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行列です!

宜しくお願いします!

辛すぎる


なぜこんなにもお尻が痛いのに歩かねばならないのか


教会には沢山の治癒魔術を使える人がいるのに誰もかけてくれない


キースが前もって根回ししているからだ


いいじゃんかちょっとくらい!!


そんなこんなで婆さん家につくとわらわらとガキ共が出てくる


「真聖がきたぞぉー!」

「わぁ、今日はおっきい神官さんも一緒だ!」

「お腹すいたよぉ〜」


同時に喋るな!


何言ってるかこっちは全くわからん


「ザック!いるか?」


めんどいのでザックを呼ぶ


「いるよ真聖様。今日は別の人も連れてきたの?それより婆ちゃんが飯は真聖がきてからって言うからまだなんだよ。ちゃっちゃと作り方教えてくんねえか?」


おぉ


それは悪い事をした


予定より遅くなったのは全てここにいる悪魔のキースが悪いのだ


「ブラド神官?聞こえてますからね?口にしたらわかりますね?」


予定より遅くなったのは俺が相談せず独断で物事を決めたからなのだ。


「宜しい。ではそのお婆さんの所に案内していただけますか?」


こいつ...今日は対象を俺に絞り込むつもりだな...


最近はいつもだけど...







「はじめまして。私はキース、こちらにいるブラド神官の補佐神官を務めております。遅くなって申し訳ございません。お名前をお伺いしても?」


そういや婆さんの名前しらんかったな。


お、おい!


睨むな!


知らないものは知らないんだ!


「これはこれはご丁寧に、私はクレアと言います。今日は美味しい料理を教えていただけるとか。皆も楽しみにしておりました。何卒よろしくお願いします。」


婆さんは相変わらず腰がやばそうだ。


キース、治癒魔術とかで治したりできないか?


そう思いキースを見ると「仕方ありませんね。」の顔をしている


キースはなんだかんだ甘い


俺以外には。


「クレアさん、うちのキースが治癒をかけます。横になって下さい。最近はどこが痛いとか、なにが辛いだとか細かく言ってやって下さい。うちのキースは優秀なんで多少は良くなるでしょう。キース頼んだぞ」


キースをクレア婆さんに押し付けると俺はザックと一緒に調理場にいく











「さて、昨日頼んで置いたパンは焼いてあるか?」


そう、昨日は大量にコッペパン的な形状で焼いとけと言った


すると本当に大量に焼いてあった。


軽く300個位ある。


まあ残っても明日まではもつだろうから大丈夫か。


こいつらも食うし。


うーん。


すげー腹減ったって目線がくる。


しゃーない。


麺を作ってる時間はないから、とりあえずホットドッグ作るか!


子供達に手分けしてやらせる事にする


腸詰部隊とキャベツ千切り部隊、パンの真ん中を割く部隊だ


腸詰から順に年長者、中、小と年齢を振り分け刃物の扱いは慎重にさせる


ほんで俺とザックは午後に販売するようの麺作りだ。


「こんなん売れんのかよ?真聖様は変わってるなぁー。」


売れるかは知らん。


だが俺は好きだ。







とりあえず1人2つ分のホットドッグが出来上がるとテーブルに並べる


ここ人数多いからオーブンとかも古いけどめちゃでかいのがある。


案外うまくいくんじゃねえか?


「ザック、キースとクレア婆さん呼んできて。」


ザックはよだれを垂らしながら走っていく


「ば、婆ちゃん!!」


ザックの驚いた声が響き渡る


皆も扉を注目すると...


そこには腰を曲げた婆さん...ではなく


普通に歩いてる婆さんがいた。


顔色も若干良くなったな。


キースが青白いけど


まあ頑張ったんだろう


「婆ちゃん!もう腰痛くない?歩けるの?」


婆さんはコクコク頷いて


「あぁ、キースさんが何度も魔術をかけてくれてね。腰も良くなったし、体調もいい。食欲もあるんだよ。あぁーいい香りがするね。皆で作ったのかい?」


ザックは嬉しそうにはしゃぐ


「そうだよ!皆で作ったんだ!見た目はヘンテコだけど、真聖様が美味いって言ってたんだ!早く皆で食べよう!」


ザックが手を引いて婆さんを席に座らせる


俺とキースも端に座る


キースご苦労だったな。


「ええ、まあ。複数の魔術をさらに複数回使用しましたからね。今日はもう魔術は期待しないで下さい。」


見るからに魔力切れっぽいもんな。


まあ食えよ。


「それでは皆さんご一緒に!」


「「「頂きます!」」」


皆待ち切れなかったんだろう。


ホットドッグにかぶりつく


さて、ソースはトマトソースとマスタードのとチリソースの二種類を作った


マスタードはいわゆるハニーマスタードにした。


チリも辛さは控えめにした。


まあそのうちバリエーションは増やせばいい。


「う、うめえ!腸詰なんて汚ねえって思ったけどなんだこれ!」


「パリッとするよぉージュワッとするよぉー!」


「久しぶりのお肉だー!」


「私はこっちの黄色い方のが好き!」


「俺はこっちの辛いやつ!」


ふむ。


概ね好評だな。


肉屋に行ってわかったことがある。


この国には腸詰めの概念はない。


お陰で安く買えた。


よいよい。


「これは...ブラド神官は料理もできたんですね?知りませんでした。完全に無計画で行き当たりばったりで売れる要素もないかと思ってましたが...」


失礼な!


