第4話 『電光石火』
凄いですね、ブクマの伸び。3話で42件とはビックリです。ポイント評価もまた頂いちゃいました!底辺作家卒業(ブクマ100突破)も夢じゃないかも!
入学式から1週間程経ったある日。メイドさんに起こしてもらい、俺の1日は始まる。執事の羽多野さんと違って通いなのに俺より早く起きる出勤するなんて凄い。ご苦労さまだ。俺は、学校へ行く準備をしていた。洗顔、時間割、朝食歯磨き、日焼け止め……etc 前世と違って冬でも日焼け止めを塗らなきゃなのは大変だなぁ。まあ、日焼けしたくないから塗るけど。
全部終わった後、家を出る。
「パパ、ママ行ってきまーす!」
「はーい、美波ちゃん、行ってらっしゃーい」
「美波、早く帰ってくるんだよ」
ふふふ。お父さんよ、そんなに早く帰ってきてほしいかい。俺は、家の横のガレージへと向かう。車に乗り込むのだ。車は、黒塗りのベンチュで、執事の羽多野さんが運転してくれる。学校はわりと近くで、バスで行けるのだが、両親が俺の安全を心配して俺は車で登下校するということになったのだ。
車に揺られること10分。学校に着く。今日の1時間目は委員会決めで、後は通常授業だ。
1時間目、ゴツイ剛力勇先生が中心となって決めていく。
「はい、それじゃあ、風紀委員やりたい人~」
俺を含め、4人程が手を挙げる。あ、ヤツもいる。俺はサッと手を下ろす。すると、ヤツもチラッと俺の方を見て、手を下ろした。いやいや、俺に合わせなくていいから。
「んじゃ、丁度2人だから決まりだな。次、保健委員やりたい人〜」
これも楽そうな委員会だったので、俺は手を挙げる。すると、ヤツもチラッとこっちを見た後、手を挙げてくる。ねえ、絶対アイツ、同じ委員会になろうとしてるでしょ! うわ、きっも! きっしょ!
俺は、サッと手を下ろす。またしてもヤツも手を下ろした。アイツ、自分が避けられてること、気づかないの!? 鈍感過ぎだろ!
「じゃあ次〜、図書委員になりたい人~」
俺は作戦に出ることにする。このままだといつになっても俺の委員会が決まらず、最後の余り物をヤツとやる事になってしまう。それだけは絶対避けなければならない。そんなことになろうものなら死んでも死にきれない。
その作戦とは……
「はいはいっ! 私、図書委員になりたいですっ!」
俺は、電光石火の如く挙手する。まあ、予想通りヤツも手を上げた。でもそんな事など今の俺には関係ない。作戦が上手く行きさえすれば。少し目立ってしまったが仕方があるまい。これも作戦上必要事項だ。
作戦はこれで終わりじゃない。
「大神君もやりたいって言ってます!」
俺は、隣に座っていた大神君の手首を掴み、手を挙げさせる。
「「え!?」」
大神君の声とヤツの声が重なる。
俺の作戦はこうだ。素早く手を挙げ、隣の席の大神羊平君(洋平ではない)の手を挙げさせて、自分は図書委員になりたいと宣言する。すると、周りの人達は、気後れして手が挙げられなくなるというものだ。大神君と周りの人達には申し訳ないが、こうでもするしかないのだよ。
まあ、大神君とは何も縁がないわけではない。大神君とは、前世で学校で唯一喋る関係だった。といっても、何かペアにならなくちゃいけない時とか、昼休みなんかに少しばかし話す程度だったが。彼は、ヤツなんかに虐められていた訳ではないのだが、オタクなのでみんなから距離をとられていた、そんな人物だ。
「お、2人で決まりだな。それよか、久我、そんなに必死になっちゃってどうしたんだ~? 青春真っ最中だな、がはははは」
ちっ、こういう発言、セクハラなんじゃないか? まったく、俺が元男だからいいものの、普通の女の子に言ってたら問題じゃないか?
でも、委員会がこれで決まって安心だ。ほんとにヤツと一緒にならなくてよかった。俺は、ヤツの方をチラリと見る。ヤツは、……苦虫を噛み潰したような表情をしていた。これで一勝一敗かな?
その後、2時間目から4時間目までは通常授業だった。俺にとっては全然大したことじゃないので授業中は外を見たり、家から持参した大学生向けの参考書などを読んで過ごした。たまに答えるよう指名されたが、特に問題なく当てられた問題を答えた。
お昼休み。俺は、友達を作るべく動き出した。ヤツのハーレム計画を潰す為にも女の子の味方は多く作っておくべきだし、それにクラスの女子達はヤツから守る対象でもある。仲良くしておいて損はない。
「ねー、みんなー、LINE交換しよーよ!」
俺が女子達に声をかけると女子達はわらわらと近寄って来る。
「いいねいいね、交換しよー!」
「クラスグルも作らなきゃね~」
その後、昼休みの半分ほどを使ってみんなでケータイをフルフルしてLINEのアカウントを登録し合いっこした。その後、そのまま俺を含め、女子達同士でお弁当を食べた。さすがにヤツは女子の輪に入ってくる勇気はなかったみたいだった。
その後の5、6時間目も特に何事もなく過ぎ去り、俺は終礼が終わるとすぐに校門へと向い、とまっていたベンチュに乗り込んで帰路についた。
「なんなのあいつ。可愛いからって調子のってんじゃないわよ。」
1人の少女は、放課後の誰も居なくなった教室で呟く。その整った顔に怒りの表情を浮かべながら。
どうやら久我美波の行先には更なる試練が待ち構えているらしい。しかし、久我美波にはそのことを知る術はないのだった。
次の投稿は……明後日かな?
これからもよろしくお願いします! そら