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彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花  作者: 新人小説家ハルト
20/61

第十七話:赤と蒼

皆様、更新が遅れて申し訳ありません。

新人小説家のハルトです。


なかなか描写の描き方が難しく、満足に行く物が描けませんでした。

その為、更新の停滞が出てしまったことをここに改て謝罪致します。


さて、気持ちは切りかえつつ。

第十七話、蒼き少女の親友とも言える赤き少女の勇姿をその目にご覧下さい。

では、どうぞ。

「第一カタパルトより第一部隊出撃準備、お願いします」


今から15分前。

第二部隊、第三部隊が出撃し学園の周りを囲う災獄の掃討と学園から500m付近で接近を停止した繭への道を切り開いていく他の部隊を。


P.M.12:35、自分達、第一部隊の面々はそれをカタパルト待機所でのモニターから見上げていた。


「……なぁ、バケモン」


「何だ、花火」


壁に背を付けながら、物思いに耽っていた俺はいつもの様に化け物と呼ばれながら話しかけられた、慣れた言葉だ。


「……その、ありがとな」


「何が?」


「何がってお前……あの時の」


そんな日常的な学生のような会話を途切れさせ非日常へ呑み込むかのように、今へと至る。

ありがとうの意、何気に初めて言われたのかもしれない、自分の言われた言葉も自分の言った言葉も覚えていない。


会話の中で聞いたありがとうの後の言葉は未だ聞いていない、何を言いたかったのか、自分にはそんなことすら分からなかった。


だからこそ、答えを聞かねばならない。



「第一部隊、第一波、来ます」


「第二部隊、第三部隊は一度学園内まで撤退し補給の後、災獄出現予測位置に向かい掃討を行ってください」


出撃から数分。


繭まで、後500m。

第一部隊、残党の災獄と交戦開始。

第二、第三部隊災獄の大半を掃討を完了させ、補給の後に災獄出現予測位置に向かう予定である。


花火が叫ぶ。


「ちっ……邪魔だ!」


目の前に群がる小型から中型の個体。

やはり個々の戦力自体は弱く、脆いが知能もある程度はある為、複数戦術を理解し行動を起こす


その複数戦術に少しの苦戦を強いられながら。


「……」


それを天界から一人、父と眺める眺める天止がいた。


名を神の娘、アーサーと言う。

あれから数時間、神である父が執務を終えてから地上の観測を一切絶やすことなく行っている。


「父上」


私は平静のまま地上を眺める、父上に問いかけた。


「何だ、アーサーよ」


父上は先とは優しく答えるのではない、私の問いに厳しさが見え隠れしながら答えてくれた。


「我々は加勢しに行かなくてもよろしいのでしょうか」


「地上に住まう人とは違い、天止の約五割が無情で無知だ、何故、人は同族たる人を助け、何故、支え合うのか、それらを理解しなければ天止である我らが介入する余地は無い」


「"元"天止のルシファーでさえ、感情を学びきり堕天をしたと言うのに何故、我らは感情を学びきれぬのか」


心底、呆れるかのような溜め息を着きながら玉座に着く「神」は地上の観測を怠る事はなく、人の感情や心についての問答を娘と交える。


天止は単独にて思考を自己完結できる生き物だ。


考えも人と同じく各々の考えがあり、だがそれを周りの天止と共有しようとは思わない考えを持つ天止が五割。

感情や共有を理解し人の様に感情的、衝動的に過ごす天止が五割、その様に複雑な世界なのが天界である。


場面は変わり、東京都内戦闘終了後第一部隊。


「あと……どんくらいだ!」


複数の小型を相手した事による焦燥と疲労から、少し食い気味に。

周りに転覆したビルを縫うように索敵しつつ伝って走る北風に問う、花火


「あと?あと……繭までは300m、近いのは確かだけど、その前に大きな反応が一つだけある」


その言葉を聞いて、北風の言う何者かの気配に勘づいたのか承器化した白をしっかりと握りしめ、体を強ばらせる黒。

一方、オペレータールームでは敵性反応が一体確認され。


「皆さん!上です!」


即座に腰近くのデバイスより響く風見鶏 都からの伝令、その言葉は、「二手」遅かった。


「Kvraaabuuuuk────!」


その災獄。

上から落ちてくるように襲いかかってきたかと思えば、巨大な肉塊の様な右腕を振り上げ、其の様子に現を抜かしてしまったか、小柄な黒を今にも潰してしまいそうな力で掴み取り。


