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転生を希望します!  作者: 黛ちまた
学園編

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026.仮説による再調査開始です

 資料を見ながら、性別によって使えるデータはどれぐらいあるのかな、と思っていた。

 ファイルボックスに色を付けて、性別ごとに分けて、10部ずつに付箋を付けたいナーなんて思った。


 デネブ先生から青と赤のインクをもらって、出来上がってるファイルボックスを再度分解し、青のインクの色で水色になるように再組成してみた。

 ちょっと色がまだらになったり、濃すぎたり薄すぎたりしたので、何度かやり直したけど、5回目ぐらいで上手く出来た。まぁ、水色って言うよりは、うっすーく伸ばした青って感じになったんだけども。

 同じように赤のインクでも作ってみた。


「ミチルの作る物は、細部までこだわるものが多いですね」


 青と赤に染まったファイルボックスを手にしながらデネブ先生が言った。


「これだけ細かいのを常に作っていると、変成の熟練度が上がっていると思いますよ」


 そういえば先日、やけにゴム部分に装飾が施されたスポイトが出来ていたな……。

 あれも凄い練習になったんじゃないのかナ……。

 ちらっとモニカを見ると、ファイルボックスに色を付けるのを楽しんでいる。その内絵でも描きだしたりして……。ハハ……。

 王子とジェラルドも楽しそうに変成している。

 今日はルシアンは用事があるとかでいない為、5人で作業している。

 いつも付き合わせていたけど、本当は忙しい筈。なんか申し訳ない。

 っていうかこの3人も大丈夫なのか……?

 私は万年帰宅部だからいいとして。家関連のこともないし。


 今度は性別ごとにファイルボックスに分けていく。あー、この辺ちゃんと考えてたら、最初からファイルボックス分けてたのに、本当駄目だなぁ、自分……。

 もうちょっとちゃんとまとめないといかん。

 とは言え、仮定もへったくれも立ててない中、デネブ先生と王室が調査したものだから、私に罪はない気がスル……。


 それにしても、思っていた以上に、再調査でも魔力の器がない貴族が存在するなぁ……。

 パラパラと魔力の器のない貴族の調査結果を見ていく。

 今の所、器が確認されているのは、丹田下(さすがにちょっと恥じらいがあるわー)と、丹田、みぞおち、胸。随分キレイに縦に並んでるよね。

 今度は平民のほうの調査結果を見ると、魔力の器がある平民は、眉間か頭頂部しかなかった。

 貴族と平民の違いが、もし魔力の器の位置にあるとする私の仮定が正しいなら?

 それと、こうやって器の位置を見ていくと、もう一か所あるとするなら、首。


「先生、平民は測定時にどの部位に測定器を近付けるのですか?」


「平民は首から頭頂部にかけて測定するそうです」


 その測定方法で、首に器を持っている平民はいない。とするならば、首に器を持つのは貴族なのではないか?

 そうすると頭頂部から丹田下にかけて一直線の器の位置があるということになる。

 首に魔力を持つ貴族(仮定)にも子供がいて、器を持ってるとするなら、首より上に器があった場合は、遺伝しないということになり、そこが貴族と平民の違いになる。

 平民と貴族の間に生まれた子供は?

 隔世遺伝とかはあるのか?

 貴族で魔力の器がないと今回も測定されてしまった人が、首より上に器を持っているかどうか。

 その場合の魔導値。

 私の仮定であれば、首だけの筈。

 それでもない場合に、両親は共に貴族かどうか。これはちょっと仮定不能。

 平民の魔力を持っている人に関していえば、両親のどちらかに貴族の血は混じっているのかどうか。

 多分、一親等にはいないと思う。


 以上のことを紙に箇条書きにし、デネブ先生に渡し、詳細を説明する。


「なるほど。魔力の器は貴族であればもう一つある筈、ということですね。平民で魔力を持つ者は、貴族の血が隔世遺伝で出ているのではないかと。

分かりました。追加でこれを調査していただきます」


「よろしくお願いします」


 この結果が、思った通りなら、あとは文章をデネブ先生にまとめてもらえばOK!

 私、ただの助手です!







