夢語り参
夢で見た話を脚色したものです。少し怖い話です。
目を開けるの知らない屋敷の中
私は着物を着ていて、布団で横になっていた。目線の先に一人の男がいた。目が合うと男は口角を開けて、
「やぁ」
と。
「初めまして、僕はここの主人だよ。名前は雨宮 晋太朗」
私は軽くお辞儀をした。
手を招かれて、案内される。
「昔話をしてあげるね
ここ、雨宮家の昔話なんだけどね
その時は大勢が住んでいて、
大婆さま、婆さま、爺さま、母さま、父さま、姉さま、僕、弟、弟だったかな、その他に母の妹とかもいた気がするけど忘れてしまった。
ある日、大婆さまが死んだ。歳だったんだけどね、それはあまりにも不自然で誰かが殺したようだったんだ。婆さまは激怒した。
『この中に犯人があるって』
この中って、その中にいたのは晋太朗しかいなかったんだ。婆さまは気が狂ったように暴れ出した。
母さま達は慌てて、婆さまを止めた。でも、婆さまは止まらない。
いつもは穏やかな人なのに、恐ろしかった。挙句の果てには台所から刃物を持ち出して、振り回したんだ
婆さまは晋太朗に一直線、母さまは息子を庇う、父さまは母さまを庇う。
鋭い包丁の先が父さまに当たり、赤い血が流れる。
『違う、違う、お前じゃない』
婆さまは婆さまじゃなかった。父さまは動かなくなって、母さまが次の標的になる。
婆さまより、母さまの方が力が強いんだ。母さまは力を振り絞って、婆さまの方に刃先を向けた。が、爺さまがじっとしてなかった。婆さまを守るようにして、実の娘を刺した。爺さまも正気ではない。
父さま、母さまは真っ赤に染まり、仲良く並んだ。兄弟達は青ざめた。逃げるものもいた。
『違う、違う』
婆さまは自分の娘が死んだのに、悲しみもしなかった。爺さまが婆さまも抱きしめる。落ち着くやつに、その願いは叶わない。背中を刺されて、爺さまも倒れる。
『違う、違う、邪魔だ』
婆さまと晋太朗の目があった。
『お前は化け物だろう』
晋太朗は怖くて震える。どちらが化け物かと問われたら、間違いなく婆さまの方だろう。
真っ赤な空間を作り出したのは婆さまだ。
『化け物め、よくもよくも』
晋太朗は動かなかった。逃げないと何か言わないと頭では分かっていただろ。でも何一つできなかった。
婆さまの刃先が晋太朗の心臓を刺した。晋太朗は死んだ。死んでしまったのだ。
晋太朗は犯人じゃないのに、大婆さまを殺したのは死なのに。
黙っているつもりだったけど、僕は婆さまに言ったんです。
『そいつを殺しちゃ困るんですよね、まぁいいか』
そうすると婆さまは僕を見て青ざめた。
僕、どんな姿してたと思います?
今と同じなんですよ、って貴方には分からないですよね、殺した晋太朗と瓜二つなんですよ」
お香の匂いがした。
「僕は誰も殺してないのにね」
ご覧いただき、ありがとうございました!
(ジャンルがこれでいいのか分からないので、ご意見あれば欲しいです)