異世界との邂逅(かいこう)
俺の名前は天野義人。
今日は幼なじみとショッピングモール前の
公園で待ち合わせなのだが寝坊した。
遅れると1日、優里の小言が酷くなるので
全速力だ。
ちょっと息切れでしんどい。
運動不足だな、と苦笑が漏れる。
しばらく走っていると目的の公園が見えてきた。
そこではたくさんの子供たちが朝早くから
ドッチボールをしている。
走りながら投げる様を見ていると
男の子が投げたボールが交差点に出てしまった。
小さな女の子がボールを追いかけ交差点に飛びだす。
信号は赤に変わりトラックは発進していた。
「女の子が危ない!」と叫ぶも
母親は居ないのかと辺りを見回すが居ない。
トラックはそのまま突っ込んでいる…
最悪の状況じゃないか…。
誰もそのことに気づいた感じがなかった。
このままではと思い『横断歩道の女の子を
歩道に戻せ!!』と叫んだ。
周囲は突然のことで誰も動けず、傍観している
俺がやるしかないと思った。
歩道からガードレールを跨いで車道に飛びだし
女の子のところまで全力で走る。
もうトラックは目前まで来ていた。
女の子の脇に手を入れて、やっとのことで
動き出してギリギリのところまで来てくれた
男の人に女の子を投げた。
ちょうど、男の人がキャッチしたのを見た。
家からの全力ダッシュでもう体力がない…
俺はこのまま死ぬだろう。
そう思って数秒後、強い衝撃が襲う。
吹っ飛ばされ地面に強く打ち付けられる
視界が赤く染まり、死にたくないなぁ。と
思ったのを最後に目の前が暗くなっていく。
これが死の感覚かと痛みの中で感じていた。
女の子を助けられてよかった。
幼なじみが公園から出てきているのが
落ちていく意識の中、目に入った
優里ごめん......情けない僕と一緒に居てくれた。
その優里に、幸せになってくれ…と涙を零しているのを
見ながら強く願った。
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義人は呆然としていた。
俺はなぜ真っ白な空間を見ているのだろうか。
体感で3時間ほど、ぼーっとしていた。
そうだ…。俺は死んだのだったな。
そうなるとここは天国か?
生前、義人は地獄も天国も存在しないと
考える現実主義な男だったが、この景色をみて
信じる気になっていた。
『3年もこの空間に放ったらかしですまんのう』
しばらくそんなことを考えていると
義人の頭に優しく語りかけるような声が響いた。
『だ、誰…!?3年!?』
生前、異世界物の創作物を読むことが趣味だった義人は
この声がどういった存在なのか、神秘的で優しさに満ちた声から理解した。
義人の頭にまた声が響く。
『わしはそなたらの世界の概念でいうとなんと呼ばれておったかのう。んー、そうそう(神?)という存在になるのじゃな。』
神様という存在の姿が見えない義人は、
姿を見ることは出来ないものなのかなと思った。
突然、5畳の畳に大きめのちゃぶ台、昭和のブラウン管テレビが白い地面から現れた。
義人はまたも呆然と見ていた。
最後にちゃぶ台の向こう側に襖が出る。
それと同時に襖が開いてお爺さんが現れた。
そこには白い髭が地面すれすれまで伸びた
お爺さんがイタズラが成功したようなニヤついた顔で現れたのだった。
『この姿でよいかな?』
義人は呆然としたまま呟いた。
『神様…?』
神は頷き、答えた。
『本来は要らぬエネルギーを使わぬよう姿を持つことはしておらんが今回は特別じゃ。ほら、こっちにきんしゃい。』
ちゃぶ台の近くに来て座るように手招きする。
座った瞬間に座布団が下から出てきた。
それを待っていたかのようにちゃぶ台の木目が浮き上がり、木のコップに入ったお茶が目の前に現れた。
飲んでみると生前、よく飲んでいたお茶だった。
母の淹れたお茶の味がした。死んでなおこれを飲めることに
義人は涙を流した。
神様は義人の感情を察して言う。
「此度のことは残念じゃったな…」
そうしてゆっくりとした時間が過ぎ、
神様は義人に話しかけた。
『そなた、転生する気はないか?』
義人は唐突な神様の言葉に迷ったが決意して話す。
『新たな世界で幸せに生きられるような力を貰うことは出来ますか?』
神様は笑って首肯し、それができることを伝えた。
気分が向いたら継続投稿していきます。
自己満の小説なので特に評価をする必要はありません