 寮に戻り、エマと夕食を食べる。

 今日の煮物も美味しい。しみじみ。

 結婚したら、こんな風にエマと二人でご飯を食べることもなくなるんだろうなぁ。


 エマは結婚と同時に私と一緒に屋敷に移ることになっているので、日中は男子寮にいるルシアンの執事から色々と教育を受けているらしい。

 やはり、と言うか当然と言うべきなのか、伯爵家と侯爵家では全然違うようで、覚えることが格段に多いのだとか。


「苦労をかけてしまうわね、エマ」


「いいえ、苦労などありません。私はお嬢様にずっとお仕え出来ることが本当に嬉しいのです。

アルト侯爵様は、本当にお嬢様のことを考えて下さるお方です」


 それはどうかな? と、脳内で即座に否定したけど、新しい主にマイナスイメージを付けるのもどうかと思ったので、そのまま黙っておくことにした。

 まぁ、敵に回しちゃいけない人が味方になってるんだから、悪くはないとは思うけども。


「あ、お嬢様。すっかり忘れていて申し訳ありません」


 そう言ってエマは私に手紙を差し出した。

 誰からだろう? 差出人を見ると、アーガイルだった。

 アーガイルの店で香水を作ってから二週間程が経ったか。


 封を開けると、私が作った”L”の香りがふわりと香った。

 うむ、我ながらいい香り。


 手紙には、あれからすぐに販売した”L”は、かなり高額な値段を付けているにもかかわらず、上位貴族たちに大人気だそうで、それもこれも私のお陰です、お礼をしたいから商店街に来たらまた寄って下さい、と書いてあった。

 また寄って香水作れってことだと思うナー。

 あのおじさん、めっちゃ抜け目ない感じだったし!

 っていうかわざわざ調べて送ってきたんだよね。

 凄いな、プロの商売人!


 香水は置いといて、今度は時計を買いに行かないとね。

 この世界ってまだ時計が懐中時計なんだよねー。それはそれでカッコいいんだけど、私は男性の無骨な腕から見える腕時計が好きなのよ。

 腕輪と上手く組み合わせたら出来るかな……。

 いやいや、革か? 革だな。

 革の小物を作ってくれるお店ってあるのかな? なかったら革と革製品にも使えるような糸を買えばいいのかな?

 変成で最初は作って、その内本業の人に作ってもらうのがいいのかもなー。


 そうだ、付箋紙を作るのにノリを作りたいんだよね。

 なんだろう……幼稚園時代に使ったあの白いノリ、澱粉ノリだったか、あれを作ればいいのか?

 澱粉ということは、じゃがいも?

 エマの買い出し時に一緒に買って来てもらおうっと。

 久々にグラタン食べたくなってきた。マカロニと海老のグラタン。


 あと、インクも買おう。青とか赤はちょっと色が強すぎる。混ぜると紫か。

 薄めたいけど、絵の具じゃないからそんなこと出来ないしなぁ……。

 どうやって作るのかの知識もないしなぁ……。

 本当、便利な時代に生きてたんだなぁ、自分……。

 当たり前に思ってて感謝もしてなかったけど。







 *****







 今日はお買い物に行こうっと。

 腕時計を作りたいからね!

 革を扱ってるお店、商店街をブラブラしながら探してみようかな。


「あら、お帰りですの?」


「はい、お買い物に」


 モニカはちょっと悔しそうに、予定がなかったら付いて行きたかったです、と残念そうに言った。


「またご一緒しましょう」


 鞄を手にして立ち上がった所で、ルシアンが教室に入って来た。


「ミチル。帰るのですか?」


「はい、用事があるのです」


「それは、私は付いて行っては駄目なものですか?」


 買い物と言ったら付いて来そうだから駄目だ。プレゼントを贈る相手に付いて来てもらう訳にはいかない。


「駄目です」


 ルシアンが一番一緒に来ちゃ駄目な買い物ですよ!

 まだ何か言いたそうにしているルシアンは、私の髪を一房手に取り、口付けた。

 その時にふわっ、と香水の香りがした。


「付けて下さってるのですね」


 スパイシーさの中に甘さを混ぜた、セクシーさを醸す大人の香水です。ルシアンの色気アップ!

