも行く、んで三日月の姉妹はどーすんだよ」


「どおする〜?くーろー」


「……私は行く」


「じゃあワタシも!」


花火に合わせる形で皆、北風の提案に賛同し今へと遡る。


「……にしても、遅せぇ!」


と一人、頭を掻きむしりながら叫んだ突如、後ろから花火の目を覆い隠す形で。


「誰でしょうか」


「アオ」


「即答とはやりますね」


バチ公前、振り向き居たのは薄めのコートを羽織りジーンズ姿の蒼実、とその後ろに名前の割に逆色の黒と白の薄ポンチョ姿の姉妹とパーカーを着る北風の姿であった。


「さて、何するんです?南」


「え?兎に角、腹ごしらえでしょ!」


何気に時間はP.M.12:00、お昼時である。


「……ワタシ達も」


「お腹すいたぁ〜!」


あの戦いから二週間とはいえ、そんな様子を皆が元気な姿を、見ている影が一つ。

散歩をするように街を歩く五人は、カフェに入り昼食を取った後、買い物でもするのか。


街中でも一番大きな雑貨店へと、足を運ぶ所で。


「……花火」


「……分かってる」


二人は後ろの影に気づかれぬよう、目線を合わせ、(うなず)けば三日月の姉妹と北風の手を取り、近くの路地へと走る。

その姿を見た影は、その後ろを追いかけていくが路地の先には五人の姿はなく……。


「動くな」


「両手を頭の後ろに、余計な動きを見せたら斬ります」


首先裏に向けられる蒼き刀の承器と、背中に当てるように向けられた拳型の承器。

影は黒い季節外れのマフラーを付け、パーカー姿の身体付きは男と言ったところの奴で。


「こっち向きな」


花火の一声で静かに男は振り向いていく。

その正体は……三神 暁であった。


「バケモン!?」


「暁!?」


「三神君!?」


「……三神 暁」


「あ、腕の人!」



ほぼ同時に彼女たちは驚く、それはそうだろう五人組の女を付け回すなんてどんな愚か者か、とんだ馬鹿者だろうと思って見れば、其の顔は実質的に虚飾を打ち倒した英雄である三神の姿なのだから。


「……見つかったのなら仕方が無い」


数分後、近くの雑貨店へ一緒に入りつつ何故付けてきていたのか、ということで言葉を交える五人と一人。


「という訳だ」


「心配は無用、と言ったはずなんですけどね、花火や南、黒も白もいます」


予想は着いていたと言った感じの五人の顔を見て、少しの溜息を着く三神。

それは花火がバチ公前に着く数分前、偶々学園長としての執務が無かった、実質的な休日のルシファーと遭遇し。


出かける凍花や花火などが心配だから気付かれないように見てきて欲しいと頼まれたそうな。


世話になっているという点において、蒼実や花火以上であり第二の親と呼べる存在に頼まれれば断れはしない、という事で着いてきたらしい。


「……おい」


「何だよ」


蒼実 凍花との会話の後、服の襟を掴んでくる花火。


「お前がええと、あー……なんだ、そのオレを最終的に助けてくれたんだろ」


何処か、礼を言うのも恥ずかしさを感じるのかほんのりとだけ頬を赤くしてそう言う花火に。


「別に、あのまま核をぶち抜いても良かったし、俺にとってはどうでもよかった……が、単純にアンタの隣に立ってる奴が願ってたような気がしたから助けた」


「はぁ?なんだよ、それ」


何となく不機嫌(ふきげん)そうな顔つきになった花火を気に留める事はなく、わかりやすい方に言った方がいいのかと、少しの思考をめぐらせて花火に向けて呟いた答えは。


「省略して言えば、勘だ」


思い返してみれば勘で助けた、というのは言わない方が良かったんだろう、まさか公共の店の中で背負い投げをされるなんて思ってはなかった。

しかも花火の奴は凄い顔をしていた、赤い般若の様だった。


背負い投げをされ、色々あってお店の人にも謝って店を出た後、皆で食べ歩きをしてみたりよく分からない、がま口頭のクマの人形をゲーセンで取ったりして。


「……お、もうこんな時間か」


花火が不意に呟いた、空はあっという間に黄昏色の空、ふと思い返してみれば結構な時間が経っていたらしい。

街中は定時帰りの社会人、学校終わりの普通の高校生と言った人で溢れかえっている。


「どうする?」


「そうですね、ここいらでお開きとしますか?」


「そうしよっか」


花火、蒼実、北風の三人に続き欠伸をしながら黒と白が呟いた。


「……ワタシ達も、もうそろそろ帰る」


「じゃ〜ね〜」


笑顔で満ちている白と何処か満足気で此方へ手を振りながら、黒の方は満足したのか、はたまた、余り面白くはなかったのか、まだ察しがたい顔をしながら其の隣を歩き帰っていく。


「じゃ、帰るよ、またね、凍花、花火、暁」


少し歩きながら、皆帰っていく中で帰路に着いたのか此方に手を振りながら笑顔で帰っていく北風 南。


残った三人は、何となく徒歩でいつの間にかと言うべきか学園前にまで来てしまっていた。


「つい来ちまったな、帰るまでに近い道もあったんだけど何か帰る気にならなくてな」


「そうですね、花火と私も同じです」


陽が落ちていく。

こうして、また一日が終わっていく、黄昏(ゆうぐれ)に照らされる二人もまた戦いへと身を投じる。

無論の事、自分もそうだ。


戦いの終わりは、一体何処にあるのだろう。

災獄を(ことごと)殲滅(せんめつ)すれば良いのか、それとも……。


物思いにふけ暗くなった顔つきをした自分を心配したのか、凍花が声をかける。


「どうしました?」


「いや、なんでもないんだ、ただ……」


なんでもないという割の顔を見かねて、花火も声をかけてくる。


「ただ?」


「この戦いは、いつになったら終わるのか、ってさ」


二人はその言葉を聞いて、感化(かんか)されたのか、少しだけ考えを巡らせるような、何処か苦味(にがみ)を口内で潰したような顔をし。


「多分、終わらない」


「……えぇ、恐らく何方かが果てるまで一生、永遠に続いて行きます」


永遠(えいえん)永久(とわ)の戦い、それはこの現状(いま)の答えであり当然のものだった。


「だから、オレらがいる」


「そう、私たちが戦う事で、この永遠の戦いの終結へまた一歩近づいて行く」


悔しいが、その答えや言葉に返す言葉も見出すことは今の自分には出来なかった。

……そんな話をした折に、自分達はそこで解散し一日が終わった、また明日も会える様にと祈り、そして考え、戦うために。


「次回予告」


ちょっとした、会話。

いつもの事だろう、けれど其の会話が、いつかどこかの平和へと繋がる為のものなら私たちの戦う意味はある。


あの戦いから、二週間とちょっと。

あんまり出番のない私たちは、まぁ、普通。


「……あれ?もうノートの紙切れちゃった。

日記ってのも苦労するなぁ」


次回

「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」

第二十.五話:それぞれの休暇【第二部隊編】


「買ってこないと……」

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[一言] いつもお疲れさまです!楽しみに見てます!
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