表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生を希望します!  作者: 黛ちまた
学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/360

あなたの為に

短い話ばかりですみません。

 その方はフィオニア様とおっしゃった。

 水色の髪に水色の瞳を持つ不思議な方で、その柔らかな面差しは、女性と見間違う程に美しい。

 ただの平民の私を、フィオニア様は姫とお呼びになる。

 フィオニア様は、貴族だろうと思う。

 あの優雅な身のこなしは、平民のものではないから。

 ご身分を隠してらっしゃるのだろうか。

 時折お会いしては、少し言葉を交わす程度の私には、それ以上のことは聞けない。

 完璧なディンブーラ語をお話しになるから、皇国の方かと思っていたら、別の国からいらしているのだそう。


 修道院で暮らしていた私の元にフィオニア様がいらしたのは、二月前のこと。

 幼き頃より修道院に暮らす私が、初めて見た外の世界の方。

 あまりの美しさにお姫様なのかと思っていたら、男性と知り驚いた。

 そして、今度はこの方は何処かの国の王子様なのではないかと思った。

 でも、それはありえない。

 何故なら、王子様が私の身元を引き受けて下さる筈がないから。


 修道院を出た後、とある貴族のお屋敷に連れて来られた。

 お城かと思う程に立派なお屋敷で、目が眩むかと思った。

 フィオニア様は、私にある初老の貴族の方をご紹介下さった。

 初老の貴族の方は、私を見るなり一瞬驚かれていたけれど、あれは何だったのだろう。

 その方は、クレッシェン様とおっしゃって、これから私のことを世話して下さるとのこと。


 いいのだろうか、私なんかがこんな高貴な場所にいて。


 クレッシェン様とその奥様、お屋敷の方たちは、みなさんとてもお優しくて、戸惑う。

 貴族は恐ろしいもの、そう修道院で教わってきた私には、クレッシェン様たちは貴族とは思えぬ程にお優しいからだ。


 私はここで、クレッシェン様とその奥様から、淑女としての教育を受けている。

 教養、ダンス、刺繍、色んなことを教えていただいている。


 お屋敷のメイドの方たちにより、髪、肌、爪は手入れされ、修道院での生活でボロボロだった私の髪も肌も爪も、みるみる内にキレイになっていく。

 それは、貴族の令嬢のように。




 今日はフィオニア様がいらっしゃる日。


 いつもはメイドの方たち任せだけれど、フィオニア様がいらっしゃる日ばかりは、自分がフィオニア様にどう見られるのかが気になる。

 先日奥方様が作って下さった新しいドレスを、フィオニア様は気に入って下さるだろうか。


「姫」


 この声は。


 振り返ると、フィオニア様が静かに微笑んでらっしゃった。

 心臓の鼓動が少し早まるのが、自分でも分かる。


 フィオニア様が私に向けてお辞儀をなさる。

 いつもフィオニア様はそうなさるのだけれど、私はそんな身分ではないのだから、お止め下さいといくらお願い申し上げても、フィオニア様は、姫は姫ですから、とおっしゃって、お辞儀を止めて下さらない。


「お元気でいらっしゃいましたか?」


「えぇ、クレッシェン様たちのお陰で、恙無く過ごしております」


「何よりです」


 私とフィオニア様はソファに腰掛け、紅茶をいただく。


「以前にもまして、所作がお美しくなられた。

姫は覚えが早いとクレッシェン様から伺っておりましたが、本当ですね」


 いつもいつも、こうやってフィオニア様は私を褒めて下さる。

 それがとても嬉しい。


 何故、貴族の令嬢と同じ教育を私なんかに施して下さっているのか、さっぱり分からない。

 分からないけれど、それを、フィオニア様が褒めて下さるから。

 フィオニア様がそれを望むから。

 私はここで、貴族の令嬢として相応しい振る舞いを、身に付けていく。


 フィオニア様の為に。


謎のフィオニア様、再登場です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