 ダンスの授業で何人かの淑女がその色気にやられたとか何とか、その香水は私からだということもすぐに広がったらしいので、順調です!

 今度アーガイルに会ったら、香水をプレゼントすることの意味、みたいなのを教えておこうっと。

 あの人なら上手く広めるに違いない。

 ただ1点問題なのが、その匂いに私もやられ気味なことですな!


「えぇ、ミチルが私の為に作って下さった香水ですから。とても、いい香りです。

この香水の香りを嗅ぐたびに、ミチルを思い出します」


 香水を渡した時の、キスのシャワーを思い出してしまった……。

 顔が熱くなるっつーの……。


「私も、付いて行きたいです」


「駄目です」


 私は逃げるようにして教室を出て、馬車に乗り、商店街に向かった。




 まず、時計屋さんに入り、良さそうな時計を探す。

 金だとちょっとなぁ……。

 白金なんかいいかも。


 何点か見せてもらい、最終的に一つに絞り込んだ。

 男性の腕に合いそうな、ちょっとゴツめな白地に金の文字盤の、周りは白金の懐中時計。

 それから革小物を扱ってそうな店を探す。

 お財布、というものが存在しないからなぁ、まだ。

 商店街の端っこに、革製のバッグを扱うお店があったので、入ってみた。

 こういった店は男性向け商品を扱っているからだろう、店長らしき人にちらっと見られた。

 いらっしゃいませもナシかーい。とは思ったけど、アーガイルみたいな人が増えても面倒だから、無愛想なぐらいで丁度いい。

 私は物さえ買えればいい。


 うーん、ないなぁ……。


「お嬢ちゃん、ここはお嬢ちゃんが来るような店じゃないと思うんだがね。何が必要なんだ?」


 ウロウロしていたら店長らしき人に声をかけられてしまった。

 不審過ぎたか。


「えぇと……」


 説明をすると、店長はちょっと待ってな、と言って奥に引っ込むと、バッグの持ち手部分――予備として売ってるのだろう──を何点か持って戻って来た。


「どうだ? 思ってるのに近いか?」


 キャメルブラウン、テラコッタカラー、ともう一色、いい感じに濃い色の革の持ち手だった。

 白金の時計と合うと思うんだよねー。


「こちらをいただきたいのですけれど」


「バーントアンバーか? 分かった、今包むから待ってろ」


 お会計を済ませ、馬車に乗って寮に帰る。

 帰ってからインクを買うのを忘れていたことに気が付いた。しまったー!!




 エマに夕飯を作ってもらってる間に、変成をする。


 シアンにちょっかいを出されても困るので、シアンも部屋の外に出す。ドアをカリカリ掻いてる。可愛い、けど我慢! 後でもふり倒すわ!


 箱から白金の懐中時計を取り出す。

 時計そのものは分解せず、時計を縁取る白金部分を分解し、腕時計になるように鎖部分をなくし、革のベルトを付ける部分を組成する。

 それから革のベルトを袋からとりだし、持ち手用に丸みを帯びているのを、時計のベルトになるように、平らになるように革の一部を分解していく。

 それから余っている白金で金具部分を作り、ベルトの先を細めていき、穴が開くように一点のみに絞り込んで穴を開けていく。

 5個程穴をあけ、腕時計を腕にしてみる。

 男性用に作っているから、私がしてみてもぶかぶかだ。

 明日、ルシアンの腕に付けさせてもらって、具合を微調整しようかな。


 初めての変成だったにもかかわらず、思った形に出来た。

 デネブ先生が言ってたように、熟練度が上がってるのかも。


 腕時計を懐中時計が入っていた箱にそっと入れ直した。

 これは明日、婚約祝いでアレキサンドライトのペンダントをくれたお礼みたいな位置付けとして渡すのだ。

 ああー、絶対ルシアンの腕に似合うと思うんだよねー。

 シャツとか腕まくりしたらチラっと見える男性らしい筋肉質な腕と、腕時計ですよ!!

 カッコよすぎる!!

 想像しただけで血圧上がってきた! 妄想だけで気絶できそう!!


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