自炊位はできるわ!


こちとら何年1人身...


なんでもないよ!!


あ、セーフっぽいな。


「真聖様、キース様。こんなにも美味しい料理を教えて頂いてありがとうございます。これは教会のお料理で?教えて頂いて良かったのですか?」


クレア婆さんが良いの?って顔で聞いてくる


いいよ別に


俺が食いたかったけど1人で作んのめんどかっただけだし


「大丈夫ですよ。これは私が知ってる料理なだけで、教会は関係ないですから。この後教える料理の方が手間はかかりますが、単価も安く、それも美味しいですよ。あ、あと私の事はブラドとお呼び下さい。神官でもこの年齢で二つ名で呼ばれるのは恥ずかしいですから。それに5歳ですから継承も不要ですよ?」


ぶっちゃけ真聖真聖言われ続けるのはキツイ


「そうかい、じゃあお言葉に甘えてブラドって呼ぶよ。あんたもここの子に丁寧な口調はしなくていいよ。息が詰まっちまうだろ?」


順応性の高い婆ちゃんだ。


嫌いじゃない。


「ああわかったよ。ザック、飯食ったら次はナポリタンドックと焼きそばパンだ。どっちも生地は練ってあるからすぐに作るぞ。あとは...」


早速ホットドッグを販売開始だ!











販売組みと作成組みで別れる事にする。


販売組は年長者を2人つけ、あとは年少者ばかりの構成だ。


パスタは結構むずいからな。


パンにキャベツを敷いてウインナーは販売する時に乗せる


鉄板を外に持ち出して匂いで客を誘う作戦だ。


あとはキースを外につければ完璧!


これで俺は自由に作れる!


こっちは黙々とパスタをつくる。


ナポリタンと焼きそば風のパスタで、ぶっちゃけ焼きそばに関しては若干の違和感があったものの、ナポリタンは概ね問題ない。


具はどっちもウインナーで、焼きそばにはキャベツも入ってる


扱う食材を増やしすぎると管理も大変そうだからな。


第一陣ができたので早速外に追加しにいこうとすると...


そこには行列ができていた。


はい?












「こんな所で飯を売ってる所があったなんて!」


「いい匂いだ。商会の連中の分も買っていこう!」


「神官様がついているんだもの。安全に決まってるわ!」


「これで銅貨1枚?ボリュームもあるし美味い。家内にも一つ買っていこうかな?」


なんで?


販売開始してからまだ1時間もたってないよ?


さてはキース...


なんかしたな?


「ええ、個人経営の孤児院でブラド神官が珍しい物を販売すると許可を頂いた際にちょっと。宣伝もして頂くようにお伝えしたのですが...これは行列が人を呼んでますね。流石に想定外です。」


ざっと50人近く並んでいる。


ダメだ、絶対にパンが足りん!


食材は昨日しこたま買ったからまだ大丈夫と思うが...


「ザック!予定変更だ!パンを焼け!追加で朝の倍だ!」


間に合わないにしても、とりあえず焼け!


「ブラド、でも時間が結構...あ、でも夕飯用に皆の分を焼いてるのがあるからそっちを先にだそうか?」


いいぞ!


ナイスだザック!


それでも60-70個


対して増やせないがないより全然いい!


しかし3種類だと手が回らんな


「一旦今あるナポリタンと焼きそばを作り終えたら全員腸詰開始だ!今日はホットドッグをメインに売り出す!パンは常に焼き続けろ!腸詰に半分、残りはパンを作成しろ!」


もう今日はホットドッグだけでいいや。











あっという間に夕方を過ぎていた。


「すいませーん、今並んでる方を最後に販売終了です。明日もお昼から始めますのでよろしくお願いします。」


売り子の年長が言うと並ぼうとした太っちょの客が残念そうに帰ろうとする。


するとその年長さんがこっそり裏に回り帰ってく客にホットドッグを1つ渡す


「内緒ですよ?とっても美味しいんで美味しかったらまたきて下さいね?」


渡された太っちょはそれはもう嬉しそうにお礼をいう。


ふむ。


無料であげた、だと印象は良くないがあれは試食させたというべきか。


並べずに帰らせたこちらの罪悪感も軽減できる


いいんじゃないか?


その年長さんはすぐさま紙に「本日終了。明日12時から販売開始」と書いて木の板に貼り付ける


明日昼から販売するとは誰も言ってないがな?


「ザック、あの年長の名前は?」


ザックは嬉しそうに答える


「ケティだよ。近くの花屋でお手伝いをしていて文字も少し書けるし気遣いもできる。ブラド気になるの?ケティは可愛いもんなぁー」


違う!


