第5話 『恋愛相談』
ついに35話程投稿していた自分の他作品のブクマ数が抜かれた……
喜んでいいのかどうか複雑な気持ち。
委員会を決めた日から1週間経ち、今日は、俺と大神君が図書委員として活動する最初の日だ。
「んじゃ、大神君、よろしくね。」
「う、うん。」
放課後、2人で並んで図書室へ向かう。同じ委員会でこれからよろしくということで大神君に挨拶をしたのだが、彼の返事はぎこちないものだった。大神君、緊張しているのかな?
図書室に着き、司書さんの説明を聞く。どうやら今日の仕事は、新しく入荷した本にビニールカバーをかけ、貸し出し用のバーコードを貼ることらしい。
黙々と俺達は作業を進める。
作業を初めて10分くらい経った頃だろうか。不意に大神君が口を開いた。
「あのさ……久我さん。久我さんって……高梨君と付き合ってるの?」
「ぶふぉぉ!? ゴホゴホ……」
「久我さん、どうしたの!? 大丈夫?」
「う、うん。大丈夫……。」
うわあ、びっくりした。女子の噂好きな子からそういう噂が流れてるよ、とは聞いていたけれど、まさかそういうことに疎そうな大神君まで知ってるとはね……。うん、凹むな……。
俺は、平静をとり戻してから質問の答えを返す。できるだけ落ち着いて返答するように心掛けながら。
「付き合ってるわけないでしょ? というかいきなりどうしたの?」
「なんかそういう話を聞いてさ……。ほら、高梨君、久我さんと同じ委員会に入りたそうにしてた……じゃん? なのに僕なんかをさ、同じ委員会に誘ったから……。」
どうやら大神君の言いたい事は、俺とヤツが付き合ってるはずなのに、どうして自分が同じ委員会に誘われたのかが疑問、ということらしい。
俺が、ヤツなんかのことを好きだと思われたら癪なのできちんと弁解しておく。
「大神君、これだけは覚えといて。私は、アイ……ゴホン。高梨君じゃなくて、大神君が良かったの。」
「えっ……」
大神君は俺から目を逸らし、作業に戻り出す。心做しか、彼の耳が赤い気がする。どうしたんだろ、具合が悪いのかな?
「ねえ、耳赤いみたいだけど具合でも悪いの?」
「――!? べ、別に何でもないよ。」
「そう。ならいいけれど。」
耳が赤かったから熱でもあるのか思ったが、どうやら違ったようだ。ほんとなそうじゃないといいけれど……心配だな。
あっ! 誰かに相談しようと思ってたけど、なかなか相談相手が見つからなくて困ってたことかまあったんだ。この際、大神君に相談しちゃおっと。
「大神君、相談があるんだけど。」
「な、何かな。僕でよければ相談にのるけど。」
「ありがとう。」
相談相手が見つかったあ! 俺は、嬉しくなって大神君に向かって微笑む。すると、今度は顔を赤らめる。ほんとに熱ないのかな?
「私が高梨君と付き合ってるっていう噂流れてるでしょ? その噂をどうにか無くしたいの。どうすればいいと思う?」
大神君は、さっきまでの様子と取って代わって俺の方に向き直る。その表情は凛々しかった。
「僕の私見ながら言わせてもらうよ? 君は入学式の日に目立ち過ぎたと思う。公衆の面前で高梨君へあんなことを言ったら、誰もが君と高梨君の仲を疑うよ。付き合ってるんじゃないかなってね。そもそも、体育館裏に来て欲しいだなんて告白する時に言うような言葉だよ。」
へえ、そうだったのか。俺は、宣戦布告するつもりだったんだけどな。だから俺とヤツが付き合ってるっていう噂が流れたのか。大神君は物知りだな。
「君はそのへんを勉強した方がいい。授業中や休み時間の君の様子を見ている限り、君は勉強と人付き合いはできるようだけど、この様子だと恋愛に疎いようだね。このままな態度を取り続けていると更にいらぬ誤解を周りの人にさせてしまうかもしれないよ?」
ううぅ、それは困る。ヤツと付き合ってると思われるだけで吐き気がする。どうしたらいいんだよお!
「ねえ、大神君! どうしたらいいの!?」
「ふむ、そうだね。僕がアドバイスできることがあるとしたら、口調のきき方とかかな。久我さんってほら、他の男子と話す時よりも高梨君と話してる時の方が、喋り方フランクでしょ? だから余計に疑われるのかもよ。」
あ、確かに。言われてみたらそうだな。俺は、ヤツなんかには丁寧な口調をとらなくていいと思い、ヤツには砕けた喋り方で接していた。そうか、それもいけなかったんだな……。
「あと、君は本を読んで人の感情の因果や人の性を勉強した方がいい。どうやら君は理系に進みたいようで現代小説の本はあまり読んでないように見受けられる。僕がオススメの本を紹介しようか?」
ふぅむ。確かにそうかも。俺は本を読まないから恋愛には疎いかもしれない。この際、オススメの本を聞いて勉強するのが良さそうだ。
その後、図書委員の仕事が終わった後、オススメの本を聞いた。本の題名は……
『私の兄がこんなにカッコいいはずがない!』
『ヒロイン大戦』
『アイカさんはギャップが激しい』
本の表紙には、可愛い絵が表紙に書かれている。えっと……たしかこういう本は、ラノベっていうんだっけ?
「久我さんに、この本のヒロインのアイカちゃんがいろんな意味で似てるんだよ。かなり参考になると思うから、イチオシだよ。僕の推してる絵師さんが描いてるんだ!」
聞けば、今度コミカライズとアニメ化が決定した名作なのだとか。平安から伝わる名門かつ有名会社社長の令嬢の『アイカさん』は才色兼備で、『氷の女王』とも呼ばれる学園の高嶺の花。主人公は彼女じゃなくて、彼女のONとoffのギャップを知ることになる同級生の少年らしいが。
「んじゃあね〜」
「う、うん。久我さん、ばいばい。」
俺は家に帰ったあと、早速ラノベを読んでみた。
結論から言おう。ハマってしまった。世界は広いな……こんなにも面白いものがあるのに気づかなかったとは、俺もまだまだだな。明日、図書室で続き借りよっと!
自分が美少女だと言うことを忘れてテロを起こす主人公……
次の投稿は明後日かな?
次回でヒロインの桃井陽菜ちゃんが出てきます! あと、次回で高梨との付き合ってる疑惑払拭します。
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。が、アニメ化するらしいですね。