第3話 『臥薪嘗胆』
一昨日に明後日は更新無理かなって言ったんですけれど、ブクマの伸びが嬉しすぎて、書いちゃいました。それに、書いてて楽しいです。手が飛ぶように(?)書けます。
まあ、スマホでポチポチ書いてるんで大した速度じゃないですが。
何はともあれ、日間ランキング入りなんてもう夢のようです。ありがとうございます、
芸能界を引退してから1ヶ月。俺は、私立嶺泉高校の入学式に臨んでいた。
入学試験? ほとんど勉強しなかったな。子役の仕事を謳歌していた。まあ、英数理は多分満点とれたと思う。東大入試に比べたらお遊びみたいなもんだ。さすがに国社は満点は無理だな。
ほとんど勉強はしなかったと、いってもゼロじゃあない。小一の時にこのままだと勉強が出来なくなると思い、暇を見つけては子役で稼いだお金で問題集を買ってやっていた。6年生になる頃には結構大丈夫そうだったので、東大の過去問や大学に入ってから勉強したことの復習などをやった。
父は、俺が難しい問題を解いているのを見て、俺の事を褒めちぎり、よく色々なものを買ってきてくれた。服や靴、髪ピン、シュシュ……etc
全部お店の人に見繕ってもらったものなんだろうけれど、嬉しいものは嬉しい。タダで手に入るんだからな! しかもどれも高級品だ。貰えるものは貰っておく。それが俺のモットーだ。おかげで、最初はスカートなんかがスースーして嫌だったけれど、もう慣れてしまった……。正直、この事に喜んでいいかどうかわからないが。
話しを戻す。入学式は、父も母も俺の晴れ姿を見に来てくれ、特に何事もなく終わった。
ここからが勝負だ。俺達は、クラス分けの紙が貼り出された所へ群がる。
俺は、入学式には臨んだものの、内心冷やひやしていた。俺がこの嶺泉高校に入学したのに、アイツが入学していなかったら元も子もない。そして、恐る恐る確認する。
あった。
ニヤリ。ヤツの名前を見つけた。俺は、久我美波という美少女に似つかわしくない笑みを浮かべる。しかも、どうやら同じクラスのようだ。心配していたが杞憂で終わってほんとよかった。同じクラスなら余計にヤツの計画を邪魔しやすいしな。
……なんか、こうやってヤツの名前探して喜んで俺って、はたから見たらヤツのこと好きなヤツやん。おえぇ、想像しただけで吐き気がしてきた。まあ、誰にもバレてないから大丈夫だが。
みんな、各自の教室に向かう。その間、保護者達は講堂で待機だ。
俺も教室に入り、席につく。周り中から俺への視線が感じられる。あちこちから視線が俺に突き刺さるのが感じられる。
「ねえ、あの子ってあの久我美波だよね?」
「うん、多分そうだと思う。貼ってあったクラス名簿の名前も久我美波ってなってた」
などといった声も聞こえる。うん、テレビ出演なんかで視線が集まるのには慣れたけれど、それでもこれだけ注目されるとムズ痒い。緊張はしてないが。
俺は、時間を確認しようと自分の左腕を見る。あ……忘れた。腕時計で時間を確認しようと思ったのだが、今日は家に置いてきちゃったみたいだ。そうそう、腕時計は、高校入学祝いに高級時計ブランドのロリックスの時計を買ってくれたのだ。ピンクで可愛くてカッコイイ時計だ。パパ、ありがとう!
しょうがないから教室の横にかかっている時計を見るのことにする。
――!?
ヤツと目が合った。実に15年振りだ。相変わらずムカつく顔をしているので思いっきり睨んでやる。きしゃーーー!
俺は一睨みして満足し、さっと時計を見て視線を前へ戻す。
その後、担任の先生が教室に入ってきた。担任の先生は、前世の時の担任と同じく、剛力勇先生。この先生を一言で言うと、ゴツイ、デカい、鈍感だ。あ、三言になっちゃった。
先生から挨拶があり、ちょっとした説明があった後、俺達は解散となる。俺が席を立った瞬間、クラス中の生徒が俺を囲んできた。
「ねえねえ、あの久我美波さんですよね!」
「サインください!」
「めっちゃ可愛いっすね!」
その人だかりの中には、ヤツの姿もあった。ここでこうしてる訳にはいかない。俺はヤツに宣戦布告しないといけないからな。
「みんな、ごめんねー? ちょっと殺らなきゃいけないことがあるから、ちょっと道空けてくれるー?」
俺は皆に声をかけ、神の声を聞いて海を割った彼の聖者のように皆をかき分け、ヤツのところに達する。
「ねえ、あなた、話があるの。体育館裏に来て。」
「え!?」
ヤツは、いきなりのことに驚いて間抜け面を晒していたが、俺は問答無用で腕を掴み、体育館裏へと連行する。
そして、体育館裏にて、あの『宣戦布告』が行われたのだった。
「あなた、高梨祐也さんですよね? あたなに言っておかなければならないことがあります。私、あなたのこと――」
「いや、その先は言わなくていいよ。こういうものは、男の方から言わなくちゃね。そうでなければ男が廃るってもんよ、お嬢さん。」
「オレのこと、好きになっちゃったんだろ? 気にすんな、よくあることだから。 それよりキミ、あの天才子役の美波ちゃんだろ? 仲良くしよーぜ。」
「はあーーーーーーーー!?」
この後結果? 俺は、動揺し過ぎて逃げ出しちまったよ。まあ、しょうがないと思う。俺はヤツに惚れてなんかいないし、ヤツにあんな甘々ボイスであんなキモくてキザなセリフを言われたら、誰だって動揺して逃げ出すと思う。
まあ、しょうがない。今回はヤツの不意打ちとご都合主義にやられただけだ。次こそリベンジしてやる!
そして、後日わかったことだが、俺こと久我美波が、体育館裏に1人のイケメンな男子生徒――高梨祐也の腕を掴んで連れていくのが、大勢の生徒に見られていたそうだ。それからその事は学年内に広まり、俺とヤツが付き合ってるのでは? などといった根も葉もない噂が飛び交うのだった。くそお! これ以上の延焼を防ぐ為にも早く火消しせねばっ!
次回からようやく高校でのわちゃわちゃが始まりますね。
次回の投稿は……気分次第と時間次第。
まあ、ブクマが嬉しくてすぐ出すことになりそうですが笑