流石に10やそこらに少女には欲情しない


俺は巨乳がいい。


「いや、ケティは販売のセンスがある。あいつを責任者にしよう」


そうして全てを販売し終えると家に戻る


全員ぐったりだ


年少組は半分程眠っている。


「それでは反省会をはじめようか」


全員の目線が痛い。









「想定以上に売れたし、概ね好評だった。教会の保護がある関係で他店からのやっかみも少ないだろうしその辺はキースがうまくやるから大丈夫だ」


キースがえ?って顔でこっちをみる


何言ってんだ、許可とったのお前だろう


俺にはそんなめんどいことできん!


「問題は想定以上に売れ過ぎた事だ。しばらくは物珍しさもあって行列ができると想定する。すると大量に仕入れ大量に作成する必要がある。朝の時間から仕込みを始め昼から売り出すという形を取ろうと思うがどうだろう?」


ふむ。


反対意見はないな


「時間のかかるパスタは夜や朝のうちに形をつくり、販売開始の少し前から一気に茹で上げていく。暫くは様子を見ながら調整する必要がある。その辺のバランスはケティ、お前が指揮をとれ。」


え?


私?みたいな顔をするな


「お前はこの中で最も販売をわかっている。自分の思った事をやってみるがいい。悪い事や際どい事を除けば好きなようにやっていい。なにか新しい事を始めたい時はキースに相談しろ。俺も週に1回は顔を出すようにする。」


え?


それも私?


みたいな顔を2人でするな


「忙しくなる事で今までとは違ったトラブルなんかも起こりうる。その都度皆で考えて販売していこう。」


うん。


これで俺は好きな時にホットドッグを食えるようになる。


いいアイディアだった。


「あの、1ついいですか?」


そうだな、聞きたい事がある時は挙手だな。


ケティはやはりわかっている。


うん。


「お店の名前はどうしますか?外での持ち帰り販売とはいえ、看板位はあった方がいいかなー...なんて」


採用!


そうだな。


確かに必要だ


名前か...


「クレア婆さんのホットドッグ屋、でいいんじゃないか?メニューは現在3品だが、いいのが見つかればその都度相談しに来る。楽しみにしててくれ。そうだな、看板と、メニューと金額を載せた物も一つ用意させよう。」


現世からなにか言われそうだがここは異世界


問題はない。


看板は頼んだぞ、キース。


「あの...出来れば皆でこれから作ってもいいですか?折角の売上を看板に使うのもアレですし、手作り感のある看板はこの店に合うと思うんです。」


ふむ。


いいんじゃないかな


「任せる!では当面の資金を置いていくから八百屋や肉屋と交渉して連日大量購入するから安く仕入れられる場所を探しておくといいだろう。あ、今月は教会に半分渡さなくていいぞ?来月からな?その分をお店の外装やらなんやらに回すといい。」


こういうのは任せた方がいい


なんせ俺も素人なのだから。


「あと、味付けなんですが。男性の方用にもう少し辛いパターンや、逆に甘めのパターンを組み込めばもっといいかなーなんて。肉をのっけた後にソースは自分で塗って貰うとかにするとこちらの手間も省けて相手の好みにも合わせられていいんじゃないかな?なんて...」


こいつ天才か!


「採用!ケティは販売の責任者として考えた事をどんどん実行し、失敗したら何がいけなかったかを考える。皆もケティに任せきりにしないでフォローするんだ。そして皆がいいなって思う事があればケティに相談して決めてくれ!後は頼んだぞ?」


そうして俺とキースはクレア婆さんの家をでる


するとザックが追いかけてきた


「ブラド!ありがとうな!こんなに楽しい日は初めてだ!これで...婆ちゃんの心配もなくなるし、俺たちも飯を食える。ありがとうブラド!」


いいんだよ


俺もこれで好きな時に好きなもんを食える。


「あぁ!また来週なザック!」












「なんだか人任せが過ぎませんか?ブラド神官」


そ、そんなことないよ?


ほら!


自分でやらないと覚えないし、経験にもならないだろ?


「まぁそういう事にしますか。今回はブラド神官も頑張りましたからね。」


そうそう。


もう頑張り過ぎちゃったよ


「帰ったらホットドッグ食べましょう。私もお腹がペコペコです。」


俺も...


あぁ最後に4つ買っておいて良かった。


「やっぱり!!最後数が合わないと思ってたんです!最後のお客様があるだけ買いたいと言ったのに5個しか無かったのはブラド神官が買ったからですね!!」


い、いいじゃん!


ほら、ちゃんとキースの分も2つ買ってあるよ?


ホットドッグは時間が経っても美味しいよ?


「もう...全く。今回は見逃しますけどね?」


良かった...


ああ腹減った


早く家に帰ろう!


「ええ、もう少しですよ。」










教会に帰ると今日の噂を聞きつけてホットドッグをくれと揉みくちゃにされた。


しらん!


これはやらんぞ!


明日買いにいけ!!

他の作品でも書きましたが、作者はナポリタンドックが大好きです。

ナポリタンーホットドッグー焼きそばパンでお昼ご飯は支配されています。

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