第十話:悲しみ、血の涙、そして……
どうも、あけましておめでとう御座います。
新年初更新となります#カハタレ
新人小説家のハルトです、皆様お待たせ致しました。
第十話の更新となります。
ですが…話の展開はここから大きく捻れていくことになります、それは読んでからのお楽しみ。
今回短いとか言わないでくださいね、話のテンポ大事にしてますから!
彼の覚醒から数刻の時が過ぎながらも、轟音が響く。
地面を削り、爪と拳をぶつけ合い周囲に地震の様に振動が伝わる程、怒りに狂う咆哮か。
それとも涙に包まれた、悲しみの咆哮か。
「Kvrrrraasvuuuu!!」
どちらの咆哮か、分からないながらも確実に押されているのは災獄ヘカトンケイル、腹を貫かれ頭部は半壊、脚部は右脚と思わしき部分が、潰れ敵ながら強くもあった巨大な右腕は、半分以上が裂けて血が吹きでている。
それでありながら、彼……否、今は獣とも呼べる姿を形取り変貌した者でさえも同じく押されている、血の鎧はところどころ穴が空いて、己の血と思わしき物が吹き出し。
周りの者が忌避し軽蔑の目線を送っていた忌々しき左腕の包帯は、血に濡れて尾のようになって伸びている。
死してしまった赤い髪の彼女の頭を戦いの中、左手に握り、血で創られ殺意そのものを体現し暴力的な剣のように鋭く伸び"生えた"爪を右手と思わしき部分から振り回す。
その頃、オペレータールームでは……
「傷の処置を急げ!」
泣き続ける蒼御、その髪は髪色の様に青く発光し首裏、項辺りの"傷"が青白く光る。
花火がDIA(作戦中死亡)してしまった直後から発光した傷だが、ルシファーがそれをしっかりと確認後に、医療技術を持つオペレーターや生徒を総動員し治療、又は封印に当たる。
「あれは?」
「……そうだな、君達も関係のあることだ、説明しておこう」
過去。
蒼御は有名な家の生まれであり、次代当主として"何不自由無く"育てられて来た。
剣術、勉学、睡眠時間、行く学校、友人関係、果ては恋人まで用意されていた始末、蒼御曰く。
「次代当主になる為の仕方の無いこと」
として割り切っていた事で、仕方の無いことだと受け入れていたらしい。
それでも心の中ではどこか窮屈さと空虚さを感じていたのだろう。
その為、余り他人との関わりは深くは無く無口で目に光が余り灯っていなかった。
強いてあげるのなら週一回に帰ってくる姉の存在があったからこそ、人らしさを保っていたとも言え実質的な管理環境で、唯一姉と話す時間は獄中で真っ当に更生しようと生きる囚人の様だった、とも言えて姉と話す時は、純粋無垢な子供のようにその話に目を光らせていた。
ルシファーとは俗に言う"親のコネ"、七光りとして言わば、お偉い様の息子娘が通う小学校に通っていた時の知り合いだ。
その時から、教師という立場で初めて蒼御の居るクラスを担当したのがルシファーである。
姉、とも知り合いでこの頃から学園の当時の学園長の秘書という立場に立っていた為に廊下や教室、たまに雑談を交わすこともあったのだとか。
そして後に
「色々あって、二人も知る"傷"ができたわけだ」
「じゃあ、あの人も?」
白が問いかける。
その質問は、自分と同類かという彼女には皮肉めいた問いかけでもありルシファーには至極当然、答えづらいものであるとも知らず。
「……そうだな、そうかもしれないな」
と答えを濁すような形で呟いて、前面の巨大なモニターに映る二体の方へと場面は移り変わる。
状況は圧倒的に血を鎧かの様に纏う彼の方へと傾いていて……。
瞬間、黒い。
外から観測する君たちにとっては、一場面が変わったようにしか見えない。
だが、この世界にとっては一瞬の暗闇に包まれ視界が途切れたに他ならない。
そして、何故か、場面は変わる。
針の音、静かに響く時の音。
世界そのものの、時を逆行させる存在が一人。
暗き地下室と思われる場所で、巨大な何個もの時計が重なりできた"大時計"の針を動かし、約一時間前へと回帰していく。
「やり直さなきゃ……やり直さなきゃ……」
それは白い涙を流す真っ黒な影。
少女の闇そのもの、そして嘘そのものである。
物語は回帰する。
このまま、このお話の終焉を訪れさせる訳には、いかない。
彼、彼女らが助かる世界線に届くまで、無限に時を逆行させ続けるのだ。
ならば、またやり直そう、そしてどうか次の世界線で彼と彼女が助かるように祈ろうか。
「逆行開始」
決まらぬ運命
溜まる闇
何度も繰り返す。
これは、蒼の回帰。
此処まで大変で。
まだ先なのかも。
でも。
蒼は知る、己の闇を。
紅は見る、闇の中で。
次回
「彼は誰の紅 蒼く咲く凍りの花」
第Re:八話:真相究明、蒼の闇、蒼き刃
「黄昏がまだ消えることはない、今から始まるのは蒼の一編、それに過ぎないってお姉ちゃん言わなかったかしら。」