瞬間。


その黒を常人……否。

常人でなくとも耐えられぬような速度で此方へと投擲、飛んできた黒を何とか承器を納刀し。

両手で受け止めながらも衝撃で花火達よりかは後方へと自分は吹っ飛んでいく。


「黒……!」


後ろへ吹っ飛んだ自分は何とか体勢を整え黒の顔を確認する。

息はしているが一気に酸素が肺に回ったのか、目の瞳孔が此方に向いておらず揺れ続けている。


その災獄の姿は、見覚えのあるものだった。


「お前は……邪魔だってぇのッ!!」


「Kvraasyuuuuuuuuu────!!!!」


咆哮を上げるヘカトンケイル。


黒の心配やれ看病などする暇も与えぬかの様、ヘカトンケイルと花火は拳をぶつけ合う、焔ニ燃える承器の拳にヘカトンケイルが揺らぐ事は無く、燃えようが関係ないと肉塊の拳を振るう。


「花火!」


拮抗する花火とヘカトンケイル。

一つの合図と共に、花火の顔の真横スレスレを一発の弾丸が突っ切って行く。


その弾丸は瓦礫に隠れ、機を伺っていた北風の承器より飛んできたもの。

ヘカトンケイルは頭部と思われる場に、食らっておきながら一切攻撃の手を緩めることは無い。


その間に


「……花火!北風!行け!」


制服のブレザーを黒の下に敷いた直後。

肉塊と拳がぶつかり、一体と一人が離れた瞬間、間に割り込む形で刃を抜く。


瞬きも許さぬと言わんばかりに飛んできた拳を、錆びた刃で一撃に逆らわず此方の右方へとあしらいつつ。


「……分かった……死ぬなよ」


「うん、後で」


少し悔しげな表情で花火と北風は、言葉を呑み込み、託された二人は繭が待つ先へと進む。


無論の事、場に残ったのは自分とヘカトンケイル、意識を失った三日月 黒。

敵はそれきり機を伺うか、はたまた警戒しているのか動かず、お互い睨み合い左右へ回る様に移動しつつ自分は静かに呟いた。


逢魔竜(バハムート)


理解(わか)っている、…ふん…憎しみは冷たいが怒りの熱を滾らせ、仲間を前に進ませるか、貴様は甘ったるいな」


己の背に炎に揺れる陽炎の様な、はたまた幻影とも言える形で、文句をボヤきながら現れる逢魔竜バハムート。

その加護とも呪いとも言える力を用いて、錆び付いた刃は黄昏色の粒子に染り。


其の様子を視認したか、機を伺うのを止め、肥大化した腕にて自分を嬲り殺しにせんと、地を砕き殺気を募らせ、接近してくる災い。


「ここから先には、行かせない」


「Ksyuuuuqaaaッッ!!!」


化け物と評される男。

災いの叫びは嘆きか、ヘカトンケイルとの戦いが幕を開けた。


一方で、先へ進んだ二人、誰も居らぬ夜更けの東京都内を駆け抜けていく。

周りは瓦礫に満ち、人っ子一人見当たることはない、一刻と迫る夜明けに二人は焦りを見せながら先へ進む中。


崩れた建物に一人、女がいた。


「助けて!」


そう叫ぶ女、身体は見ずとも分かる。

傷だらけだ、足が折れたかして動けないのか何とか這いずるような形で其処に居る。


「……止まれ」


オレは今、一番ブチ切れそうな言葉で、女を睨みつけながら言葉を投げつけていく。


「どっ、どうして、ワタシはただ助けを……」


オレの言葉一つで空気が変わり、北風も言葉を聞いてから警戒。

オレは女へと二度目の言葉をなげつけた。


「お前、嘘が下手だな」


沈黙、答えは出ていたのだ。

這いずっていた女は、静かに立ち上がり


「まさかバレていたなんて、流石は私の妹のお友達ってところかしらぁ……」


「……手前」


ピリピリとその場の空気が張り詰める、目の前の女の名は等活之獄(トウカツノゴク)頞部陀(あぶだ)


