もうすぐ
これは、作者がおつかいという名のパシリに行かされたときな見かけた男の子がモデルです。
「元基くんはもうすぐでお兄ちゃんになるんだから、お兄ちゃんらしく、ね?」
最近、そういう風にママやパパや、近所のおばさんたちが言う。
……お兄ちゃんらしくって何?
もっとしっかりしろってこと?
ぼくは今までずっと一人っ子で、きょうだいがいる友達がとてもうらやましかった。
だって、ママやパパがいなかったら一人なんだよ?
おるすばんのとき、どんなにコワい思いをしているか、わかる?
いつもママとパパがいて、あたたかくてたまにきびしい感じがするぼくが住んでいる家が、急にとてもキョウダイな、ウルトラマンのテキみたいな、とてもコワいものに変わっちゃうの。
それで、ぼくのことをじろりとにらんでこう言うんだ。
『どうせ、おまえはママやパパがいないと、泣くくせに、強がってるんだろう』
って。
たしかに、ぼくがママに怒っていつもいっしょに行く近所のスーパーにママにさそわれてもイヤだって言って、家でこうしているんだってことはジュウブンわかってる。
本当はぼくが悪いってことも。
でもそのテキの前だと、ママの前で思ってた、ママが悪いってことがまるで夏のアイスみたいに溶けていっちゃうんだ。
ぼくはもうすぐで小学生になる。
今まで通ってた幼稚園とはもうお別れ。やさしくて、たまに怒ると怖い先生や、ケンカもするけどとっても好きな友だち。
飛行機のすべり台や、小さなお山、よく通ったトンネル、よくだれがいちばん早くのぼれるがタイケツしたジャングルジム、手をドロドロにしたすなば。
みんなみんな、とても大切なもの。
みんなとさよならしなくちゃいけないんだ。
あと、あたらしくできるぼくのきょうだいをむかえないといけないんだ。
ずっと、ほしかったきょうだい。
ゼッタイにかわいいにちがいない!
だから、ぼくがその子を守らないといけないんだ。
もうすぐお兄ちゃんになるから。
だから、
「元基、嫌いでもピーマン食べなさい!」
ぼくのあたらしいきょうだいにわらわれないように、このキョウダイなテキに立ち向かわなくてはいけないのだ!
しろはねげんき!
ただいまよりテキをたおし、キョウカンのシジにシタガい、世界を平和にさせてみせます!
「元基、偉いね!さすがもうすぐ小学生でお兄ちゃん!」
ママとパパが拍手しながらうれしそうにぼくのからになったおさらをみた。
キョウカン!
ぼくはテキをたおしてみせました!
だから、無事にぼくのきょうだいがうまれてくれるようにいっしょに願ってください!
「奏もこんなに頼もしいお兄ちゃんでうれしいと思うよ!」
「かなで?」
「元基のあたらしいきょうだいだよ。奏ちゃんっていうんだよ!」
かなでちゃん。
はじめまして。
君のお兄ちゃんのしろはねげんきだよ。
これから、よろしくね!
なんか、こんなのでいいのか、ガタガタしております。定期テストの前にこんなことやっていいのか!?