第12話 閑話『勉強会』
投稿遅れてごめんなさい。今回の話はあまり物語の大筋の流れには関係ありません。時系列順にしたかったのでここに挟みました。読み飛ばして頂いても大丈夫だと思います。
妨害工作をしようとしたけれど失敗しちゃったり、ラノベを大神君にオススメを聞いて読み漁ったり、いろいろとあったけれど入学式から1ヶ月半が経ち、中間テストがあと1週間のところまで迫ってきていた。
この1ヶ月半の間に大神くんと陽菜ちゃんとはだいぶ仲良く慣れたと思う。今では2人のことを親友だと俺は思っている。2人も俺のことを親友だと思ってくれているといいな。
仲良くなってきた頃合だし、俺は1つのある事を考えていた。それは…「勉強会」だ。
「勉強会」なるものについては今世になって中学生の時に初めて知った。前世では、勉強は1人でやるものだと思っていたし、親しく話すような友人もいなかったため、そういったものがあることを知らなかった。噂に聞く限りだが、お互いに教え合うことでより学習の理解を深め合うことができるし、なにより楽しいらしい。学習の理解がなんたらという方は二の次だが、楽しいとのことなので、この際友達らしいことがしてみたい。
そういうわけで2人を「勉強会」に誘ってみることにした。
「ねえ明日、日曜日じゃん? その……私の家で勉強会どうかな?」
「え、行く行く! 美波ちゃん家行っていいの!?」
陽菜ちゃんが食らいついた。
よかったあ~、やんわり断られてたら悲しくなって不貞寝してたかも。
「僕なんかが行っていいのかなあ。女子の家に上がったことなんて陽菜の家しかないよ。」
「全然気にしないでよ。むしろ来て欲しいの。ダメかな……?」
「ぜ、全然だめじゃないよ。僕も行くよ。」
大神君は少し頬を赤らめ、視線を俺から逸らしながら早口に勉強会参加の意を示してくれた。
まあ元男の俺には、大神君の気持ちはよくわかる。男子高校生にとって、女子の家に行くだけで恐れ多いもんな。
勉強会当日。今日は、朝から勉強会をすることになっている。こんな朝早い時間に家に歩いて来てもらうのは申し訳ないので、波多野さんに車を出してもらい、ベンチュで迎えに行く。
「お嬢様、どちらまで行かれるのでしょうか?」
「友達の家に友達を迎えに行くの。んーとねー……」
俺と波多野さんは、俺のスマホの位置情報を頼りに、予め2人に聞いていた住所の家へと向かう。まずは陽菜ちゃん家だ。
住宅街の中を車で進み、目的地の住所へと近づくと、1軒の家の前に陽菜ちゃんがリュックを背負って立っているのが見えた。
「おーい、陽菜ちゃーーん!」
「あ! 美波ちゃん!」
俺が車の窓を開け、身を乗り出して手を振ると、陽菜ちゃんも手を振り返してくれた。今日の陽菜ちゃんも可愛いなあ。
それから陽菜ちゃんを拾ったあと、大神君の家へと向かう。
大神君も陽菜ちゃんのように家の前で待っていてくれたのだが……
「み、美波ちゃん。お、おはよう。今日もいい天気だね…はははは」
大神君は、車から降りた私を一緒見たあと、斜め上を見ながらぎこちなく笑いながら挨拶をしてくる。心做しか、頬を紅潮させている気がする。
どこを見ているんだろう? 視線の先には…空しかないな。緊張しているのだろうか。陽菜ちゃんもいるし、もっと学校にいる時みたいにリラックスしてくれていいと思うんだけどな。
家に戻ってきてくる。2人とも家の大きさに驚いていた。まあ、最初はそうだよ。俺も転生して間もない頃は家の大きさに驚いた。リビングはものすごく広いし、お風呂なんかヒノキ風呂だし。
2人に2階にある俺の部屋へと上がってもらう。
「「お邪魔しま~す」」
家に入る時にもお邪魔しますをしていたのに、また2人共お邪魔しますをしている。律儀だなあ。
「それじゃあ、2人とも荷物を置いてね。」
部屋のちゃぶ台の周りに俺は、3人分の座布団を持ってくる。長方形の机なので、俺の向かいに陽菜ちゃん、横に大神君が座る。
「美波ちゃんの部屋の広いね〜、洋室かと勝手に思っていたんだけど、和室なんだね。」
「そうだよー。まだ私が小さい頃は、私の部屋、洋室だったんだけど和室の方が落ち着くから変えてもらったんだ。私の部屋、変でしょ? 和室なのにベッドがあるって。」
「まあ、珍しいかもね。」
今世での俺の家は、家の半分が洋室、半分が和室になっている。庭も、外の庭は芝生がと花壇がある庭なのだが、中庭は小さめの和式庭園になっている。そこにはなんと、鯉もいるのだ! 餌をパクパク食べるのが可愛いんだよね~
「失礼します。」
まだ勉強を始めずにお喋りしていると襖の外から栗原さんの声が聞こえてくる。
「はーい。入ってー」
襖が開けられ、栗原さんが入ってくる。お茶を持ってきたみたいだ。俺は猫舌なので、いつも冷たい水出し抹茶を飲んでいる。だからであろう、お茶から湯気が出てないことから察するに、栗原さんは3人分とも冷たいお茶を持ってきた。
栗原さんはお茶を置いて戻っていった。
その後3人で勉強を始める。勉強は、数学をやることにした。他の科目なら割と1人でできるし、俺が2人に教えるのに適していると思ったのだ。
カリカリ
2人に分からないところがあると教えに行く。教える時も全部教えるわけじゃない。本人が伸びるよう、やり方につながる間接的なヒントをあげる。
「美波ちゃんは凄いねー、可愛いだけじゃなくて勉強もできるんだぁ。最近はラノベにご執心みたいだからここまでできるとは思わなかったよー」
「えへへへへ」
陽菜ちゃんに褒めてもらえた。まあ、俺の場合は前世で一度勉強をしているからな。この高1でやるようなことには何ら問題もない。
言い方によれば、俺はずるをしているようなものだ。前世を入れたら俺は2人よりも21年長く生きている。こうも純粋に賞賛されると少し後ろめたい気持ちになり、陽菜ちゃんの向日葵のような笑顔がズキリとくる。だから、俺は決めたのだ。いつか陽菜ちゃん、大神君が困ったら俺の2人よりも長い人生経験と、豊富な知識を活かして2人を助けることを。
陽菜ちゃんだけでなく、大神君にも分からないところがある都度、大神くんの横に行って教える。その時に俺が近づくと緊張しているのか、あたふたしているのがおもしろかった。
結局、夕方頃まで勉強をしてお開きになった。ちなみにお昼は栗原さんが作ったオムライスをみんなで食べた。
「じゃあね〜!」
2人を家に送り届ける。2人とも笑顔で手を振って家へと入っていった。
今日はとても楽しかった。いつまでも、今日のような平穏が続きますよーに。
やっぱり二学期始まると忙しいですね。
私事ですが、先日買ってから3ヶ月ほど放置していた『青ブタ』の1巻を読んでみました。
もう、ただただ圧倒。さすがアニメ化している作品だと思いました。絶壁を見せつけられた気分です。(2巻・3巻も買ってありますがまだ読んでません笑)