痘痕塗れの肌は酷く脈動し、蛇の如くされど其の眼は哀れみを覚えるもの、息は荒く興奮を滾らせている様だ。


「あら、あらあらあらあら、ア・ナ・タはぁ……」


花火(はなび) 蓮華(れんげ)、手前をぶん殴りに来た!」


北風が言葉で制止するよりも速く。

その拳は、頞部陀(あぶだ)の顔へと届かんとす、接近など不要とも言えた速度で……。


瞬間。

その上から間に割り込む様、花火の拳を停めながら現れる巨大な影。


「……貴様の出番では無い」


「ハデス!?」


しっかりとその巨大な毛むくじゃらの手は、花火の拳を容易く止める、傷と呼べるものが着くこともなく、いとも容易く。


「止めん……」


止めるな、そう言おうと無理に拳から抜けようとする最中で、ハデスはもう片方の手に握り拳を作り、花火の腹をアッパーという形でぶん殴った。

無論のこと、ほぼ無防備だった彼女はまるで軽いボールのように繭の方向へ吹っ飛んでいく。


「……苦労かけやがって、餓鬼が」


「あら、お仲間を逃がしてよかったのかしら」


「うるせェ、死ね」


吹っ飛んで行った花火を追いかける北風を背に、ハデスの言葉と共に対峙するは最強と最狂、銀色の魔狼は喰らう、地獄に在りし一柱を。


各々の戦いが始まった頃。

花火と北風は繭付近へと近づいていた。


「花火、しっ……」


「あ?」


吹っ飛ばされた反動で瓦礫にぶつかり、出来た傷を小型の災獄に見つからぬよう倒壊した建物の瓦礫に隠れ、治療する北風は、静かにする様花火に伝える。


小型の災獄が過ぎた後、空に浮遊するは巨大な白き繭。


幻想的、空想的なれど、そこにあるは災厄の源、それを殺すも生かすも花火という親友にして、隣に立つものに委ねられていた。


「行ってくる」


「……災獄の対処は任せてね」


治療が終わった花火は、瓦礫からその身を乗り出せば、即刻飛んでくるは一条の光。


「────────!!!!」


唄うように放たれたそれは、もう対処しようのないものと悟るべきそれであった。

逢魔の竜と、焔の王を一撃で伏した其の光。


「…ヤルダバオトッ!!」


「任されました」


金銀の三角形で構成される人型の、契約族ヤルダバオトが花火の目の前、北風の影とも言える形で飛び出し。

己が身体を五角形の盾と変え、光を周りへと拡散させていく。


「今だ、花火!」


その言葉と戦ってくれている仲間の思いを背に、繭へと一気に地面を踏み締めて跳躍、繭の上面へと立てば先程、頞部陀(あぶだ)が刺し()れたと思われる傷口へ。


「戻ってこいッッ!アオッッ!」


承器を外し、素手で思い切り拳を叩き込み繭内部へと手を伸ばした瞬間、強烈な光と同時に焼かれ削がれ刺されるような、激痛が花火の腕へと迸っていく。


そんな中、繭に囚われた蒼実 凍花は。

to be continued……。

「次回予告」


第一部隊一行は苦戦を強いられる。

時を越えし魔腕(まわん)

快楽に溺れし(ごく)


そして、目覚めし(なげき)

それでも

蒼き少女は赤き少女の心に触れ、二人は帰す。



次回

「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」

第十八話:蒼、奪還/滅び為の目覚め


「言葉は不要、人の危機には人が対処す」

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